カホラルート・アンダンティーノ(14)
[カホラ]:「今度、調べてみる価値はありそうね。ピアリーの資料では、三重ほど、保護魔法が重ねがけされてるらしいわ」
[吹雪]:「三重、それだけで頑丈さが伝わりますね」
[カホラ]:「そうね、それだけ四季のピアノはこの島にとって重要なものなんだということが分かるわ」
[吹雪]:「そうですね」
[カホラ]:「その魔法があるから、四季のピアノは今も汚れることなく存在し続けている。外傷一つないのが何よりの証拠ね」
[吹雪]:「綺麗でしたもんね、四季のピアノは」
[カホラ]:「ええ、今までいろんな資料を見てきたけど、私の中ではこれが一番正しいものだと感じるわ。実際に、肌で魔力を感じることもできたわけだし」
[吹雪]:「俺も何か、そんな感じします」
[カホラ]:「もう一つ、これは今機能しているかが分からないけど、この島には魔力を保つためのストーンサークルがあるみたいなの」
[吹雪]:「ストーンサークル?」
[カホラ]:「何ていうのかしら、魔法陣の石バージョンとでも言えばいいのかしら?」
[吹雪]:「かなり最近っぽくなりましたね」
[カホラ]:「ごめんね、良い例えが思いつかないわ」
[吹雪]:「いえ、何となく分かりましたからオッケーです」
[カホラ]:「主な利用目的は、魔力の保持や増強、または結界としても用いられるわね。今はあまり使わないけど、昔の魔法使いはよく利用していたのよ」
[吹雪]:「色々使い道があるんですね」
[カホラ]:「四季のピアノを守るために、有効活用できるようにしたんだと思うわ。少なくとも2つはこの島に存在しているらしいわ。ピアリーが自分の目で確認しているから」
[吹雪]:「そのストーンサークルはどこに?」
[カホラ]:「場所は、上には詳しく述べられていなかったのよ。多分下のほうに詳しく載っているんじゃないかしら」
[吹雪]:「なるほど、それはないと困りますね」
[カホラ]:「ええ。きっとそのストーンサークルに、何か手がかりがあると思うのよ」
[吹雪]:「そうですね、形あるものに、制作した情報を記すのは当然のことですもんね」
[カホラ]:「これも、場所が明確に分かっていれば、行ってみたいところね」
[吹雪]:「俺も、ちょっと見てみたいです」
[カホラ]:「大きくはこの二つ。四季のピアノにかけられた強力な保護魔法とストーンサークル、これがずっと昔に存在していたと推測される大きな理由ね。その続きが下に記されているはずなのよ」
[吹雪]:「このまま終わるわけにはいきませんね」
[カホラ]:「ええ、調査するための情報がほしいわ」
[吹雪]:「ストーンサークルを設置する場所には規則性があるんですか?」
[カホラ]:「基本、島などの場合はその島の中心に設置するのが普通ね。島全体を覆うのに端に設置するのは非効率的だからね」
[吹雪]:「それがこの島にも当てはまるのであれば、島の中心に行けばあるんじゃ」
[カホラ]:「一つのストーンサークルで賄えるのであれば、それでいいはずだけどね」
[吹雪]:「あ、そうか。少なくとも二つは確認されているのか」
[カホラ]:「そう、二つある場合はどこにあるのかが不確定になってしまう。単純に考えれば右半分に一つ左半分に一つと考えるのが妥当なんでしょうけど、この島の場合、常識が通じない可能性も大いにあるでしょう」
[吹雪]:「ああ、そうですね」
[カホラ]:「だからピアリーは、ストーンサークルの数を少なくとも二つと呈したのかもしれないわ。他にも存在する可能性がないと言い切れないから」
[吹雪]:「じゃあ、四季のピアノに各一つずつって可能性も?」
[カホラ]:「無きにしも有らずね」
[吹雪]:「おお、ちょっとわくわくしてきましたね」
[カホラ]:「ふふ、これが研究するのがやめられない理由なのよ。どんどん謎が解けていくような感覚がたまらないのよね」
[吹雪]:「分かる気がします。……研究はしてないですけど」
[カホラ]:「共感してくれるだけでいい気分よ。一緒に解明できるようにしましょう」
[吹雪]:「はい、そうですね」
話をしながら、俺たちは探し続けた。
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