カホラルート・アンダンティーノ(12)
[場所:古書室]
中は真っ暗だった。
[吹雪]:「コウモリでも出てきそうですね」
[カホラ]:「下に明かりがあるから、足下に気をつけてね」
どうやら階段になってるようだ。先輩のシルエットが徐々に低くなっていく。
[カホラ]:「えっと、明かり明かり……あった」
視界が一気に開けた。
[吹雪]:「おお……ちょっといぶってますね」
[カホラ]:「古い部屋だし、地下だからしょうがないわね。我慢してちょうだい」
[吹雪]:「はい」
目が慣れてきて、周りをぐるっと見渡してみる。
[吹雪]:「結構広いんですね」
[カホラ]:「そうね。古書室にある本だけでも、図書室を経営することはできるかもしれないわね。内容重視ばかりでおもしろくはないかもしれないけど」
[吹雪]:「図書館におもしろさを求めるのもおかしな話ですよ。一般ウケはしないかもしれないですけど、研究者側からしたら嬉しいくらいじゃないですかね」
[カホラ]:「そういう風に考えることができる吹雪は立派ね。将来、きっと成功するわ。学者として」
[吹雪]:「学者限定ですか!?」
[カホラ]:「大丈夫、大丈夫。冗談だから」
[吹雪]:「成功するって言ってもらえるのは素直に嬉しいですよ。ありがとうございます」
[カホラ]:「どういたしまして。さ、もうちょっと奥よ、行きましょう」
[吹雪]:「はい」
先輩の後ろを付いていく。
[カホラ]:「ここが研究資料が保管されている棚よ」
[吹雪]:「うわ、すごい量ですね」
[カホラ]:「とは言っても、四季のピアノについての研究資料はかなり限られているけどね」
[吹雪]:「そうですよね。これが全部四季のピアノについてのものだったら、ここまで悩むことがないですもんね」
[カホラ]:「そういうこと。でも、ないことはないから探してみましょう」
[吹雪]:「そうですね」
[カホラ]:「ピアリーの資料が第一目的だけど、四季のピアノに関しての資料があれば、それも出しておいて。手がかりになるかもしれないから」
[吹雪]:「分かりました」
[カホラ]:「何か分からないことがあったら言って。教えるから」
[吹雪]:「はい」
[カホラ]:「じゃあ、探索開始~」
[吹雪]:「おー!」
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