カホラルート・アンダンティーノ(1)
12月17日(金曜日)
[場所:グランド]
[セフィル]:「よし、では練習に入ろうか」
[吹雪]:「はい」
[セフィル]:「体調は? どこか優れない部分とかはあるか?」
[吹雪]:「大丈夫です、万全です」
[セフィル]:「闘志満々だな、何か良いことでもあったのか?」
[吹雪]:「そういうわけじゃないですが、そろそろ成功させたいと思う次第で」
[セフィル]:「うむ、いい意気込みだ。その成功させたいと思う心ほど大事なものはないからな。吹雪は出来た子だ」
[吹雪]:「こんなことで出来た子というのはちょっと甘過ぎはしませんか?」
[セフィル]:「そうか? ――吹雪は誉められるのは嫌いなのか?」
[吹雪]:「え? そういうわけじゃなくてですね……何て言うかあまり甘やかされると、図に乗ってしまうというか、適度に塩を振って引き締めてもらうことが大事だと思うんです」
[セフィル]:「……自らそんなことを言えるとは、できた男だな」
[吹雪]:「学園長、何か今日おかしくないですか?」
[セフィル]:「え? 何がだ?」
[吹雪]:「何か、異常に誉めるじゃないですか。大したことしてないのに」
[セフィル]:「そんなことはないぞ、吹雪はよくやってる。それは紛れもない事実じゃないか」
[吹雪]:「俺に言われてもですね」
[セフィル]:「期待しているぞ、君には」
[吹雪]:「……期待に添えるように頑張ります」
そろそろ、話に戻ってほしいな。
[セフィル]:「上手く言ったらもっと誉めてやろう」
[吹雪]:「は、はあ……」
[セフィル]:「よし、それでは本題に入ろうか。フェル、準備を」
[フェルシア]:「はい」
先生は、以前使用した機械を持ってくる。
[セフィル]:「とりあえず、魔力ゲージを確認だな」
[吹雪]:「はい」
腕に巻き付けて検査をする。
[セフィル]:「うん、91%か、まずまずってところか。フェルはどうだ?」
[フェルシア]:「私は54%です」
[セフィル]:「今日は少ないな、激しい運動でもしたのか?」
[フェルシア]:「そういうのじゃないですよ、昨日は保健室に来る生徒が多かったので、魔力の消費が激しかったんだと思います」
[セフィル]:「なるほど、大人気だったんだな」
[フェルシア]:「あまりいいことではないですけどね、保健室が忙しいというのは」
[セフィル]:「まあな。でも、すぐに補ってもらえるだろうよ。今日は成功させると意気込んでいるからな」
[フェルシア]:「お願いね? 吹雪くん」
[吹雪]:「はい、頑張ります」
[セフィル]:「よし、では準備をしよう」
ファルシア先生と向き合うように立つ。
[セフィル]:「練習を始める前に、ちょっと目を閉じてくれ」
[吹雪]:「はい」
何だろう、一体。