カホラルート・コモド(9)
[場所:社会科室]
[カホラ]:「んー、やっぱりすごいわね、炭酸少女、口が爆発しそう」
[吹雪]:「そんなにすごいんですか?」
[カホラ]:「吹雪も飲んでみなさいよ、そしたら分かるわ」
[吹雪]:「あ、はい」
言われるままに缶を交換する。
[カホラ]:「ココアもらうわね」
[吹雪]:「はい、どうぞ」
俺は恐る恐る、炭酸少女に口を付けた。
[吹雪]:「……うわ、すげぇ」
[カホラ]:「とってもリアルな反応ね」
[吹雪]:「いや、これはリアクションを構成してる暇はないですよ」
甘みは確かに感じるが、炭酸の威力が強すぎてあんまり分からない。
[吹雪]:「先輩、これで喉を潤せるんですか?」
[カホラ]:「正直、難しいかもしれないわ。とりあえずココアがとっても美味しいわ」
[吹雪]:「でしょうね……交換しましょうか? 先輩」
[カホラ]:「え? 悪いわよそんなの」
[吹雪]:「いや、元々の目的は先輩の喉を潤すことですから。それで苦しんでたら元も子もありません。ココアでよかったら譲りますよ。それに、何かコイツを飲破しなくちゃいけない気分になってきましたし」
[カホラ]:「宿命でも感じたの?」
[吹雪]:「そうですね、かかってこいよ、みたいな」
それに、正直ココアは俺には甘すぎる。
[カホラ]:「ありがとう、吹雪」
先輩はそう言って笑ってくれた。さて、勝負だ炭酸少女。俺はちょっと勢いをつけて炭酸少女に口を付けた。
[カホラ]:「そうだ、今思ったんだけどさ」
[吹雪]:「ん、はい?」
[カホラ]:「これってさ、間接キスだよね」
[吹雪]:「んぐっ!? ゲホ、ゲホ」
[カホラ]:「ちょ、ちょっと大丈夫? 吹雪」
[吹雪]:「す、すいません。変なところに入りました」
[カホラ]:「……ふふ、ちょっとびっくり?」
[吹雪]:「言われてみて、気付きました」
[カホラ]:「自然と交換したから分かってたと思ってたんだけど、全く考えてなかっただけだったのね」
[吹雪]:「すみません、鈍くて」
[カホラ]:「いいわよ、むしろそれぐらいでちょうどいいわよ」
うなずきながら先輩は言う。
[カホラ]:「私たちは仲が良いんだから、普通に飲み物の交換くらいできても変じゃないでしょう? 全然気にすることなんてないわ」
[吹雪]:「は、はい」
[カホラ]:「……とは言っても、それに気づかされるとちょっと気になっちゃうって顔してるわね」
[吹雪]:「そりゃあ、まあ」
先輩は、美人さんだしな……。
[吹雪]:「というか、全然問題ないなら、むしろ言わなくてもよかったんじゃないかなっても思うんですけど」
[カホラ]:「あ、確かにそうね」
そこに気付かなかったのか……。
[カホラ]:「別に触れることでもなかったかしら?」
[吹雪]:「むしろ、どうして話したんですか?」
[カホラ]:「ん~。……ふふ、吹雪の恥ずかしがるところを見たかったから、かしら?」
[吹雪]:「せ、先輩……」
[カホラ]:「あははは、顔真っ赤よ? 吹雪」
[吹雪]:「か、からかわないでくださいよ」
[カホラ]:「だって、かわいいんだもの、吹雪」
[吹雪]:「か、かわいいって……」
[カホラ]:「ほら、また赤くなってるわよ」
[吹雪]:「か、勘弁してください」
しばらく、俺は先輩にからかわれ続けていた……・。