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ソプラノ  作者: BAGO
個別ルート・カホラ コモド
119/1013

カホラルート・コモド(3)

[場所:図書室]


先輩はすぐに見つかった。

[カホラ]:「…………」

フロアの端にある勉強スペースで、真剣に本を読んでいた。相変わらず勉強熱心のかたである。とりあえず声をかけよう。

[吹雪]:「カホラ先輩」

[カホラ]:「…………」

どうやら集中しすぎて俺の声が聞こえてないらしい。しょうがないから肩を叩いた。

[吹雪]:「先輩」

[カホラ]:「え?」

やっと振り向いてくれた。

[カホラ]:「あら? 吹雪、どうしたの?」

[吹雪]:「お迎えにきました」

[カホラ]:「お迎え? 私そんなこと頼んだかしら?」

[吹雪]:「別に頼まれてはないですよ、ただ時間がちょっとね」

俺は時計を指さして先輩に伝える。

[カホラ]:「あら、もうそんなに時間が……ごめんなさいね」

[吹雪]:「別に大丈夫ですから。何の本を読んでいたんですか?」

[カホラ]:「ええ、これよ」

それは、この島の歴史書だった。結構古びていて、ところどころがくすんでいた。

[吹雪]:「随分と昔の本ですね」

[カホラ]:「そうね、今から70年くらい前の本だから」

70年、そりゃあ本だって劣化していくわけだ。

[吹雪]:「この島の歴史について……気になるんですか?」

[カホラ]:「ええ、もちろん」

何の迷いもなくうなずいて見せた。

[カホラ]:「前に、私がピアノについて調べてるって言ったこと、覚えてる?」

[吹雪]:「はい、暇がある時によく研究してるんですよね」

[カホラ]:「ええ、私は後少しで卒業してしまうから、自由に調べられるのは今しかないの。だから、悔いを残さないようにやれるだけやっとこうと思うのよ」

[吹雪]:「そっか……」

卒業か、先輩がいなくなってしまうのは、寂しいな。

[カホラ]:「吹雪? 何でそんな顔してるの?」

[吹雪]:「え? だって……」

[カホラ]:「心配ないわよ、まだ3ヶ月もあるのよ? 今からそんな顔しちゃダメよ」

[吹雪]:「は、はい。つい考えちゃって」

[カホラ]:「元気出しなさい? ね?」

[吹雪]:「は、はい」

[カホラ]:「さあ、戻りましょうか? みんなに謝らないといけないわね」

[吹雪]:「いいんですか? まだ終わってないんじゃ」

[カホラ]:「いいわ、明日にでもできるし。それに、さすがに練習をすっぽかすわけにはいかないでしょう?」

[吹雪]:「そうですね」

[カホラ]:「さ、行きましょう」

――改めて、先輩を尊敬したのだった。


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