マルカート(12)
[セフィル]:「一番の難関にして最大のポイントだからな。こればっかりは何度も繰り返しやってみるしかない。コツとしてはフェルをジャガイモだと思うことだな」
[吹雪]:「え? それって対処法違うくないですか?」
その理論でいくと全ての人に俺の魔力を供給することになるような……。
[セフィル]:「違うか?」
[吹雪]:「俺に間違いがなければ」
[セフィル]:「じゃあ、フェルの特徴とかを思い浮かべたらどうだ?
その人の印象深い部分を思い浮かべれば、比較的容易に想像できるだろう」
[吹雪]:「それは言えてるかもしれないですね」
[セフィル]:「フェル、ちょっと観察させてもらうぞ」
[フェルシア]:「え? は、はい、どうぞ」
[セフィル]:「うむ、さあ吹雪。見るんだ」
[吹雪]:「え? は、はい」
[フェルシア]:「あ、あんまり隅々まではダメよ? 吹雪くん」
[吹雪]:「だ、大丈夫です。外見しか見ませんから」
フェルシア先生の特徴は……。
[セフィル]:「ふむ、吹雪よりもフェルのほうが身長が高いんだな」
[吹雪]:「ぐさぁ……」
俺の心を学園長の言葉が鋭く抉った。
[フェルシア]:「学園長、ダメですよそんなこと言っちゃ」
[セフィル]:「ん? 普段何言わないから気にしてないのかと思ったんだが……」
[フェルシア]:「普段から気にしているからこそ、そういう話題にならないようにするものなんです」
[セフィル]:「そうか、でもフェルは女性の中でもかなり背が高いから仕方ないことだろう。そんな落ち込むな、吹雪」
[吹雪]:「は、はい……」
[セフィル]:「そんな小さいわけではないだろう?」
[吹雪]:「は、はい。170くらいです」
[セフィル]:「うむ、私とほとんど変わらんな」
[吹雪]:「うぐっ……!?」
またしても突き刺さる鋭利な言葉。
[フェルシア]:「だから学園長」
[セフィル]:「あ、すまんすまん。ちょっと意外だったからな、心配無用だぞ吹雪。君は十分大きい」
[吹雪]:「は、はは……本当ですか?」
[セフィル]:「ああ、君より小さい男子なんてこの地球上にこれでもかってくらいいる。そんなことでくじけていてはいかんぞ。祐喜を見てみるんだ。吹雪よりも結構小さいが、全くめげることなく生きているじゃないか。むしろそれを売りにしている勢いだ」
まあ、祐喜は童顔だからな。
[セフィル]:「人間身長じゃない、心だ。だから、気に病むことはない、分かったな?」
[吹雪]:「はい、ありがとうございます?」
[セフィル]:「うん、もうちょっと休むといい。どうする? もう一度やってみるか?」
俺は魔力のパーセンテージを見てみる。
[吹雪]:「そうですね、もう1回挑戦してみます」
[セフィル]:「了解した」
[フェルシア]:「頑張りましょう」
[吹雪]:「はい」
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