マルカート(7)
[場所:グランド]
[セフィル]:「さて、基礎体力も大分付いてきたはずだ。そろそろ本格的にホーリーカルムの練習に入っていこうと思う」
[吹雪]:「詠唱練習ってことですか?」
[セフィル]:「うむ、泊まり込みに入ったことだし、時間もたっぷりある。ここから本番に向けて仕上げるつもりだ」
先程早めに退出した学園長だったが、俺が走り込みを終えた頃にこうしてやってきてくれた。
[セフィル]:「すでに承知ではあると思うが、ホーリーカルムを詠唱する際に膨大な魔力を必要とする。あまり何度も練習すると大事に至る可能性もあるから、回数制限を設けていくつもりだ」
[吹雪]:「今の俺の魔力で、ホーリーカルムを唱えることはできるんですか?」
[セフィル]:「ここまでの練習は魔力の増加とそれを保つためのスタミナを得ることがメインだった。何度も、とはいかないが、詠唱することはおそらく可能なはずだ」
[吹雪]:「そうですか」
ここまで、自分なりに真面目に練習はしてきたつもりだ。努力が身を結ぶといいんだが……。
[セフィル]:「くれぐれも、無理はしないように。詠唱するだけで疲れる魔法だ。疲れた体で唱えるなど、自殺行為のようなものだからな」
[吹雪]:「はい、分かりました」
[セフィル]:「とりあえず、準備をしよう。フェル、例のものを」
[フェルシア]:「はい」
返事をすると、フェルシア先生は機械らしきものを持ってきた。
[吹雪]:「これは、何ですか?」
[セフィル]:「魔力の変動を測る機械だ。今は無色だが、魔力の変動が激しくなればなるほど機械はより鮮やかな色を示す」
[フェルシア]:「つまり、色が鮮やかになればなるほど、他の人に力を分け与えることができてるってわけ」
[吹雪]:「すごい機械もあるもんですね」
[セフィル]:「日々世界は進歩しているからな。魔法は使い方を間違えさえしなければ立派に生きる糧になる。その結晶がこの機械というわけだ」
[吹雪]:「素敵ですね、そういうの」
[セフィル]:「うん。……いかん、感動して終わりではなかったな」
[吹雪]:「そ、そうですね」
[セフィル]:「話を戻そう。吹雪、体に疲れはあるか?」
[吹雪]:「さっきのランニング以外はないと思います」
[セフィル]:「そうか、なら少し休憩を挟んでからにしよう。万全な状態で望むことが一番大事だ」
[吹雪]:「はい」
[セフィル]:「今のうちに、機械の使い方を教えておこうか。フェル」
[吹雪]:「はい」
フェルシア先生は、機械に付いている腕輪を右腕に巻き付けた。すると、機械の下に二桁の数字が表示された。