マルカート(5)
[セフィル]:「説明するぞ。ここに寝泊りする人数は6人、私は色々とやることがあるので泊まることはできないが、変わりにフェルに監督の先生をお願いすることにした。何か不便なこととかがあったらフェルに伝えてくれ」
[聖奈美]:「よろしくね、みんな」
[繭子]:「ワタシも先生なのに……何で監督はフェルなんだろ?」
それは、マユ姉が監督だと色々と大変だからだろう。言わずとも分かることだ。
[セフィル]:「期間は今日を含めて16日。午前中の練習は今までどおりだが、今日からは夕食後に夜の練習をメニューに加えていく。いつもよりもハードなスケジュールになると思うが、これをやるとやらないとではピアノの演奏、そのアシストの出来が確実に違ってくる。みんな真剣に取り組むように」
[全員]:「はい」
[セフィル]:「夜の練習は2時間、基本的には8時から10時まで。消灯は12時、強制的に電気を消したりはしないから、なるべくその時間に寝れるように準備をすること。風呂は申し訳ないんだが、学校に設置してあるシャワーを使ってくれ。生憎湯船はこの学校にはないんだ。女子には少々キツイかもしれないが、我慢してくれ。――と、大まかにはこんな感じか。何か質問はあるか?」
特に誰も挙手はしなかった。
[セフィル]:「時折私も様子を見に来る。その時はフレンドリーに振舞ってくれ。では、泊り込み練習会、よろしくお願いします」
[全員]:「よろしくお願いします」
[セフィル]:「じゃあ、荷物の整理をして……30分後に練習を始めれるように。それでは、私は一旦失礼する」
学園長は踵を返して歩いていった。
[繭子]:「ついに始まるんだね~、みんなとの泊まり込み生活が」
[吹雪]:「マユ姉、決して遊びじゃないんだからな? 俺たち自身を成長させるための大事な強化生活だってことを忘れるなよ?」
[繭子]:「大丈夫、簡単には忘れないから」
[吹雪]:「いや、絶対に忘れるな」
[繭子]:「だとしても、うきうきしちゃうよ。みんなと同じところに泊まって、夜ご飯食べて、学生時代の旅行を思い出すよ~」
やっぱり、旅行と重ね合わせていたんだな。