表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソプラノ  作者: BAGO
マルカート
104/1013

マルカート(3)

……こんな会話、杠とかの前でしてたら殺されるだろう。これは、舞羽だから許されるものだ。

[吹雪]:「心配するな、見ようなんて思ってないから。そういうのは、記憶の大事な奥底に閉まっておくのが一番のはずだからな」

[舞羽]:「う、うん。ありがとう?」

[吹雪]:「いやいや、気にすることはない」

むしろ、ありがとう言わないのは俺のほうかもしれない。

[繭子]:「ふーちゃーん、雪降ってきたよ~」

[吹雪]:「あれ? マジか?」

空を仰いだ直後、白い結晶が俺の眼球に滑り込んできた。

[吹雪]:「うっ! くそ、やられた」

[舞羽]:「あははは、あっ!?」

横で同じように目を抑え込む。

[舞羽]:「うう、やられたよ……」

[吹雪]:「自分は大丈夫と思いこむ、その油断が命取りになるぞ」

[舞羽]:「うん、今身に染みて感じてるよ」

[繭子]:「あはは、二人ともおもしろいね~」

[吹雪]:「油断してると、マユ姉も同じことになるぞ」

[繭子]:「大丈夫~、ワタシは二人より年上だから~」

[舞羽]:「年上とか全く関係ないと思うんだけど……」

[吹雪]:「まあ、聞き流してやってくれ」

[舞羽]:「う、うん……積もっちゃうかな?」

[吹雪]:「予報ではどうだったんだ?」

[舞羽]:「降るとは言ってたけど、積もるとは言ってなかったような気がする」

[吹雪]:「まあ、神のみぞ知るって感じか? 積もったら積もったでいつもと違う風景が見えていいんじゃないか? 別に嫌いじゃないだろ? 雪」

[舞羽]:「うん」

[吹雪]:「風情を楽しもうぜ」

[繭子]:「えーい!」

[吹雪]:「わぷっ!」

[繭子]:「わーい、当たった~。オリジナル変化球、“マユーン”」

このチビ介は、風情を欠片も分かってないようだ。

[舞羽]:「うっすらだけど、積もり始めてるみたいだね」

[吹雪]:「よーし、もう1球」

[繭子]:「そうは、させるか!」

[吹雪]:「にゃああっ!?」

俺はマユ姉の額に雪球をぶつけた。

[繭子]:「うう、痛冷たい」

[舞羽]:「新しい単語だね」

[吹雪]:「思い知ったか、ちんちくりんが」

[繭子]:「何~? なりたくてこうなったんじゃないんだぞ~?」

[吹雪]:「ふん、そんなの理由にならんわ。首を洗って出直して来い」

[繭子]:「むむ、負けるもんか。我の本当の力、今こそ見せてやる」

何だ、そのありきたりの展開は……。

[繭子]:「とりゃあっ!」

[吹雪]:「喰らうかよ! そらっ!」

――結局、登校するまでの間、マユ姉の雪合戦に付き合う羽目になった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ