マルカート(2)
[場所:学校への道]
[繭子]:「んふふ。未来のワタシに捧げるわ~、悲しみのバラードを~」
何故未来の自分にそんなものを送らないといけないんだろうか?
[舞羽]:「自分改革でもするのかな?」
[吹雪]:「さあな、本人しか分からないだろう」
[舞羽]:「でも、何だかいつもより楽しそうだね、マユさん」
[吹雪]:「昨日からそうなんだ。荷物詰めるときもすっげぇうきうきしながらやってたし、どうやらよっぽど楽しみにしてたらしい」
[舞羽]:「確かに、こんな機会は滅多にないもんね」
あれでも教師だ。こんな泊り込み生活は、学生以来してなかっただろうしな。思い出深いのかもしれない。
[舞羽]:「マユさんの気持ちも、結構分かるかも」
[吹雪]:「だがしかし、ちょっと緊張もしてると」
[舞羽]:「吹雪くん、私の考えてること分かるんだ」
[吹雪]:「ふっ、ナめるなよ? この俺だぞ? 舞羽のことは60%くらい知ってる」
[舞羽]:「お、思ったより半端な数字……」
[吹雪]:「あんまり自分を高くみてはいけないものだ」
[舞羽]:「そこは、もうちょっと高くみても……付き合い長いんだから」
[吹雪]:「お、嬉しいこと言うな。じゃあ78%くらい?」
[舞羽]:「う、うん。どうしてそんな数字なのかは分からないけど……」
[吹雪]:「そっか、俺は舞羽に関しては物知りでいれるんだな」
[舞羽]:「吹雪くん、元々物知りだと思うんだけど」
[吹雪]:「でもよ、俺が舞羽のことを知ってるってことは、逆もまた然りってことか?」
[舞羽]:「そう、だね。私も吹雪くんのことは結構知ってると思う」
[吹雪]:「おお、じゃあ俺の身長は?」
[舞羽]:「170くらいかな」
[吹雪]:「おお、やるな。じゃあ、俺の体重は?」
[舞羽]:「えっと……58くらい?」
[吹雪]:「すげぇな。じゃあ、とっときの問題だ。1年の夏の時に受けた魔法科学のテストでの俺と舞羽の点数差は?」
[舞羽]:「うーんと……確か、吹雪くんが76点で、私が67点だったはずだから。9点?」
[吹雪]:「……お前、俺より俺のこと分かってるかもしれんぞ。やるな、舞羽」
[舞羽]:「えへへ、私もたまには頑張れるんだよ」
舞羽の俺に関する知識は俺ペデ○アを記載できるくらいかもしれない。というかだ――。
[吹雪]:「俺の体重って、何処で見たんだ? 俺基本、風呂入る時しか体重計らないんだが」
しかも、その時はパンツ一丁だ。
[舞羽]:「え? えっと……フィーリング、かな?」
[吹雪]:「のわりにはちょっと慌ててるぞ。――まさか、覗き?」
[舞羽]:「し、してないよ~! ちゃんと理由はあるから~」
[吹雪]:「うん、言ってみなさい」
[舞羽]:「2年生始まって早々、身体計測があったでしょう? 学園全体を使って」
[吹雪]:「うん、確かにあった」
[舞羽]:「それが終わった後、みんなでお話してる時にチラっと……ね?」
首を傾げて俺の顔を覗き込んでくる。
[吹雪]:「なるほど、なら仕方ないな。つか舞羽よ、男の身体計測の結果なんか見て楽しいのか?」
[舞羽]:「ええっ!? 別に私はそういう趣味があるんじゃなくて! ただ、ホントにチラっと見えたのを覚えてただけだよ? ホントだよ?」
[吹雪]:「そうか?」
[舞羽]:「うん、もちろんだよ」
[吹雪]:「……分かってるよ、舞羽にそんな変な趣味があるなんて始めから思ってねぇよ」
[舞羽]:「本当?」
[吹雪]:「こんなもんじゃ、手緩いだろ?」
[舞羽]:「そ、そういう解釈なの!?」
[吹雪]:「はっはっは、本当に舞羽はおもしろいな」
[舞羽]:「もう……イジワル」
[吹雪]:「悪かったよ。まあ、見えちまったものはしょうがないな。許すしかあるまい」
[舞羽]:「そ、そう?」
[吹雪]:「その代わりと言っちゃあなんだが、今度舞羽の身体計測の結果見せろ。そしたらチャラにするぜ」
[舞羽]:「え、ええっ!? そ、それは、ちょっと……」
[吹雪]:「え? どうして?」
[舞羽]:「だって、ほら……女の子の身体計測には、男子にはない計測があるから、ね?」
[吹雪]:「ああ、なるほどな。まあ、分かった上で俺も聞いてるわけだが」
[舞羽]:「ええ? そんな……じゃあ、私墓穴?」
[吹雪]:「墓穴だな」
というか、本当に女子はそういうのも計測するんだな。新しい知識が増えた。