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第96話 許可証一枚 金貨百枚

森を出ようとした、その時だった。


「いたぞ!」


後ろから兵士の声が響いた。


「ジョン君!」


振り返る。


昨日の調査官だった。


今日も真面目な顔をしている。


「こんにちは。」


「こんにちはではない。」


「え?」


「探した。」


「僕ですか?」


「君だ。」


調査官はため息をついた。


「嫌な予感がした。」


「予感?」


「鉱山が見つかったと聞いて。」


「はい。」


「君なら必ず来ると思った。」


「なんでです?」


「儲かりそうだからだ。」


「その通りです。」


「否定しないのか。」


「だって儲かりそうでした。」


おっさんが横で笑う。


「ほらな。」


「ジョンは金の匂いすると一直線だ。」


「悪いことじゃないですよ。」


「半分はな。」


「半分?」


「残り半分は面倒を拾う。」


「そんなことないですよ。」


調査官とおっさんが同時にため息をついた。




兵士たちが鉱山へ駆け上がる。


あちこちから声が飛ぶ。


「魔鉱石です!」


「間違いありません!」


「かなりの量があります!」


「信じられません!」


調査官は静かに目を閉じた。


「……最悪だ。」


「そんなにです?」


僕は首をかしげる。


「ジョン君。」


「はい。」


「この鉱山は本日付で王都管理になる。」


「またですか!」


「当然だ。」


「でも僕たちが見つけたんですよ!」


「そうだ。」


「じゃあ!」


「感謝する。」


「それだけ?」


「それだけだ。」


「えぇぇぇぇ!?」


マクダフまで叫ぶ。


「俺ぁ命がけだったんですよ!」


「報告に感謝する。」


「だから感謝はいらねぇ!」


おっさんが吹き出した。


「今日はまともなこと言ったな。」


「でしょう!」


「でも何も貰えねぇ。」


「なんでぇ……。」


僕も納得できなかった。


「少しくらい分けてくださいよ。」


「できない。」


「一個だけ。」


「できない。」


「小さいやつ。」


「できない。」


「欠けたやつ。」


「できない。」


「粉でも。」


「できない。」


「ケチ。」


「規則だ。」


調査官は少しも表情を変えない。


強い。




しばらくして。


調査官が懐から紙を取り出した。


「代わりに。」


「お。」


「こちらを渡す。」


僕は受け取った。


立派な紙だ。


金色の飾りまで付いている。


「……。」


声に出して読む。


「『王都特別調査局 鉱山発見協力感謝状』」


マクダフも横からのぞき込む。


「旦那ぁ。」


「うん。」


「紙ですね。」


「紙だね。」


おっさんも見る。


「いい紙だ。」


「売れますか?」


僕は調査官を見る。


「売るものではない。」


「いくらになります?」


「名誉だ。」


「名誉って高いんですか?」


「値段は付けられない。」


「じゃあ無料?」


「そういう話ではない。」


「つまり。」


僕は紙を見る。


「お金にならない。」


「……。」


調査官は静かに目をそらした。


図星らしい。


「旦那ぁ。」


マクダフが小声で言う。


「焚き付けにはなりますかね。」


「やめろ。」


「紙ですし。」


「やめろ。」


「寒い日は役立ちそうで。」


「本当にやめろ。」


調査官の額に汗が浮かんだ。




町へ戻る途中。


僕は感謝状を丸めながら歩いていた。


「おっさん。」


「なんだ。」


「僕。」


「うん。」


「鉱山見つけたんですよ。」


「ああ。」


「なのに。」


「一文にもならなかった。」


「そう。」


「なんでですか。」


おっさんは少し笑った。


「ジョン。」


「はい。」


「世の中な。」


「はい。」


「儲け話を見つける奴と。」


「うん。」


「儲ける奴は別なんだ。」


「……。」


その言葉だけは。


なんだか妙に心に刺さった。


でも。


僕はすぐに顔を上げる。


「じゃあ。」


「?」


「次の儲け話を探します。」


おっさんは声を出して笑った。


「懲りねぇな。」


「だって。」


僕も笑う。


「いつか一攫千金です。」


その少し後ろで。


調査官は二人を見送りながら、小さくつぶやいた。


「……だから目が離せない。」


【あとがき:現在のステータス】


【スキル】

■武器系

刀剣スキル 20

盾スキル 3

戦闘技術スキル 13


■生産系

料理スキル 13


■その他

鑑定スキル 0.3


【所持金】

171g(銀行預け金:250g(銅貨2枚、半銅貨5枚))

財布の中身を見るたびにため息が出る。


【所持アイテム】

・???のスクロール 6枚

・奴隷のマクダフの野郎

・武器破損した剣

・???の指輪(バンステ金策で入手)

・ゴブリン(テイム)

・ケムトレイル群

 立場:保護対象

 詳細:不明

・キュ太郎

(魔鉱石を金貨に変えた。説明書が欲しい。)


【投資・契約】

・中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)

 元本:金貨10枚

 状態:運用中

 想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)

 詳細:非公開/高リスク


状態:運用中

ジョン

「増えてるかな?」

銀行

「手数料は増えております。」


【装備品】

・骨護札の首かざり

・水トカゲの手袋(呪)



【本日の収支】

感謝状(紙一枚)


ジョンの一言

「次はちゃんと儲かる気がする。」

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