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第106話 旅商人の土産

朝。


商人ギルドへ行くと、入口に荷馬車が何台も止まっていた。


「今日は賑やかだね。」


大きな木箱。


樽。


布袋。


荷物が山のように積まれている。


「旅商人の日だからな。」


おっさんが教えてくれた。


「旅商人?」


「町から町へ商品を運ぶ商人だ。」


なるほど。


だから知らない顔が多いのか。


その時。


「君がジョン君か?」


立派な口ひげを生やした男が近付いてきた。


「はい。」


「噂は聞いている。」


「採掘資金の発起人だそうだな。」


僕は嬉しくなった。


「はい! みんなで鉱山を掘るんです!」


旅商人は豪快に笑った。


「はっはっは!」


「若いのに立派な志だ。」


「ありがとうございます!」


横でおっさんが小さくつぶやく。


「……たぶん話が噛み合ってない。」


応接室。


旅商人たちが机を囲んでいた。


商人ギルド長もいる。


「ジョン君。」


「はい。」


「今日は相談があります。」


「なんでしょう?」


旅商人が一枚のM資金券を机に置く。


「これを他の町でも使いたい。」


「え?」


「隣町や港町でも売ってほしい。」


僕は首をかしげた。


「でも。」


「鉱山はここですよ?」


旅商人たちは顔を見合わせる。


「もちろん。」


「出資だ。」


「そうそう。」


「出資だとも。」


みんな笑顔だ。


「それなら!」


仲間が増える。


僕は素直に喜んだ。


「遠くの人も鉱山を掘ってくれるんですね!」


一瞬だけ。


部屋が静まり返る。


ギルド長が咳払いをした。


「……そういうことにしておきましょう。」


「?」


よく分からないけど、話はまとまったらしい。


午後。


ギルド前の広場。


旅商人が荷馬車へ荷物を積んでいる。


布。


香辛料。


工具。


そして。


小さな木箱。


箱には鍵が掛けられていた。


「それは何ですか?」


僕が聞くと、商人は笑う。


「大事な商品だよ。」


「ガラス?」


「いや。」


男は箱を軽く叩く。


「信用だ。」


「信用?」


意味が分からない。


「紙しか入ってないぞ。」


おっさんがぼそりと言う。


「え?」


「その箱の中身は、M資金券だ。」


「ええっ!」


思わず驚いた。


「あんな小さい箱で?」


「銀貨なら荷車一台分だ。」


「でも紙なら箱一つ。」


確かに。


持ち運ぶのは楽そうだ。


「便利だね!」


「そうだ。」


旅商人は満足そうに頷いた。


「だから売れる。」


その頃。


町外れ。


新しくできた両替所。


「明日、隣町にも支店を出します。」


「早いですね。」


「旅商人が運んでくれますから。」


「では、向こうでも交換を?」


「もちろん。」


店主は笑った。


「手数料は、どこの町でも取ります。」


二人は大笑いした。


夕方。


中立共栄大金庫。


支店長の机に一通の手紙が届く。


封を開く。


読み進める。


部下が尋ねた。


「どこからです?」


「隣町の支店だ。」


「内容は?」


支店長は静かに紙を置いた。


「M資金券を見たそうだ。」


部下の顔色が変わる。


「もう町を出たのですか?」


「……思ったより早い。」


支店長は窓の外を見る。


夕日が町を赤く染めていた。


「止めるには遅い。」


「では?」


「王都へ報告しろ。」


部下は息をのむ。


「ついにですか。」


「まだ報告だけだ。」


「だが。」


支店長は苦く笑う。


「向こうが黙っているとは思えん。」


宿へ帰る道。


僕は旅商人を見送っていた。


荷馬車がゆっくり町を出ていく。


「頑張ってねー!」


「また来るよ!」


旅商人は手を振った。


僕も大きく振り返す。


「これで採掘仲間が増える!」


嬉しくてたまらない。


その横で。


おっさんは遠ざかる荷馬車を見つめたまま、小さくつぶやいた。


「……あれは鉱山へ向かってるんじゃない。」


「町を変えに行くんだ。」


僕には、その意味が分からなかった。


荷馬車は地平線の向こうへ消えていった。


そして、その小さな木箱の中には――


町ひとつを揺るがす「紙」が、静かに眠っていた。

【あとがき:現在のステータス】


【スキル】

■武器系

刀剣スキル 20

盾スキル 3

戦闘技術スキル 13


■生産系

料理スキル 13


■その他

鑑定スキル 0.3


【所持金】

171G(銀行預け金:250G(銅貨2枚、半銅貨5枚))

ジョン

「旅費もかかるし、節約しないと!」

おっさん

「まずはツルハシ代を貯めろ。」


【所持アイテム】

???のスクロール 6枚

奴隷のマクダフの野郎(今日も裏社会で何か企んでいる)

武器破損した剣

???の指輪(バンステ金策で入手)

ゴブリン(テイム)

ケムトレイル群(保護対象)

キュ太郎

(荷馬車を見送りながら「きゅー」と一声鳴いた。)

【投資・契約】


中立共栄大金庫投資案件(ポーシャ支店)

元本:金貨10枚

状態:運用中

想定利回り:2倍〜5倍(説明ベース)


ジョン

「帰ってくる頃には増えてるかな?」

銀行

「契約満了までお待ちください。」


【M資金の現在】

目的

鉱山採掘資金


発行券種


100G券

500G券

1,000G券

5,000G券


参加窓口

ジョン

商人ギルド


利用地域

ポーシャ町

隣町へ流通開始(NEW)


新しい動き

旅商人がM資金券を他の町へ持ち出す


現在の用途

ジョン

「採掘資金!」

町人

「夢への出資!」

商人

「決済!」

両替屋

「手数料!」

銀行

「保管!」

旅商人

「持ち運びやすい商品!」

ジョン

「仲間が増えた!」

おっさん

「……問題も増えたな。」


※ジョン個人の所持金に変動はありません。


ジョンの一言

ジョン

「遠くの町の人とも、一緒に鉱山を掘れたら楽しそうだ!」

おっさん

「その前に、遠くの町が勝手に儲け始めそうだな。」

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