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第七話……「だ、ダメだよ!」

「ここだよ」


 快速電車に乗って、四駅先で降り、十分ほど歩いた所にその劇場はあった。


 天川くんが言っていた劇団がそこで活動しているらしいが、この劇場の名前には身に覚えがあった。

 劇場『モダンマスカレード』。略称『モダマス』。


「え、すごい偶然! 私がこのヘアピンを買ったのは、この劇場だよ!」

「ふふ、知ってるよ。だから、それを最初に見た時、驚いたんだよ。そして、それはきっと、ここねちゃんに似合うだろうなとも思っていたからね。一体、何度運命を感じさせてくれるのか、楽しみになるね」


 天川くんの褒め言葉に、あの時、ヘアピンを付けた『私』を『かわいい』と言ってくれたことが分かって、劇場に入る前の緊張に加え、私の心臓の鼓動はさらに早くなったようだった。


「いやぁ、多分もうないよ」

「いや、あると思うよ」


 私が恥ずかしさを誤魔化すために適当な返事をすると、天川くんが私を劇場内に案内しながら、ポジティヴに反論してきた。


「僕はね、自分にとって良い偶然は『運命』と呼んで、悪い偶然は『事故』と呼んでるんだ。

 自分に関係ないただの偶然は『偶然』としか言わない。

 『運命』が重なり続けた場合は『奇跡』。

 まぁ、どれもそのまんまだね。

 でも、昨日言った通り、君に会えたのは『運命』だし、実はファイアプ解散も『事故』じゃなく、『運命』だったんだよね。

 ファンだった人達には悪いけど、僕はアイドルを辞めたいと思ってたから、良いタイミングだったんだよ。

 そういう意味では、僕が『事故』を『運命』に変換したと言っても良いかもね。それは、『僕だけ』ができることだから……」


 その時、天川くんがさらにじっと私を見つめたような気がした。

 本心を晒すような真面目な話だからだろうか。それとも、私への問いかけだろうか。


「僕はそもそも、なんでファイアプのファンになるのか、理解できなかったんだよね。どう見てもアイドルグループとして胡散臭いし、それが滲み出てたと思うんだけどね。真のファンなら僕達のことをしっかり見てほしいよ。そしたら、絶対にファンを辞めるから。

 そういう矛盾と葛藤が常にあって、この先続けても僕の表層しか見られないだろうなと思って、アイドル活動自体を辞めた」


 天川くんの、いや、『そら』くんの愚痴をこんな所で聞けるなんて夢にも思わなかった。

 確かに、そういう理由ならアイドルを辞めても不思議じゃない。


 それこそ、真のアイドルなら、何も考えることなく、そのカリスマ性で注目を集められるだろう。

 しかし、普通の人は、アイドル像を必死に作り上げなければならず、それは仮初の自分で、本当の自分がどこにいるのか悩んでしまう。


 良くも悪くも、『そら』くんは普通の人だったのだ。おそらく、事務所に無理矢理アイドルをやらされてたんだろうと容易に推察できる。

 でも、それならなんで劇団に入ったんだろう。それならテレビ俳優でも良かったのではという疑問が瞬時に湧いてくる。


「じゃあ、なぜ僕が『ここ』にいるのか。その理由はもちろん、当時共演した『九葉ねいろ』の存在。『ここね』ちゃん、君だよ」

「私? 天川くんが劇団に入っている理由が『私』?」

「そう。その前に、まずはこの人に会ってからだね」


 そう言って、天川くんは劇場ステージに続く正面の扉を開け放った。


「お、やっと来たかぁ! あなたが『りゅう』が言ってた『ここね』ちゃんね! ようこそ、劇団『ペルソナライズ』へ!」


 中に入ると、高身長のボーイッシュな女性が一人、ステージでこちらを向いて歓迎の台詞を叫んだ。

 役者だからか、とんでもなく通る声だ。


 劇団『ペルソナライズ』か……。『モダマス』に倣うなら、『ペルライ』かな。


 ちなみに、『りゅう』とは天川くんの名前だ。『天川りゅう』が氏名で、彼の学校での雰囲気からは、失礼ながら『りゅう』っぽさを感じないので、最初に聞いた時や改めて聞いた時は違和感を覚えたものだ。

 でも、もし『そら』くんが本当の天川くんなら、『りゅう』の名前には納得できる。


「私は団長の『土門れい』、劇場内では『れい』って呼んでね。よろしく!」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 私達がステージに近づくと、彼女も降りてきて、ステージ前でお互いに握手することになった。

 改めて近くで彼女を見ると、とても綺麗だった。舞台に立っているとしたら、女性ファンも多いんじゃないだろうか。


 その雰囲気から、年齢は三十前後ぐらいかな。あまりジロジロ見ないようにしてはいるが、れいさんも私のことを物珍しげにまじまじと見ている。


「……。ああ、ごめんね。なるほど、確かにあの当時から変わってないね。天才子役『九葉ねいろ』。私もあなたを探したことがあったんだけど、結局見つからなかった。会えて光栄だよ」

「そ、そんな……私なんて子役でも何でもない、ただの一般公募なのに、いつの間にそんなことに……」

「『裏社会探偵X』の第四話『裏母』を観た役者で、あなたの才能に気付かないのは、役者辞めた方がいい。

 でも、気付かない役者も気付いた役者も廃業に片足突っ込んでた。そのぐらい衝撃的だったからね。共演者はよく才能の差に耐えられたと褒めたいぐらいだよ。

 そういう意味では、真の役者だと言える。実際、彼らは一流俳優に成長した。『九葉ねいろ』のおかげでね」


 天川くんと同じようなことをれいさんも言っているが、それが私のことだとは未だに実感が持てない。

 そんな気持ちを知ってか知らずか、れいさんは話を続ける。


「でもね、私から言わせれば、その一流俳優も、『真の一流俳優』とは言えない。舞台を経験してない役者やミュージカルを経験してない役者、声優を経験してない役者、そして児童施設での劇の全てを経験していない役者は、真の一流足り得ない。

 そのどれもが、求められる演技スキルが全く異なるから。同じ『役』でも全ての状況に対応してこその『役者』なんだよ。だって、その『役』はそこに『存在』してるんだから」

「ここねちゃん、今れいさんが言ったこと、すぐには理解できないかもしれないけど、まさに当時の君が実演していたんだよ。

 あの『子どもA』は、あの時あそこに確実に『存在』していた。『生きて』いたんだ。それがテレビドラマというメディアを通して視聴者は観ていただけで、仮に『あの子』が舞台上にいても、アニメ上にいても、保育園内にいても、それを実感できたはずだ。

 もっと分かりやすく言おうか。声優さんがよく『アニメに魂を吹き込む』って言ってるけど、君ならそれをあらゆるメディアや場所で実現できる、みんなにそう思わせたところがすごいんだよ」


 天川くんが再度、私を高く高く持ち上げて、それにれいさんは賛同して『うんうん』と頷いている。私は演技論など当然分からないから、『そうなんだ……』と思うしかない。

 しかし、実際にそれを言うと、天川くんが昨日言っていたように、『天才の所業』とさらに持ち上げられてしまう。


 褒められるのは嬉しいけど、褒められすぎると恥ずかしくなってくる。さらにベタ褒めだと、その言葉を相手も自分も含めて疑ってしまうのは私の悪い癖だろうか。

 実は、誰でもそうなんじゃないかな。そして、期待を裏切ってしまうことが怖くなる。だから、否定する。


「あ、あの……。仮に昔はそうだったとしても、今それができるかと言うと、分かりませんよ? だって、ご存知の通り、あれ以来、演技は一切してないですから。

 だから、天才だって持て囃されても、その才能はとうの昔になくなっているから、今の私を褒めても何も出ない……みたいな」


 私が二人の意見を肯定しつつ、やんわり否定すると、れいさんが不思議そうな表情をして、口を開いた。


「ちなみに、前から聞きたかったことが一つあって、あれから役を演じてないのは分かってるんだけど、それまでは何か演じたことはあった? つまり、あれが最初で最後なのかってことを聞きたい。あの時、才能が開花したのか、すでに開花していたのか」


 れいさんの質問は、私にはすぐに理解できない妙なものだった。それを知って何が分かるのだろうと。

 私は不思議に思ったまま正直に答えた。


「『役』を演じたことはありません。保育園では『木』ぐらいで……。あとは、演じるってほどではないですけど、お姉ちゃんの真似をしていたぐらいで……」

「当時のお姉ちゃんってどんな子?」


 れいさんは追加でまた妙な質問をしてきた。


「まさにアイドル顔負けって言えるほどの完璧超人でした。でも、私のことが大好きなので、私から離れたくないと言って、普通の人生を歩むことになりました」

「そう……」


 え、何その反応。と思って、天川くんの方を見ると、彼も何とも言えない表情をしていて、二人が考え事をしている様子も伺えた。何か期待外れだったのかな。

 しかし、すぐに天川くんがその表情を改めて、私に話しかけてきた。


「ここねちゃん、そのお姉さんに会わせてもらえないかな?」

「え⁉️ だ、ダメだよ! それは……」


「どうして?」

「だ、だって……」


 天川くんがお姉ちゃんのことを絶対に好きになるから、とは言えない。


「じゃあ、ここでお姉ちゃんの真似してみてくれる?」


 私が言い淀んでいると、れいさんが助け舟を出してくれた。

 いや、助け舟なのか? どんどん追い詰められているような気がする。


「でも、私がお姉ちゃんの真似をしても、二人ともお姉ちゃんのこと知らないから、しょうがないんじゃ……」

「知らなくても面白いことがあるからね。細かすぎて伝わらないみたいな感じで」


「私はお笑い芸人じゃありませんよ? オチも作れないし」

「まぁ、お姉ちゃんの素晴らしさを伝えるってことでいいんじゃない? お願い!」


 れいさんが私に拝むように手を合わせてお願いしてきた。

 この人がそこまでして見たいのは何なのかよく分からなかったが、お姉ちゃんの素晴らしさを伝えたい気持ちは少なからずあるので、仕方なくやることにした。


「分かりましたよ……。でも、あまり期待しないでくださいね。あ、お姉ちゃんの素晴らしさのことじゃなくて、私のモノマネのクオリティのことですからね」

「ありがと! 恩に着るよ!」


「それじゃあ――――ここね、役者に認められたなんてすごいよ。天川くんもベタ褒めなんでしょ? もっと誇るべきだよ」

「全然すごくないよ。二人とも今の私を見てるわけじゃないからね。過去の私を見てるんだよ」

「またそうやって自分を卑下する。素直にならないとダメだよ。みんなは、ここねの良いところをもっと伸ばしたいんだよ。私も含めてね」

「伸びる保証なんてどこにもないのに? ずっとアイドルになれない私を? 無理だよ」

「違うよ、そうじゃない。アイドルを諦めるからできることなんだよ。一つのことを諦めたから全部できないと決めつけるなんておかしいでしょ?

 ここねは天川くんのおかげで前に進み始めている。でも、後ろを見すぎている。荷物も持ちすぎている。どうすればいいか分かるよね?」

「アイドルは荷物じゃないよ。荷物は私自身。誰かに持って行ってもらわないと動けない」

「じゃあ、アイドルには一生なれないね。アイドルはみんなを引っ張る存在だから」

「アイドルは担ぎ上げられるものでしょ? ならピッタリだよ」

「だったら、もう私から天川くんに会いに行くから」

「な⁉️ なんでそうなるの⁉️」

「ほとんど示されている今の道を進みたくないんでしょ? 天川くんがいると、アイドルになれないんでしょ? それなら私と天川くんでその道を行くから。関係ないよね、ここねには」

「そ、それは……あ、あるよ……」

「どこがどう関係あるの?」

「あ、天川くんは元アイドルだから、色々相談できる……」

「それは関係ないって言うんだよね」

「関係ある! 関係あるから!」


 私がとうとう限界に来たところで、突然ガタッという音がれいさんの方から聞こえた。

 劇場の椅子にもたれかかっているようだ。


「れいさん、大丈夫ですか⁉️」


 天川くんが、れいさんに声をかけるが、私には何が起こったのかよく分からなかった。


「う、うん……。ごめん……。あまりのことに、腰を抜かしそうになって……。やっぱり、あなたは紛れもない天才だよ。まさか、一人二役の『エチュード』のような即興劇が始まるとは思わなくてさ。

 そして、何より二人とも『そこにいた』。りゅうだって私に大丈夫ですかって言ってたけど足震えてたからね?」

「見られてましたか……。僕ももう少しでよろめきかけてましたからね。正直、『これ』をあの時見せられていたら、全員役者を辞めてました。あの時の『子どもA』は片鱗でしかなかったんだ。今の僕とれいさんで良かった。他の団員でも、初めてこれを見せられたら厳しいと思います」


「ええ、本当に。ここねちゃん、言っておくけど、今のはモノマネとかいうレベルじゃない。『憑依型演技』とも違う。言わば、『投影型演技』。観ている人が、その役が本当にそこにいるかのように錯覚するってこと。あなたとは別にね。

 つまり、『子どもA』の時とも違った演技ということでもある。私は『アレ』を憑依型演技だと思ってたけど、今考えれば全然違ったようだね。あれは言わば、『自己投影型演技』。

 本来の『自己投影』は、『自己の感情を他者に投影し、他者が自分と同じように感じていると思い込む』だけど、この場合は、役の『存在』を自己に投影し、あたかもそこにいるかのように他者に思い込ませる。

 役者の世界では、よく『役に成り切る』って言うけど、ここねちゃんの場合は『成って』もいない。存在を映しているだけと言えるのかも。でも、それが果たして演技と言えるのか……は置いとくとして……。

 まぁ、言葉で表すのは簡単だけど、こんなことができる人なんて、もちろん今まで見たことない。台詞の具体性が云々の話でもないから、どうやってそれを実現させてるのかも分からない。凡人の理解が及ばない、それこそ決して真似できない完全に別次元の天才だよ」


 私の名前が呼ばれなければ、誰のことを言っているのかよく分からないほど、『別次元』の話の展開で、私もよろめきそうになる。私はただ『いつも通り』だっただけなのに……。


「僕はさっき、君の『投影』を見たのが『僕とれいさんで良かった』って言ったけど、僕はともかく、れいさんのことはいわゆる『真の一流役者』だと思ってるんだよね。『真の一流俳優』の条件の話が挙がったけど、その条件を満たし、なお役者であり続けているから。だから、君を目の当たりにしても耐えられた。

 そして、団員にもそうなるような指導をしたり、機会を与えてくれたりする。

 君に近づくために……君のような『真の一流天才役者』に近づくために。

 それが、僕が『ここ』にいる理由なんだ」

「劇場『モダンマスカレード』は、直訳すると『現代の仮面舞踏会』。劇団『ペルソナライズ』は造語だけど、直訳すると『仮面化する』。役者一人一人が舞台である仮面舞踏会で踊れるような、役である仮面を身に付ける、あるいは自分自身が役という名の仮面になり、『ステージの上』に上がって行く、という意味が全体に込められている。

 ここねちゃん、あなたには是非『ペルソナライズ』に参加してほしい。それこそ、一生のお願い。あなたは、役者の世界に革命をもたらす才能を持っている。革命はその性質上、必ず混乱を招くけど、私がそれをできるだけ抑えるから。

 腑抜けた役者に活を入れて、評価されない優れた役者を引き上げたい。衰退していく劇場の数々に対して、見て見ぬ振りをしたくない。つまらない役者も作品も世に出させたくない。私達がいれば、それらを解決した『世界』が作れる。

 私はそれを自分で『ゲキヤク革命』という怪しい名前で呼んでる」

「ま、待ってください。そんなに壮大なこと、私がいたところで……無理ですよ……。それに私は……」

「アイドルになりたい?」


 天川くんが私とお姉ちゃんとのやり取りを汲んで聞いてきた。


「うん……。でも、色んな所に応募しても全部ダメで……」


「私からも聞いていいかな? どうしてアイドルになりたいの? 女の子の夢だから? キラキラしてそうだから? 注目を浴びたいから? りゅうから話は聞いたかもしれないけど、そんなことはないんだよ、現実のアイドルは。

 もっとドロドロしていて、自分自身もドロドロになっちゃって、私から言わせてもらうと、絶対にここねちゃんを近づかせたくない世界。と言うより、今の芸能界全てかな、近づかせたくないのは。『ここ』を除いてね。

 りゅうは運が良い。子役時代に私に会えてたから。そうじゃなかったら、すぐに壊れてたよ。ファイアプの他のメンバーみたいにね」


 やはりファイアプの問題はリーダーのスキャンダルだけじゃなかったみたいだ。

 いや、それよりも……。


「私がアイドルになりたい理由は……」

「理由は? 言っておくけど、応募書類に書くような薄っぺらいことを聞きたいわけじゃないからね」

「…………」


 私は答えられなかった。答えたくなかった。答えてしまったら……。


「りゅう、分かる?」


 やめて……。


「はい……。ここねちゃんは、『投影』の前の話で、『お姉ちゃんは普通の人生を歩むことになった』と言った。お姉さんがアイドルになれない代わりに、ここねちゃんがアイドルになろうとしてるんじゃないかな。自分がアイドルになれたら、当然お姉ちゃんもアイドルになれる。それを証明できる。そしたらアイドルとして一緒にいられる、と考えた」


 やめてよ……。


「なぜアイドルになりたい本当の理由を答えられなかったのか。その答えは、『自分の夢』じゃないから。『お姉ちゃんの夢』を自分がトレースしてるだけだから」


 やめてよ‼️


「ごめんね、ここねちゃん。勝手に代弁して。でも、きっとこれが君のためになると信じてるから……」


 私の呼吸が荒くなっているのが分かる。心臓の鼓動がかつてないほど早くなっているのが分かる。酷い頭痛が私を襲い、立っているのもやっとになっているのが分かる。

 なんでこんな酷いことするの? れいさんも天川くんも最低だよ。私を追い詰めるだけ追い詰めて、自分達の思い通りになるようにして。

 結局、私のことなんて考えてないよね? 私はあなた達のことを考えて話していたのに……。


 もうここにはいたくない。いればいるだけ『私』が壊れていくことが分かったから。


「すみません、帰ります……」


 私はすぐに翻って出口に向かったが、こんな時にまで謝ってしまう私が憎らしかった。


「ここねちゃん……!」


 天川くんが私を呼び止める声が聞こえたが、後ろを振り向く気も気力もなかった。

 余計なことを少しでもしただけで、家に辿り着けなくなる。それほど私は疲弊していた。


 家に帰ったあとのお姉ちゃんとの会話はなく、トイレで吐き終わってから、私はすぐに眠りについた。


 次の日の学校は休んだ。

次回更新予定日は活動報告をご覧ください。

ブックマーク、レビュー、ポイント等、いただけると嬉しいです。

Xアカウント @tachizawalude

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