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第4話 行動が同じでも目的が違えば色々違う

 しかし、やりたいことは決まったけど方法がわからん!


「もう一度確認しようか☆ とりあえず、魔王の討伐、これは絶対☆」

「ヒト属への報復、これも譲れない!」

 ライガ入ってくんなし。


「それは……具体的にはどうするおつもりですの? ヒト属を根絶やしにでも?」

「……痛いとこついてくるねぇ」

 耐えねばならんのだよ。復讐は復讐を呼び、終わりなどない……って師父が言ってた。


 さて……。




「今の生活に満足して、正直ヒト属なんかもう放っておけという意見すらある。だけどな――」

「……」


「だけどよぉっ! そしたら死んじまった俺の妻は! 遺された子どもは! みんなのことはどうすりゃあいいんだよっ!」

「……ライガ」

 奥さんを……。


「収まんねえだろうが! この怒りも苦しみもっ!」

 大切な家族、仲間、居場所……なくなったものは戻らない……。




「ライガ。ボクは別にキミたちがどう行動するかについて強制するつもりはない。けどね、見誤ってはいけないよ」

「……何だとっ!?」


「“本当の敵”をさ。わかってるんだろ? ヒト属が全員悪いんじゃないって」

「そんなこと――っ!」


「だったらさ、根絶やしにするための戦争なんてどっちにも不幸しかないこと、やめなよ☆」

「……………………なら、どうしろってんだよ」


「キミたちがかつて、いや今も受けている理不尽。何でこんなことが起こるんだろうね?」

「それは……」

「……亜人は野蛮、亜人はヒトより劣る。その考えがあるからですわ」

 

「その通りさ、プリンちゃんっ☆ おかしいね、つい数百年前はそんな考えなかったのに」

「そんなもの……どうしろってんだよっ!」


「割と簡単じゃない? 彼の国は王政だからね☆ 王が左手でナイフを持てば、国民もそれに倣うだろうさ」

「王に……俺らのことを、認めさせろと……?」


「まぁ、それでも人の考えは本質的にはすぐには変わらない。無理かもしれないし、改善されるのはキミらが死んだ後のことかもしれない。キミたちが戦うべき相手はそういうものさ。けれど、ここで間違えればきっといつまでも争いは終わらないよ」




 話も一段落、したかどうかは知らないけど、寝ているであろうディちゃんの頭を撫でようとするも――。


「ディは、もし主が殺されたら、そいつも殺さなきゃ気が済まない」

 あ、起きてたの……ってかディちゃんの覚悟重いっ!


「そりゃ俺だって直接やられたやつには、どんな理由があってもやり返すよ」

「当然」


「けど他の人、『亜人は悪い』って間違った教育されてきた人には反省の余地がある……ってことじゃないかな?」

「……難しい」

 ほんと、婆は説教臭……話が難しくっていかんぞっ☆


「……ちょっと頭を冷やしてくる」

 そう言って離れていくライガ。


「……どのような選択をするのでしょうか」

「さぁ☆ 簡単に決められることじゃないからねっ☆」

 さっき簡単って言ったじゃない!


「いずれにしても、目的は変われど手段はあまり変わらないだろうからね☆」

「『王に認めさせる』、亜人を見下してきた彼らが簡単に『はいわかりました』なんて言いませんもの」


「そうとなれば、プリンのとる手段も決まってくるじゃろっ☆」

「……王の説得……! 彼がどのような選択をしても、王と話す必要がありますわね!」




 話も何とかまとまったようだ。

 しかし、みんなは気づいているだろうか……強制はしないといいながらほぼ婆の言った通りになっているという事を……!


「(勘のいい餓鬼は――)」

 だからそれ敵役のセリフッ!




 ◆◇◆◇




 ――翌日。


 ライガが国民の前で戦争に発つ前の演説をするそうな。




「――いよいよ、この時がきた」

 みんなどこか暗い光をその目に宿している……。

 待ちに待った復讐の時、その感情を抑えられないように……。


「戦争だ。メンシュライヒのやつらに復讐する機会が訪れたっ!」


「「「うぉぉぉーっ!」」」

 

「……」

 ライガが片手でみんなに鎮まるように制する。




「――しかしだ、俺は……復讐はやめようと思う」


「「「……」」」

 突然の、予期せぬ言葉に会場が一気に静かになる。


 やがて――。


「な、何でだよっ!?」

「俺はこの日のために生き恥を――っ!」

 会場から戸惑いの声、憤りが次々と湧いてくる。


「勘違いしないでくれ。今まで受けた屈辱やそれに対する恨み、憎しみ……それを忘れた訳じゃねぇ」

「それなら何でっ!?」


「……暴れるだけじゃ何も変わらないからだ」

「――そんな事とっくに知ってるよっ!」

「今更何なんだよ! 復讐しないならこの先どうすりゃいいってんだっ!?」




「復讐ではなく……遺された者のために戦ってくれ!」

「……は?」


「子ども! 友人! 親兄弟! 誰でもいい! そいつらの未来のために! 恨みを忘れろとは言わねぇ! しかしただ復讐のために暴れるんじゃない! 未来のために戦うんだ!」




「俺はこの戦いで人間の王に認めさせる! 俺たちの権利を、存在を! 対等なものだと!」

「そ、そんなこと……!」


「それじゃあ納得できない者もいるだろう! 愛する者を奪われた憎しみも消えやしない! だがっ! 遺された大事な人たちが生きやすいように! 憎しみに囚われないように! どうか俺に力を貸してくれ!」


 静まり返る場。しかし、数瞬の後――。




「……俺はやるぞ! 子どものためにだ!」

「そうだ……復讐のためじゃない! 獣人の未来のためだ!」

「いくぞっ! 未来のために戦うんだーっ!」

 人々の目に、明るい灯が点る。




「「「うおおぉーーーっ!」」」


こういう演説系の文章を書くのはとても難しいです……。

うまく書ける人を尊敬します。

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