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第3話 魔王と旧敵と

 タイグルリオンにやってきた俺たち。

 あまり長居はしてなかったけど、ここも俺たちの居場所なんだよなー。


「遅いっ☆ 遅いよキミたちっ☆」

「いや結構頑張ったと思うんだけど……」

「あたしの故郷から頑張ってきたのよっ!」


「むっ、そうか……久しぶりの家族は――いや、今はやめておこう。それより魔王じゃ、だよっ☆」

「その魔王ってのは……一体……?」


「うむ。一般的には、稀に出現する超強い魔物って言われてるよっ☆」

「実際は?」


「う、うむ……。ランク5の討伐が叶わなかったりしたときの最終手段だょ☆」

「つまり?」


「オリジン種も本気でお前らを狙ってきたってことだょ☆ もう人類ではどうにもならんってね☆」

「何で?」


「……何で、とは?」

「何でランク5だからって命を狙われなきゃいけないんだよっ!」




「……」

「何なんだよっ! オリジン種の狙いは! 別に誰に迷惑をかけてるわけでもないのにっ!」


「……魔王を乗り越えられたら、全て話すよ」

「……くそっ!」


「シュナさん、落ち着いてっ!」

「よしよし」

 ソフィたんに抱きしめられ、ディママに撫でられる。


「とにかく、魔王を討伐すればいいんだな! どこにいるんだ?」

「それがわからないんだよ。魔王の出現場所はコントロールできない」

 まじか。それ手段としてどうなの?


「言ったろ、最終手段、じゃと。目的を達成するまでの被害や魔王の鎮静化の手間、本来切りたくない手札なんだょ☆」

「さ、左様でございますか……」

「もしかしたら、人里って可能性も……?」

 プリンちゃんは元王族として、民の危険は見逃せないんだろう。


「本来は索敵と転移の得意なあるオリジン種が一早く見つけるのじゃが……どうにも連絡が取れないらしい☆」

「転移? できるやつは倒したけど……もしかして転移できるのそいつだけ?」


「まじでか……やつに一番苦戦すると思っていたのじゃが……。そうじゃ、転移できるのはそいつだけだょ☆」

「そりゃラッキー! もう気を張ってなくていいのね!」

 いつ襲われるか分かったもんじゃないしね……特にお寝んね中とか!


「莫大な魔力的コスト、空間認識力、自我の強さなどなど。空間転移なぞ、他を犠牲にしてでも取得できるもんじゃないわい……」

 ドアを開けたらどこへでも、何て夢のまた夢ということか……。


「ともかく、情報が入るまではしばらくここで過ごすがいい」




「望んだ情報と違うかも知れねぇが、耳より情報があるぜ」

 やけにフットワークの軽いタイグルリオンの盟主、ライガ。


「どうしたんだい?☆ こんなところに☆」

「お前らが国に戻ってるってんでね、直接教えに来てやったのさ。遂に始まるぞ!」

「始まるって、何が?」




「メンシュライヒとの戦争だっ!」




 ◆◇◆◇



 ――プリン視点――


 頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けました。

 実際に殴られたことはありませんが……。


 いつかは起こると思っていた故郷との戦い。

 それが、タイグルリオンとの戦争になるなんて……。


 元の家族は別にどうでもいい、常に命や失脚を狙われていた訳ですし。

 しかし……戦争ともなると、罪のない国民や兵士の方々も……。


「戦争とは穏やかじゃないね。どういうこと?」

「おう! やつら各国地域に伝達したのさ! 『プディング王女とソフィア・ロベットを差し出せ、さもなければ――』」


「よろしい、ならば戦争だ!」

「まっそういうこった! 俺らとしてもこれを機にやつらに報復してやろうって訳さ!」

 我が夫も、ソフィアさんとわたくしが狙われていることに怒ってくれています。

 しかし――……だけど……。


「プリンちゃんは、どう思う?」

 そのソフィアさんに尋ねられました。

 どう、とは……。


「戦争となることについて、ですの?」

「う~ん、そうだけど……何ていうか……」


「お主たちが理由の戦争となることについて、かのっ☆」

「それだっ! さすがお婆ちゃん!」


「わたくしは……それで罪のない方々が傷つくのは……嫌ですわ……」

「よしっ! 戦争中止っ!」

 あ、あなた……?


「おいおい……今更そりゃ無理だぜ!?」

「別にそちらの邪魔はしないよ。ただ、俺はプリンちゃんがやりたいようにするだけさ!」

 あなたっ!


「――だそうだが、どうするんだい元王女様?」

「……わたくしは……戦争を止めたいですわっ!」


「よしっ! まずはライガをぶっ倒してこの戦争を止めるっ!」

「ひでぇっ!」

「シュナイダー、落ち着けっ!」


 どがっ!

 いでっ!


「いてぇよクリス! 冗談じゃん! 本気で殴るなよっ!」

「無駄に堅いのが悪い」

「で、止めるって具体的には?」

 話を無理矢理戻しましたわね。


「その前に、いいんですの? あなたもソフィアさんも、我が祖国には辛酸を味わわせられて……」

「私はシュナさんを傷つけられたのが嫌だっただけだしね」

「そんなこと、大事な人を優先するのは当たり前だろ! しなよ、プリンちゃんのしたいように! 全力で手伝うからさ!」


「――ありがとう、ございますわ。もういつ死んでも悔いはありません!」

「いや、それは困るけども……」

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