第1話 リルリルの故郷
新章です!
実は最終章の一歩手前だったりします!
最後までお付き合いくだされば幸いです。
よろしくお願いします。
リルちゃんの故郷を目指して数十日。
いよいよ、誰かが生活している痕跡がうっすらと見えてきた。
「ご、ごめんっ。はっきり場所覚えてなくて……」
「80年前のことだし、しかたないよ~♪」
むしろ、この辺まで覚えてることの方が奇跡的!
「こっちにも矢が落ちてましたわ! 比較的新しいですのっ!」
里のエルフが狩猟に使ったと思われる矢。
もう少しで……そんな予感がする。
「――あっち! 誰かいるっ!」
そう言って駆け出すリルちゃん。
いよいよ、旧友との再会となるのでしょうか!
「だっ誰だ! 見覚えのないエルフと……ヒト属!?」
「こんにちはっ! あたしはリルリル・リィ! 80年前まで近くに住んでたの!」
明るく元気に自己紹介できましたねっ!
「リィさんとこの関係者……? な、何のようだ? ヒト属なんか引き連れて!」
「里帰りと、新しい家族の紹介をしたくって……里の場所を覚えてないから、案内してくれないかなっ?」
「…………わ、私の一存では対処できん。そのヒト属に唆されてる可能性もある」
「……わかったわっ。けど、どうにか父と母に伝えて貰えないかしら?」
「……それくらいなら。了承した」
「ありがとうっ! ここで待ってるね!」
そう言って美形の兄ちゃんが去っていく。
「やっぱりヒト属は嫌われてるのね~」
「う、うん。ごめんね……」
「別にリルさんのせいではないですわ。ヒト属の業の結果ですもの」
ヒトとエルフの間に何かがあったのか。もの凄く警戒されていた。
待つこと小1時間程。
ソワソワ。
さっきからリルちゃんが落ちつかない様子でキョロキョロしています。
そりゃそうだ、80年ぶりの再会だものね。
「――来たっ!」
「リルちゃんっ! リルちゃんなのね!」
「あぁっ! あの頃と全然変わってない!」
「お母さん……お父さん……!」
そしてその後ろにもう1人いることに気づいた。
「リルっ! 会いたかった!」
「あなた……もしかして、ベル?」
確かに美女だけども。
「ひどいなぁ、もしかして忘れちゃってた? 私は初めて作ったクッキーのこと、忘れたことないよ?」
「うぅっ、あの時はごめんね……ベル……」
あぁ! リルちゃんが最初に呪いのせいで傷つけちゃったって人!
「ふふっ、謝らないで。いい思い出じゃない。それより、また会えてよかった……」
「ベルっ! 私も、会えて嬉しいよ……」
ベルさんに抱きつくリルちゃん。
「よく帰ってきたねぇ、リルちゃん。ずっとあなたのこと考えてたのよ。無事かなぁ、今何してるかなぁって……」
「そうよ、リル。あの後おじさまとおばさましばらく探して回ってたんだから」
「ベルちゃんも、ね。本当にまた会えてよかった……ところで、そちらの方々は……?」
「紹介するねっ! 私の新しい家族! 彼は――」
そう言って俺らのことを紹介してくれるリルちゃん。
……。
「な、なんと……そうか……リルも結婚したのか……」
「よ、よかったじゃないあなた! 少しお嫁さん多いみたいだけど……」
仕方ないじゃん! みんな好きなんだから!
「私はレゴラス・リィ。リルの父親だ」
「レミレ・リィ、リルちゃんのママよ」
あ、お父さんはお婿さんですかね、名前的に。
しかし、レミママは……こう、ママってよりお姉さんって感じ。
お2人とも揃って美形ですの。
「ところで、こんなところで立ち話もなんだから、できれば里に入りたいんだけど……」
「……そうしたいが……すまない、リルだけとなってしまうんだ……」
「ごめんなさい、ヒト属は入れてはいけない決まりなのよ」
そう言って俺ろを見る。
「やっぱり、みんなは入れない?」
「申し訳ない……もう少し時間を貰えればどうにかできるかもしれんが……」
ヒト属との間に埋められない溝があるのだろう。
エルフは長生き、恨み辛みも深いのかもしれない。
「それなら、あたしもいいや……」
俺らを慮ってくれるリルちゃん。
けど、それでいいのだろうか……?
「あのね、リルちゃん。私たちはいいから、ゆっくりご両親とお話して来なよ!」
「で、でも……」
「いいから! じゃないと……後悔するかもだよ……?」
「……わかった、ごめんね。みんなも……」
「大丈夫! みんなわかってるよ!」
「うむ! みなさんには申し訳ないが……」
「いいんですよ♪ しばらく親子水入らずでお過ごしくださいね!」
「リルちゃん! 久しぶりにママのお料理食べましょう!」
「行っちゃったね、おじさまたちとリル」
「そうだね、今日はたくさんお話できるといいなぁ」
取り残された俺たち、とベルさん。
「……あなた、夫の癖になかなか空気だったわね」
「こういうのはソフィたんの方がいいからさ。プリンちゃんも何も言わないからこれでいいんだよ」
適材適所ってことで!
外交はソフィプリの適所!
「ふぅん? 他人任せなのか信頼してるのか、どっちかしらね」
おっふ、なかなかズバッと言ってくれますな。
「ベルさんだっけ? あなたは戻らないの?」
「えぇ、リルの家族であるあなたたちが気になっちゃってね」
「あら、わたくしたちを見定めるおつもりですの?」
「どうでしょうね……私もヒト属は信用できないからね」
バチバチとなぜか火花を散らす2人。
まぁ、それもいいけどさ。
「そんなことより! リルちゃんとの思い出聞かせてよ! 恥ずかしがってなかなか話してくれないんだよー!」
「え、えぇ? 今の流れでそれを聞くの……?」
「あ、あなた……ふふっ。そうですわね、リルさんの小さい頃の話、お聞きしたいですわぁ!」
「……まぁいいけどさ。私たちが出会った時の話だけど――」
その後、湧水のように思い出話をしてくれるべルさん。
良かったねリルちゃん。こんなに思ってくれる友人がいて!
80年前の思い出だよ? 俺にはとてもできない。




