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第9話 困った時は必ず、的な

「……じゃあ、次は歴代最強と言われたドラゴン、個体名ファルシオン!」

 

 続いて出てきたのは、白銀に輝くドラゴン。

 ダンジョン産の模倣生物にも関わらず、王者たる風格を感じさせる圧倒的存在感!


 ち、ちびりそう!

 ドラゴンは俺を認識すると、その腕を振るう!


「うおっ! 『勇者に栄光あれ(ゴブリックグローリー)』!」

 盾を出すが、即座に破られる!

 

「あ、あっぶね!」

 何とか回避するものの、その威力はルフアードに勝るとも劣らない。

 ……まぁ相手は生身の生物、終わらせようと思えばすぐに終わるだろう。


 とはいえ、ワールドですぐって言うのも違う気がする。

 考えているうちに再びその腕を振るわれ、盾が破られる。


「流石に無理?」

 妖精さんが聞いてくるが、まだまだぁっ!

 よし、何とか攻撃を防げるようにしよう!




 それから魔力の込め方を工夫してみたり、範囲を狭めてみたりしたが効果はいまいち。

 次は……障壁を何層か張る、いわゆる多重障壁。


「これなら、どうだっ!」

 それもドラゴンにあえなく破壊されるが……何となくいけそうな気がする!


 もうちょい質を上げて……!

 しかし上げすぎると多重が間に合わない。


 この調子で練習だ!







 ドラゴンとの攻防を繰り返し、やがて――。


「GRRR……!?」

「やった! 止められた!」


「GRRR……!」

 ドラゴンも、良くやったなとでも言うような……あれ、本当にそんな顔してる気が……?


 しかし考える暇は与えないとばかりに本格的な攻撃を繰り返してきた!

 これからが本番だとでも言うように!


 爪のラッシュ、突進攻撃、ブレス。

 その攻撃を何とか防ぎ、時に失敗して……。




 そして……遂には終わりとばかりに、首を垂れる。


「……え?」

「……」

 ベロン。

 ドラゴンは大きな舌で俺を舐めると目を瞑り、最期の時を待つ。


「いや……え?」

「……」

 ゴリゴリ。

 ドラゴンは大きな顔を俺に擦り付け、再び――。


「いやいやいや! 無理でしょ!」

「何が?」

「……」


「いや、だからっ! こんなことされたら殺せないって!」

「んー、構わず殺しちゃいなよ。どうせ仮初の命だし」

 うわ、ひどいっ!


「無理っ! 何なら連れて帰る!」

「それは無理よ、ダンジョンの魔物だもの」

 そうだけど! そうだけど!


「そもそも殺す理由ないし! どうにかして!」

「えー……」




 押し問答の末、ドラゴンはそのまま観覧席に行くことに。


「大きい」

「GRRR!」


「まったく……次いくよ、音速を超えし蒼き針鼠!」







 その後も苦戦したり楽勝だったり、次々とかつてのランク5の魔物を討伐していった。




 ◆◇◆◇




「ふぅ、ようやく全部倒せたー!」

「……もう終わり?」

「お疲れ様」

 さすがに疲れたー!

 駆け寄ってきたディちゃんをなでなでしながら観戦席に戻る。


「精霊さんもありがとうね!」

「ううん、おもしろかったよ」

「GRRRR!」

 お前もありがとね!



「それで、約束の報酬ですけど……」

「約束というか、脅迫みたいなもんだけどね」


「……」

「……」


「……いいわよ、楽しませてもらったし。宝石とかでいいんだっけ?」

「うん! ありがたや~」


「ランク5を6体倒してたし、国がまとめて買えちゃうくらい? それとも、さっきの剣レベルの素材になるやつ?」

「……………………いえ、6人分の指輪になるくらいのもので大丈夫です。ダイヤモンドとかあればそれで……」

 正直めちゃくちゃ迷いました……。

 けど、ズルしてる感あるので控えめに……。


「……いいの、本当に?」

「うん。そうだ、せっかくなら指輪で作れる?」


「そのくらいなら別にいいけど……本当にいいの?」

「いいのいいの! ならさ、一緒にデザイン考えようよ!」

「ディも考える」


「……いいよ」

「じゃあ、まずは角に当たる部分は――」

「角っ」




 その後、なぜかディちゃんと精霊さんだけでデザインを決めていました。


 ◆◇◆◇


「はい、これでどう?」

「おぉーっ! すっごくかわいい! ありがとね!」

「わふっ!」

 2人のドヤ顔も納得のかわいさ! お疲れ様です!


「サイズ調整の効果はおまけで付けてあげたよ。大事にしなね。指輪も、お嫁さんも」

 そう言って指輪を7つくれる。


「ん? 数が1つ多いよ、おっちょこちょいさんめっ」

「失礼ね。あなたの分もおまけしてあげたのよ」


「あ、ありがとう……」

 やだ、素敵っ。




「さて、これで用事は終わりね」

「う、うん……そうだね……」

 何か、このままじゃ寂しいな……よくしてもらってばっかりだし。


「まだ用があるの? 本当にわがままね」

「あの、さ……よかったら、一緒に来ない?」


「……私の能力が欲しくなった?」

「能力……? いや、一緒にいて楽しかったし……色々貰ってばっかりだし、何かお返しもしたいなぁって……」

 脅迫まがいのことをしてる俺を気遣ってくれたり、優しい精霊さん。できれば、一緒に――。


「…………ううん、私は行かないよ。ここが好きだもの」

「……そっか」

 顔を見ればわかる、脈はない。


「わかった。それじゃあ、ね。今回は本当にありがとね!」

「さようなら。たまにでいいから、またダンジョン探索してね」




 ◆◇◆◇




 ――精霊視点――


「……行ったね」

「GRRRR……」

 変な奴だったね。あの女の子、ディちゃんは可愛かったけど。


「お前もお疲れ様」

「RRRR……」

 ドラゴンが私を慰めるように舐める。


「やめて。別に落ち込んでなんかないよ」

 どうしても、人間は信用できない。もう2度と関わりたくない。

 ……そうでしょう、シオン。


 まぁ、彼のように大事な人の為に貪欲になるだけなら、まだいいんだけどね。


「そろそろ帰ろう。お前もお休み」

「GRAAA!」


 別れの挨拶をするかのように大きく鳴き、姿を消失させる。




 そういえば、寝てばっかりで最近『世界』に繋がっていなかったな。

 ゴブリン人間なんて種族が現れてたのね。

 そう思い、接続する。


「……最近ランク5が多いなぁ。彼は……これかな? 『ゴブリニュートハイヤー』」

 彼もやっぱりランク5かぁ……。

 

 私たちにとって、『倒さなければいけない害虫』。


「…………」


 ◆◇◆◇


「ふぅ、やっと出口が見えてきたよ!」

「ん。よく頑張ったね、よしよし」

 ディちゃんお母さんに褒められる。


「遅かったね」

「あれ? 精霊さん、やっぱり一緒に行く?」

 さすがダンジョンの精霊さん、ワープもできるのね。


「行かないよ。これ、渡しに来たの」

 そう言って差し出されたのは、白銀の鱗のようなものでできたアクセサリー?


「これは……?」

「お守り。肌身離さず持ってるといいことあるかも?」


「お、おぉ。ありがとね?」

「うん。旅の無事を祈ってるよ」


 そう言って瞬く間に去って行った。


「な、何だったんだろうね? それに、これも」

「わからない。けど、嫌な感じはしなかった」


「……そっか! まぁありがたく貰っとこう!」

 そう言ってベルトに巻き付ける。


 お守りがキランと光った気がした。

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