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第3話 何かを背負うとはそう言う事

 プリンちゃんが無事にランク5となれた翌日。

 あまり同じ場所にいるのは良くないんじゃないかと言うことで、早速移動を開始する。

 ……たくさんの本を持って。


「道中の魔物は私に任せるがいいっ!」

 ソフィたん曰く、ここのところ何だか元気がなかったらしいクリス。

 もう大丈夫そうだね!


「お前は大量の本でも背負ってるがいいさ!」

 厳選したけど、まぁまぁの量の本……の上にさらにディちゃんとサキュ……。

 あの、さすがに、重いです……。


「高い」

「ぷっぷー!」


 2人の楽しそうな声を聞くだけで頑張れます……楽しそうだよね? バカにしてないよね?


「ふふっ、やっぱりお父さん見たいね♪」

「主は弟」

 弟に背負われるお姉ちゃん。




 ともかく、リルちゃんの故郷を目指す……つもりだったのだが。


「リルの故郷はどうやら……私たちの故郷を挟んで向こう側らしい」

「……」

「2人の故郷、ロベット領……」


 この世界で1番許せないのは誰かと言われたら、間違いなくそいつらだと言う。

 俺自身は直接面識はないんですけど。


「ちょっと寄ってく? ついでにぶちのめしてこーぜ!」

「……ヤツらは強い。今の私でさえ勝てるとは思えない程にな」

「……私も、行かない方がいいと思う」

 で、でも……!


「2人の故郷でしょ! 家族のお墓も……!」

「ありがとね、シュナさん。けど、今の幸せを危険に晒したくないの」

「両親も……みんなもわかってくれるはずだ……」

 そ、そんな……!


「あなた、1番悔しいはずの2人がそう言ってるのよ?」

「機を狙いましょう? わたくしたちは何も準備できていませんわ」


「……わかった、少し落ち着くよ。……ありがとねみんな!」

「ふふっ、こちらこそありがとう! 本気で怒ってくれて……」

「けど2人の故郷、遠くから見るのくらいいいわよねっ!」


「……そうだな。町が見えるところくらいまでならいいかもな」




 そうだね、そうしよう。今回はこの思いを忘れずに、しっかり準備してからだ!







 しかしこの先で、ランク5であるということとは、ということを思い知るのだった。







 ◆◇◆◇







「しかし、案外知られてないものなのね!」

 端っこの村から順に進んでいく。

 顔を隠しているとはいえ、リルちゃんの言うようにソフィたんやクリスだと気付く村人はいい様子。


「は、箱に入ってたもので……」

「私も鍛錬ばかりだったからな!」

 威張って言うことかよ!

 ソフィたんは……両親の方針だもの、仕方ないね!


「あら、市中に出向いて情報収集することも大切ですわよ!」

「城からこっそり抜け出して?」


「……よくわかりましわたね。まぁ、影からロベルトが見てたらしいですけど」

 さすがお転婆!

 市中で偶然出会って何だかんだ仲良くなって……ってパターンもあったのかぁ。




「ソフィアの故郷、のどかなところね~」

「うん、首都ものんびりしていていいところだったのよ♪」

「……あまり変わっていないようで安心したよ」


 のんびりした雰囲気の中歩いていく。

 しかし突然、その空気を台無しにする輩が現れた。


「お前が『ソフィア・ロベット』だな! お前はこの冒険者ランクCの『暴虐の暴威』が討伐してやるぜ!」

 何その頭悪そうな名前。


 村人には知られていないが、こいつらには知られてるの!?

 そしてランクCと侮ることなかれ、彼らは貴族に推薦されていないだけで実力はランク以上かも知れない!


「たかがランクCが挑んでくるなど、笑止!」

 ちょっ、クリースッ!


「ほう、姉ちゃんが相手してく――」


 ドガッバギッ!


「安心しろ、峰打ちだ」

 いやいや峰打ちて! 峰で滅多打ちじゃないか!

 まぁ、彼らの実力については杞憂で終わって良かった良かった。


「よ、容赦ないですわね……」

「当然。慈悲はない」

 ディちゃんその歳で覚悟決まり過ぎィッ!


 ◆◇◆◇


 その後も似たような冒険者に絡まれ続け、ようやく目的の町へと辿り着いた。

 おかしい、あまりにも絡まれ過ぎている。


「あー、良く考えたらソフィたんの故郷ってバレてるのかな?」


「「「「えっ?」」」」

 えっ?


「当たり前でしょっ! 姓にロベットってあるんだからっ!」

「わ、わかってて故郷に寄ってくれてるのかと……」

「ぷっぷー!」

 み、みんな知ってたのね……。ていうかサキュさん、やっぱりバカにしてますわね。







 そしていよいよ――。


「あそこが、私たちが住んでた場所だよ……」

 ソフィたんが指差すそこには――。




 何も……ない……。


「燃えてしまったんだ。家族とともに何もかも、な……」

 燃え跡が微かに残る広い空き地に、今は背の高い雑草が風に揺れているだけだった。


 両親、祖父、お手伝いさん達……。

 一緒に過ごしてきた思い出も、何もかも……。


 もう全てが存在しない。


「あの時は逃げるのに必死だったけど……改めて見ると……」

 ソフィたんのすすり泣く声が聞こえる。




 …………。


「……ちょっと用事思い出した」

「あら奇遇ね、あたしもよっ」

「ディは最初から用事あった」


「ちょっと! みんな! やめてよ!?」

「故郷を、家を燃やされる怒り……筆舌に尽くし難いですわ!」

「みんな! 本当にやめてくれ! 私たちのことはもういいんだ!」


「いい訳あるか! 大事な嫁さん達をこんな目にあわされて、このままなんていられない!」

 ソフィたんたちを襲った連中を見つけ出して殺してやるっ!




「そうだぜぇ、このまま帰るなんてつれない事言うなよなぁ!」

 

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