第1話 黄金体験
新章となります! よろしくお願いします!
さぁ! 着きましたリルちゃんのお家!
しばらくそのままだったけど、特に異変はない様子。
「す、すごいですわぁ~! よくこんなに本を集めましたわね! 本はそこそこ貴重ですのに!」
物の価値がわかる系お姫様のプリンちゃんが興奮している!
「結構長い間溜めてたからね~! あのお花が割と高く売れてたし!」
ドヤ顔のリルちゃん。80年って相当ですけどね!
適当な本を手に取る。ここしばらく文字も勉強してたので、簡単な文字なら何とか読めるようになったのだ!
やはり、一緒に勉強する子がいると違いますね!
「……」
と思ったけど、読めませんでした……。
「あら、この本が読みたいんですの? わたくしが読んで差し上げますわ!」
わぁい!
「そらに……く……せし……ありきしか……。ダメですわ、擦れてて読めないですの……」
「あ、天空のお城の本?」
「あら、よくわかったわね! この本は最初の頃に手に入れたからもう読めないのよっ」
す、すみません……裏技みたいなものです……。
金髪の美人ちゃんが読んでくれたってとこもいいヒントでしたな!
「へぇ~! 何だか凄そうな本ね!」
「そうね。けど、ここにはもう戻る予定もないから……他の本もどうしよっかなぁ」
そうだよね……。孤独なリルちゃんを支えてくれた本、どうにかできるといいけど。
「でしたら、どこかに寄付でもしたらいかがかしら? 孤児院など、喜ばれるかと思いますわよ」
「それもいいかもね!」
「ん~…………それもいいけど、私の故郷に行って、もし預けられるならそうしよっかなっ」
「故郷? それって、エルフの集落ってこと?
「えぇ。1度も帰ってなかったし……あ、あたしにも大切な家族ができたって……報告しようかなって……」
恥ずかしそうに顔を伏せるリルちゃん。
両親とはうまく行っていなかったようだけど、心の整理がついたのかな。
それが俺たちに理由があるんだったら、これ以上のことはない。
「あぁ、良いんじゃない? 俺もご両親に挨拶をしたい。世界一素敵な娘さんと結婚させてもらうことを」
同率で複数だけど。
後、ほんとにちょっとだけ、気になるんだけど……。
やっぱり美人さん多いのかな!? かな!?
お持っち帰りぃ~!
「(やっぱりシュナさん、我慢の限界みたい……)」
「(まぁ……それは急がなきゃ、ですわね!)」
コソコソとソフィプリちゃんが何か話しているが、真剣にリルちゃんを見つめている俺には聞こえない。
「あなたがまじめなこと言ってる時って、禄でもないことを考えてることが多いのよね……」
さすが奥さんですね……。
「そ、そうだ! 今夜はあのお花のところ行ってみない!?」
あのお花……以前ここに来た時の目標だった、ルナムーン草。
月の光を浴びて輝き、それを見守る動物や魔物たちの姿……。
精力剤としての真実を知っても尚、あの光景はとても綺麗だと今でも思う。
「いいね! 見たことない3人にもぜひ見て貰いたい光景だしね!」
「そうねっ! 少し準備してから向かいましょう!」
◆◇◆◇
その夜。
「わぁー……。聞きしにも勝る素晴らしい光景ですわね……」
「ほう……。まさか、本当に魔物すら襲い掛かってこないとは……」
そうでしょうそうでしょう。とても神秘的な光景……もちろん俺も再び魅入っている。
一応この花が精力剤であることは伏せているけど。
「すごい……ここはみんながいっぱいいる……」
そう言ってディちゃんが花畑の中に踊りだし、くるくる回る。
ディちゃんは魔素を、生命を感じることが得意だからかな……てか彼らって意思があるの?。
月の光を浴びて輝く花、そこに可愛い獣人の子が踊る。
これ以上ないと思っていたかつての光景、それが今更新されました!
俺が微笑ましい気持ちでディちゃんを眺めている後ろで、何やら女性陣がコソコソしている……。
「何してんの?」
「な、何でもないよ?」
? まぁいっか。
「ちょ、ちょっと寒くなってきましたわね! そろそろ戻りませんか?」
「ディはまだここにいる。この子もいたいみたい」
そう言ってサキュの卵を出す。
「卵の言ってることわかるの?」
「ん、何となく?」
どんどんディちゃんが不思議パワーをつけていってますな。
「ふむ。それはちょうどいい。私がディを見守っていようか」
「お願いね! じゃあ早速戻ろ~!」
そう言って急ぎ戻ろうとする3人。
「えっ!? ちょっと待って、早くない?」
「寒いっ! 寒いですわぁ~! 早くお家に戻って暖を取らなければですわぁ~!」
そんな寒いなんて、風邪でも引いちゃったんじゃ……顔赤いし!
「そ、そっか。じゃあ急ごっか!」
既に駆け出している3人を追いかけて行った。
そんな我々を魔物たちが生暖かい視線で見送ったのだった。
◆◇◆◇
「やりましたわぁー! 疲れましたわぁっ!」
「やったね! 後はお家に着くだけ!」
「えぇ! もう少しよっ!」
んん? 何をやったんだ? プリンちゃんは背負われてるだけだし……。
何かを企んでるようだけど……何だろね?
まさか、例のお花を飲もうってんじゃ!
ま、そんな訳ないか……。
「やっと着いた!」
「(そ、それで何を準備すればいいのっ!?)」
「(乾燥させない場合は花弁1枚で少し煮るとのこと、そこのお鍋に入るくらいで十分そうですわっ!)」
コソコソとリルプリが何か話した後、ソフィリルはキッチンの方へと向かって行った。
「ところで、あなた。わたくし、とっても寒いんですの」
「お、おう……」
そういえば、そんなこと言ってたね。
「もぅ! 忘れちゃったんですの!? 以前わたくしが言った言葉っ!」
あの時……護衛してた時、プリンちゃんが間違えて俺の部屋に来て言ったセリフ……かな?
「かしこまりました、お姫様」
そう言ってプリンちゃんを抱きしめる。
ドクッドクッとプリンちゃんの鼓動が聞こえてくる。
「……わたくし、王族ですから、好きな人とこんなことができるだなんて、考えもしませんでしたわ……」
「……俺もプリンちゃ、プリンさんのこと好きだよ」
「あ、あなたっ! わたくしたちはもう夫婦ですから……この先も……」
ドクンッ!
心臓が跳ね上がった気がした。
近くにいる2人には申し訳ないとは思ったけど……顔を赤くして恥ずかしそうに見つめてくる彼女を前に、止まることはできなかった。
「んっ……はぁ」
軽い口づけをする。
トロンとした顔をするプリンちゃん。
そんな魅惑的な顔されたら! 俺はっ! 俺はぁっ!
「あー! 抜け駆け禁止! 順番守ってよ!」
そこにソフィたんが叫びながら戻ってきた。
「わ、わたくしもう……我慢できませんの……」
「で、でもぉ……ずるいよぉ~……」
ソフィたんに近付き、口づけをする。
「んんっ! きゅ、急にだなんて……ずるいよぉ~……キスは2回目だけど、今回は嬉しいな……」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうにうつむくソフィたん。
そんないじらしい顔されたら! 俺はっ! 俺はぁっ!
「できたよーって、ちょっとっ! 人が準備してたってのに――んっ!」
ちょっと乱暴に口を塞ぐ。
はて? 前にもこんなことがあったようなないような?
「しゅき♡」
そんな可愛い顔されたら! 俺はっ! 俺はぁっ!
生涯忘れられない夜を過ごしたのでした。
精力剤は必要なかったとだけ言っておきたいと思います。




