第10話 ソフィア無双
「ここか……ランク4のダンジョン」
タイグルリオンの冒険者ギルドで俺たちに何かできることがないか探していたところ、こちらを紹介されました。
「さ、流石に今までとは雰囲気が違うね……」
「世界でもほとんど見られない高難易度ダンジョンですわ。気を引き締めてくださいませ」
確認されている限りでは、この世界のダンジョンの最高難易度は4。
屈強な方々の多いタイグル民でも、1層までが限界らしい。
それでどうにか氾濫は起こっていないらしいが……。
「ここに出現する魔物はリビングデッド系と言われてますわ……」
「りびんぐでっど?」
魔物ではお約束のゾンビやらスケルトンやらは一般的にはいないらしく、このダンジョン固有種らしい。
「生ける屍とも言われているそうですわ。さすがに実物は見たことがありませんが……」
外の世界にはいない魔物が、ダンジョンにはいる。
ダンジョンって不思議だね!
「さすがプリンちゃん! 物知りだね~♪」
「い、いえ……わたくしにできるのはこのくらいですので……」
「屍だか何だか知らんが全て剣の錆としてくれる! 先頭は私に任せるがいい!」
おぉ! クリスが勇ましいぞ!
「よぉーし! しゅっぱ~つ!」
◆◇◆◇
「ぐぉぉぉぉ~……」
「ギャー! 来ないでぇっ!」
「いやー! 何なんですの! 何なんですのぉっ!」
体の半分は腐り落ち、何でその姿で動くのって感じのザ・ゾンビさん。
リルプリは腰を抜かしてしまいました。
「……」
あんなに勇ましかったクリスさんは白目を剥いて気絶しております。
「ど、どうすれば……攻撃手段がないよっ!」
「ん~、多分だけど……ソフィたん回復魔法使ってみてよ」
「えぇっ敵に!? あ、そっか! 爆発させるのね!」
「違います……まぁ、物は試しってことで!」
回復魔法で爆発させられるのはソフィたんだけ!
「う、うん……『小回復』!」
「ぐもぉぉぉ~…………ありがとう……」
思った通り、回復魔法によって昇天したゾンビさん。
魔石だけを残して消滅してしまった。
「すっご~い! 倒しちゃった!」
「さすソフィ! ここではソフィたん大活躍の予感ですな!」
「うん! 頑張るね~♪」
「な、何か最後お礼言ってなかった……?」
「やっぱり……彼らは悔いを残し亡くなった方々なんですわぁ……成仏できずに彷徨っているんですわぁ……」
いや、ダンジョンの魔物ってここで創られたやつだよね?
生前も何も、生まれた時からゾンビだと思うのですが……。
「……」
そしてこのポンコツ騎士はどうしよう?
◆◇◆◇
「どうしよう! あいつに回復魔法効かないよ!?」
第1層と2層は、攻略法さえわかれば全く問題にならなかった。
いや、ソフィたんの圧倒的魔力とMPがあればこそかな?
そして次の第3層は半透明な幽霊、レイス系ってやつ?
ここもお約束通り……ていうか、1度経験してらっしゃるのでは?
「ソフィたん、『浄化』だよ!」
「あっそうか! 『天国への扉』」
「――っ! …………ありがとう……」
優しい光に導かれるように、レイスはお礼を言って昇天した。
「彼も……長い間彷徨っていたのねっ」
「来世ではお幸せに……」
多分来世も何もないと思います……。
「しかし、本当にソフィたんいればここは問題なさそうだね!」
「えっへっへ~♪ 私に任せてっ!」
素敵な笑顔を頂きました!
その後も敵が現れては浄化、回復。
まさにソフィたん専用ボーナスステージ。
「何だか全部ソフィに任せっきりで悪いわねっ」
「大丈夫だよ♪ たまには私に任せてよ♪」
気にしない気にしない。適材適所だよ!
ダンジョン入ってからずっと気を失っておんぶされてる騎士もいるんだし!
こいつおんぶしても鎧で堅いから何のうま味もないし。
「ありがとねっ! 魔石の回収とかはあたしが頑張るよっ」
◆◇◆◇
「しかし……長いなぁ……」
敵は別に問題ない。
問題はダンジョンの長さ。既に10層は下っている。
「踏破された記録もありませんし、先が見えないのは辛いですわね」
「急にあの敵が現れるのも正直辛いわねっ」
「あいつら、くさい」
「……」
体感的にそろそろ夜だということで、今日はダンジョン内でお泊りだ。
「私は今日1日ですっごく強くなった気がするよ~♪」
「本当ですわね……レベル90もありますわ。人類でそんなレベル、聞いたことがないですの……」
レベルかぁ……。俺の場合は上限に達したら進化するって気がするけど、人はどうなんだろうね。
ソフィたんはきっと99になったら正式に女神になるんだろうなぁ。
「シュナイダー様は進化するごとにまたレベル1からですの?」
「そだよー。最近は上がりにくいね~」
恐らく、同ランク以上じゃないと経験値的なものが手に入りにくいんだと思われます。
「わたくしも、レベル上げたら筋肉になるのでしょうか……」
プリンちゃんが俺を見て言うが……。
「ならないんじゃない? ソフィたん見てみなよ」
「えっ? 私?」
「ぷにぷにですわ」
「むちむちですの」
「ぽにょぽにょねっ」
「ぷにょぷにょ」
「お前らっ! ソフィアに謝れ! 女性は少しくらいふくよかな方がいいに決まっているっ!」
「……」
ゾクゾクッ!
強力な怒り、そして悲しみがみんなを襲う!
「ソ、ソフィア……なぜ私まで……」
クリス……お前もふくよかって言ってたろ……。
俺が覚えているのはそこまでだった……。




