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第5話 毛嫌いしているのは似た者同士だからかも


「キャー! 勇者様よーっ!」

 なんだなんだ? お外が騒がしいぞ。

 

「あれは! ランクA冒険者パーティ、クインビーだ!」

「誰それ?」


「知らないのかっ!? 帝国を代表する冒険者パーティだぞっ! ランクSに一番近いとされているんだぞっ!」

「ふーん。勇者なの?」


「先日のランク5への対応のためだろうな。彼らを勇者と認定したんだ」

「どういうこと?」


「ランク5は国家規模の災害ですの。その出現時には国家の枠に囚われずに討伐することが求められているのですわ」

「帝国はそのためにホーネットを擁するクインビーに依頼したんだろう。彼女側からしても『災害』を討伐すればランクSだからな」

「ほーん……あっあれはっ!?」

 一目見ただけでわかるその強さッ! 圧倒的存在感っ!


「あの女性がリーダーのホーネットだ。私などよりも強いぞ! 彼女は魔法職だがな」

「確かにクリスより圧倒的に『強い』。感じるぞ、強者のみが纏える存在感を!」

 さらに彼女はそれを惜しげもなくさらしている。なぜ、なぜなんだっ!


「あなた、もしかしてわたくしたちにもあんな格好させる気ですの?」

「いえ、露出は控えめでお願いします」

 独占欲強くてすみません、人に見せて自慢したいとも思えません。


「……何の話だ?」

「? お胸の話だろ、最初から」

 お山から上は完全に出てるもん。あ、見えたっ! 今絶対先っぽ見えたっ!

 何であんな痴女みたいな格好して歩けるんだろうね? メンタル強すぎだろ。


「貴様っ! その腐った根性を叩き直してやるっ!」

「あー、ちょうどいいや。お願いしようとしていたところだし」


「逃げる気かっ! って、何だって?」

「ちょっと思うことがあってさ。模擬戦というか戦闘訓練、付き合ってくんない?」

 単純な戦闘力とかでなく、対人戦の経験が俺には全然足りない。


「……まぁ、いいだろう」

「うっし。後で飯おごってやんよ!」


「敵からの施しは受けん! まぁ、ちょうどのどが渇いていたから先に飲み物買ってくれ」

「しゃーなしやで!」




「……なんですの、あの2人?」


 ◆◇◆◇

 

 ――ソフィア視点――


「そらっ!」

「っぶね! 首狙うなって!」


「敵は当然狙ってくるところだろうが!」

「そうだけど! そうだけど!」

 

 

 

「シュナさん、頑張ってるね~」

「ソフィさん。何だか思うところがあるらしいですわよ?」

 3人の姿が見えないから探してみると、空き地で訓練しているとのことだった。

 けど……。


「あの2人、いつの間に仲良くなったの?」

「どうでしょう? 仲がいいのでしょうか……」


「「仲いいわけないでしょ!」」

 こちらの声が聞こえていたようで、2人揃って否定してくる。


「ソフィア、悪いが集中できん。小声で頼む」

「は~い、ごめんね~!」


 む~。


「なーんか、やっぱり仲良くなってない?」

「息ぴったりでしたわね!」

 

「それもそうだけど。クリス、何だか楽しそう」

「えっ? そうですか?」


「うん」

 少し離れていたとはいえ、ずっと一緒に育ったんだ。それくらいわかるよ。


「そういえば、何となくクリスさんに対する彼の言葉に遠慮が感じられませんでしたわ」

「遠慮?」


「えぇ。わたくしたちには彼の思いやり、遠慮が感じられますが……」

「それが感じられないってこと? それ大丈夫なのかな~?」

 喧嘩とかにならないか心配……。


「大丈夫だと思いますわよ? クリスさんも同様ですが、剣呑な感じはありませんでしたし。昨日とは違って」

 む~。よくわかんない!


 


「ぶはーっ! 疲れた!」

「鍛錬は1日にしてならず! この程度で根を上げていては強くなれんぞ!」

 しばらく模擬戦していたが、ようやく終わったみたい。


「ッチ。明日はコテンパンにしてやるぜっ!」

「っふ。貴様にそれができればいいがなっ!」


「2人とも、お疲れ様~!」

 シュナさんとクリスにタオルを渡してあげる。


「そうだ、ソフィア! 何ださっきのは! 私がこんな奴と仲がいいなどと!」

「それはさすがにソフィたんの言葉でも聞き捨てならないよ!」

「え~! それは……ごめんね?」

 そんなに怒らなくったって~!

 

「まったく。ほれ、飯を奢ってくれるんだろ? 行くぞ!」

「はぁ? それはさっきのジュースだろ?」


「それは私が買ってくれと言っただけだ。礼として受け取ったのではない」

「ふざけんなよっ! そんなん詐欺じゃねえかっ!」

 そう言いながら2人で歩いていく。



「何なんでしょうか、あの2人は……」

「さぁ……」

 置いてかれた私たちは何とも言えない気持ちになるのでした。





 ◆◇◆◇




 しばらくクリスと訓練を続けて過ごしていたが、今日は無しとなりそうだ。

 

「クリス、今日は中止。みんなも、今日は一緒に過ごそう」

「はっ? 貴様っもう根を上げたというのか!? そんなんじゃみんなを守れないぞ!」

 クリスとの訓練は嫌じゃない。初日のこともあるし、こいつには気を使わなくて楽なんだよな~。

 まぁ、そうじゃなくって。


「誰かが敵意を持ってこちらを見ている」

「……」

 瞬時に気持ちを切り替えて身構える。


「だ、誰なの……?」

「恐らく先日のテイマーギルドとやらかな?」

 明確な敵意というよりは、どろどろとした欲望も感じる。

 

「プリンちゃんとディちゃんは絶対に俺から離れないように! それと、リルちゃんとソフィたんも俺から離れないように!」

「それ、ほぼ全員一塊ですわ」

「おまんじゅうみたいになっちゃうねっ♪」

「クリスはいいのっ!?」

 クリスは問題ないでしょ。


「私は問題ない。こいつに近づくと妊娠させられるしな」

「近づいただけで妊娠するかっ! ディちゃんだっていんだぞ!」

 今だって頭にしがみついてんだぞ!


 あー、でもそうだ。こいつを渡しておこう。


「ほれ、これ持っとけ」

「何だこれは? 見ていると不快な気持ちになるが……」


「失礼なっ! 俺が丹精込めて作った魔道具だぞ! 魔力を流したら何か起こる」

 みんなと違ってハイオークの魔石だがなっ!


「そんなものを作れるのか……ところで何の魔法が?」

「それはもちろん、使ってからのお楽しみ!」


「ふざけるなっ!」

「シュナさん……」

 ソフィたん、後で教えといてあげてね。


 そんなやり取りをしていると不意に戸をノックする音が聞こえた。

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