第10話 成功していたプロポーズ作戦
「そんなことだと思ったよ~」
ソフィたんに昨日の顛末を話すとそんな風に言われた。
「な、何が?」
「何ってプロポーズ、プリンちゃん的には前ので十分だったってことがだよ? 今回の材料集めも自分のだと思ってなかったみたいだし」
そ、そうでしたか……。
「まぁ、最後に決まらないのもシュナさんのいいところだよっ♪」
それ、絶対褒めてないよね。
「そういえば、残りのプレゼントはもう2人には渡したの?」
「まだこれからです」
「じゃあ、今からみんなで集まろ~♪」
◆◇◆◇
「リルちゃん、これ。いつもありがとうね。大好きです」
「あ、ありがとう。べ、別に嬉しいだけなんだからねっ! しゅき♡」
ん?
「ディちゃんもこれ。お世話になっています!」
そう言ってディちゃんにも渡す。
「……」
しっぽがふりふりしてて可愛い。巻き付いて来て可愛い。目もキラキラしてて可愛い。
しっぽと頭を撫でまわす。目はさすがに撫でまわさない。
「いつもありがとね」
「わふっ!」
言い終わるや否や、ディちゃんが飛びついてきた。
おーーーし、よしよしよしいい子だぁ~!
これでもかと撫でまわす。
「さて、実は私たちからもプレゼントがありまぁすっ!」
「ありまーすっ!」
えっ? えっ? マジで!? ちょー嬉しいんだけどっ!
「はい、この首輪をどうぞ!」
渡されたのは……首輪。
「く、首輪? それと文字が書いてあるけど……」
首輪……ま、まぁチョーカーとかお洒落なのもあるし!
革の手編み、一生懸命編んでくれたんだきっと。
そしてプレートに文字が刻んである。読めないけど。
「そこには『いつもありがとう』って書いてあるんだよ♪」
「本当は『私は浮気者です』って書いたのよっ!」
早い、嘘がバレるのが早いっ!
「はっ……はは……ありがと、ね……」
喜んでいいのか嘆いていいのかわからん。
「……反省した?」
「ソフィたんの愛より深く、プリンちゃんの気高さより高く反省しております……」
「反省してるのかしら、それ?」
それはもう。リルちゃんの美しさ並みに美しく、ディちゃんの毛並み並みに見事に。
「……また同じようなことがあったらどうする?」
「……」
……同じようなこと、かぁ。
みんなに相談できないとき、とてもお世話になった人が命を賭して自分を想ってくれているとき。
「……極力努力します。それでも後悔しないように行動すると思う……思います」
「「「はぁ~……」」」
盛大な溜息をつかれました。
当たり前か、浮気します宣言に等しいのかもしれない。
我ながら情に流されやすいとは思うんだけどね……。
「まぁ、あなたはそうですわよね」
「まぁ、しょうがない、シュナさんだもんね」
「まぁ、そこが彼のいいところでもあるわけだしね」
「ふぅ、やれやれ」
「ごまかさなかっただけ良しとしましょう」
そう言って首輪を腕につけてくれる。文字入りプレートも別のに交換して。
「本当は腕輪だよっ! 文字は……やっぱ教えないっ♪」
「えぇっ?」
「本当の文字は――モガモガ」
慌ててプリンちゃんがリルちゃんの口を押える。
「リルさん一緒に向こうへっ!」
どたばたと騒がしくなる。
「シュナさん、こちらこそいつもありがとうね! これからもよろしくね!」
◆◇◆◇
――ディ視点――
遂に来てしまった。
私へのプロポーズ。
主が私のことを好きすぎて困ってしまう。
しょうがないから、結婚してあげるって言おうとしたところで思い出す。
「恋愛には駆け引きが必要なのよ」
今は亡き母の言葉。いつどんな場面だったかは忘れたが。
駆け引き……どうすればいいのかわからない。
とりあえず、すぐに頷くのはやめておこう。
そう思っていると、主が頭としっぽを撫でてくる。
これでもかと撫でられる。
「いつもありがとね」
これだ! やったぞ、駆け引き成功だ!
駆け引きをするとおまけでいいことが起こるんだ!
さすがお母さん!
もういいだろう、主も辛抱できないはずだ。
そう思い、主に抱き着いてあげる。
主はディのことが好きだからしょうがないんだ。
◆◇◆◇
――女子会会場、ディ視点――
「ディも妻の一人として参加する権利がある」
「ディ、ディちゃん? あなたはまだ……」
「ディもプロポーズされた。ペンダント、貰った」
「あ、あれは……」
「それに、耳を噛まれた。獣人の耳を噛むのは『自分のもの』と主張すること。当たり前」
「そ、そんな意味が……」
「それと、しっぽが巻き付いたときに撫で返す。これは好意に対し同意したことを指す。当たり前」
ちなみに、しっぽは勝手に主に巻き付く。ディの意志ではない。
だから、ディは仕方なく主の求婚を受け入れてあげるんだ。
主はディのことが好きすぎるからしょうがない。
「わかりましたわ。あなたを彼の妻同士として認めます。認めた上でもう一度言いますわ。あなたにはまだ早い、と」
「……どうして? どうして私だけ仲間外れにするの?」
「常々言っていますが、年齢ですわ。その年齢ですといくら何でも早すぎます。体に負担が大きすぎますわ」
「私だって、主のこと大好きなのにぃ……」
「ディさん、正直わたくしはあなたが羨ましい」
「ぐすっ……どこが?」
「あなたのように素直に抱き着けたら、膝の上に乗せて貰えたら、そう思うのです」
「それは……」
「わたくしたちにできないことをあなたはできる。ですから、今はまだあなたにしかできないやり方で彼を支えてあげて下さるかしら?」
「ディにしかできない……支え……」
「そうですわ! そして、時が来たら一緒に、ですわ!」
「……わふっ!」
ディにしかできないこと! きっと今しかできないこと!
主が喜んでくれること!
ディの大好きなご主人様が、ディをのことをもっと好きになってくれるように!
◆◇◆◇
――ソフィア視点――
「行ったね……シュナさんに色々言っておかなきゃ……」
「えぇ。そして、できれば受け入れてあげて欲しいと。愛する人と結ばれない辛さはわかっているつもりですので……」
「うん。でもきっと大丈夫だよっ!」
そういって膝の上の卵を撫でる。
「どんな未来が待っているのか、楽しみだねっ♪」
6章もこれで終わりです。
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