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第9話 日頃の感謝は声にしていきたいところ

「お、おはようございます~」

「シュナさん、おはよっ!」

 みんなと挨拶する。ソフィたんは良かったいつも通り。

 いや、やけに元気な気が?


「それじゃあ、準備が終わったらフィルストに戻ろっか♪」

「お、おう!」


 そう言ってみんなで旅支度をし、お世話になった人たちに挨拶をして回る。

 ソフィたんたちはここの爺婆様方に大変お世話になったようだ。




「ふぅ。いい村だったね~♪」

「そうね、また来たいわねっ!」

「ええ、田舎には田舎の良さがあると思わされましたわっ!」

「婆のご飯うまかった」


 みんな満足できたみたいで良かった!

 俺もここで作られたという地酒を入手できたのでほくほくだ。


 ここからの馬車は当然無いので、徒歩で進む。

 道中で魔道具作れるかな?

 夜営中に余裕があれば作っちゃおう!


 そんなこんなでフィルストの町へ向かったのだった。




 ◆◇◆◇



 

 町にたどり着き、最初に向かった場所はもちろん――。


「親方っ! 見てくれこの魔道具っ!」

「帰れっ! ……まぁまぁいいじゃねえか。どんな魔法か知らねえがかなり魔力が込められてるし危険性もなさそうだ」


「やったぜっ! これ、今までの礼にどうぞ!」

 そう言って例の地酒を渡す。


「ばっ! ばっきゃろうてめぇ! そんなんで今までの分足りると思ってんのか! だから……また来いよ」

 お、親方っ! ありがとな本当に!

 

 そして次に向かうのは装飾具を扱っているお店。

 魔石をどうにかアクセサリーにできないか相談するためだ。


「いらっしゃいませっ! どうぞごゆっくりご覧ください」

「あのぉ、相談があるのですが」

 店員さんに事情を説明する。




「いい話ですね! 少々お待ちください、裏にいる職人に聞いてきます」

 そう言った後、少しして職人さんを連れてきた。こちらは恰幅のいい女性だ。


「プロポーズの為に自分で魔石を作るとはなかなかいい男だねっ! 気に入った、材料費だけでやったろうじゃないの!」

 何と気前のいい女性だ!


「ありがとうございます! 魔石はこちらなのですが……」

「いや4つて」

 やっぱり? 大丈夫、ちゃんと適正な料金支払いますんで!


 その後詳細を話し、ペンダントにすることが決まった。

 台座もシンプルだけど立派なものとなった。


 受け取りは明日、急ぎでやってくれることになった。

 冒険者ランクBにお得意様になって貰えると安泰ですものね。


 感謝の思いも込め、店にあったアクセサリーを購入。

 何の変哲もないがこちらも魔石の魔道具がついててお値段金貨1枚!

 その効果は『小回復』らしいが、魔力量的に見てもささくれが治る程度かな?

 ……将来金に困ったら魔石の魔道具化で稼がせてもらおう。


「今日はランクBのお客様は2組目なんですよ~」

 得意げに語る店員さん。


「そうなんです?」

「えぇ、詳しくは内緒ですけどとても美しい女性たちがいらっしゃいました」

 それってソフィたんたちじゃない?

 何か欲しいのがあったのかな?




 ◆◇◆◇


 


 さて、いよいよその時がやってきました。

 どうやって渡すべきか……。


 やはり景色のきれいな場所に誘ってその後に渡そうかな!

 そう、例えばあのルナムーン草の光景とかっ!


「んー、普通でいいと思うよ?」

「やっぱり、漏れてます?」


「そりゃ、ね」

「ごめんね。ロマンチックの欠片もないけど、これ」


「ありがとう! わかっててもやっぱり嬉しいっ♪」

「いつもありがとね。大好きです!」


「ふふっ。うん、それでいいと思う。夜に2人でお食事にでも行って渡したら?」

「ありがとう!」

 何て言おうかな~、お前を俺のものにしてやるぜとかかな~!


「……普通がいいと思うよ?」

 ……うん、ありがとソフィたん。困った時に相談できるソフィ小町。


「その相談が他の女性へのプロポーズについてなの、どう思う?」

「うぐっ!」


「うふふふふ」

 笑顔がっ、いつも優しい笑顔が今日は怖いです……。


「ふんだっ!」


 ◆◇◆◇


「どうしましたの? 改まって2人きりでお食事だなんて。まさか、また新たな女性が?」

「べべべっ別にぃ!? 日頃の感謝を込めてお食事でもと思っただけよっ!?」

 新たな女性て。

 それよりやばい、超緊張してきたよう。


「まぁ! 嬉しいですけど、恩を返しきれてないのはわたくしの方ですわ」

「んん?」


「王宮から逃げるときも、こうして冒険者となった後も、わたくしはお世話になりっぱなし。だから感謝など別に――」

「感謝してるよ、一緒にいてくれるだけで嬉しいんだ。これ、貰ってくれる?」

 うん、自然に渡せた気がするぜっ!


「まぁ、これは例の魔道具ですの!? いいんですか、わたくしが貰っても」

「うん。プリン……プディングちゃんに貰って欲しいんだ。好きです、これからも一緒にいてください!」


「――えぇ、もちろんですわ! わたくし、こんなに嬉しいプレゼントは初めてですわぁ~……」

 うっとりした顔で魔石を見つめるプリンちゃん。

 よかった、プロポーズ作戦大成功だ!


「ところで、ソフィさんやリルさん、ディさんにも同様にお渡しするのかしら?」

「うぐっ! いやまぁ、3人には普通に渡すつもりですが……」

 すいませんね、他の女性と同じもので。自分にできる最上級のものを渡したくってですね……。


「あら、どうしてですの? みなさんの方がたくさんあなたに尽くしてますのに」

「いや、それはまぁ……」

 

「妻となる者の末席の身として言わせてもらいますが、他の奥方様をわたくし以上に大切にしてくださいな」

「え?」


「元王族だからと気にされてるんですの? そんなことはどうでもいいですわっ! みなさんの方が出会ったのが早かったのですし」

「まぁそうだけど」


「お3方の後に、彼女たちと同じくらい、わたくしを大事にしてくれればいいんですの」

「うん。わかった! でも今回は特別だったから、さ」


「特別? 特別って何がですか?」

「えっそりゃあ……プロポーズだし……」

 ん?


「ぷろぽぉず? わたくしに?」

「う、うん」

 え、まさか?


「あ、あー……そういうことでしたの……」

「はい……」

 つ、伝わってなかったのか……。


「お気持ちは嬉しいですが、わたくし言いましたよね? ピンチから救ってくれたシチュエーションで良かったと」

「で、でもちゃんと言葉にはしてなかったなって……」

 言葉にしないと伝わらないことだってあるよ!


「言葉になどせずとも伝わってきましたわ! わたくしを幸せにする、と」

「はい……」

 伝わってくれてたそうです。


「間違ってますの?」

「いえ、全身全霊で頑張る所存です!」


「……ふふっ。あなた、かっこ悪いですわぁ! 王国の貴族連中などもっと歯の浮くようなセリフが滝のように降ってきますわよ」

 ショボーン。




「でも、わたくしを想うあなたの真心はいつも伝わってきます。何よりも満たされる気持ちになるんですの」

「……」


「これからもよろしくお願いしますわね、愛しの旦那様っ!」

「うん!」

 

 こうして俺のプロポーズ作戦は一応成功に終わったのでした。

 正直プリンちゃんに気を使われた感はあるけど、気持ちは伝わったようで良しとしよう!

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