表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/111

第4話 暗黒進化

「――っ!」

 バカなっ! ソフィた、ソフィさんとリルちゃんかっ!?

 そんなはずはっ! まずい、こいつらは……!


「ひひひっ、俺はインキュバスの魔族っ! 部下もまたインキュバスっ! どうなるかは……わかってるよなぁ!?」

「……(や、やめろ……そっそれだけはっ!)」


「もう遅いぜっ、この頃新しい女に飢えてたからなぁあいつらっ! 俺の指示など待たずにお楽しみだろうよぉっ!」

「……(そ、そんなっ……いやっ、この距離なら繋がるかっ!?)」




「(ソフィたんっ! 聞こえるっ!?)」

「(えっ!? い、いやっシュナさんっ! いっ今はぁっ、ダメっ! んあっ!)」


「……」

「(やめっ! だめっ! ごめっ、なさっ! んんっ! あぁっ!)」

 そうして繋がりが途絶える。


「……」

 1番愛しい人の、1番聞きたくなかった声が聞こえる。聞こえてしまった。



 

『大切なものに気付くじゃろう……同時に失うかもしれんがの』


 俺は……もっと謝るべきだった……心の底から……何度でも。

 嫌われても、拒絶されても、許してくれなくても、何度でも……。

 あの人たちとだけは……一緒にいたかったんだ……。

 

 もウ……モウおそイ……モウ……ドうでモ、いイ……。




 ティロン♪

 ≪存在進化の条件を満たしました。これより実行します。≫


 あああああアアアアアアアアアッ!!!




 オレハ……ゴブリン、イヤシキ……モノ……。

 ……ムサボリ、クラウモノ……オチタ……ヨウセイ……。


 ◆◇◆◇


 ――――


「な、なんだぁっ!? 何が起こっているっ!」

「こ、これは」

「なんだかヤバそうだっ!」

「逃げろーっ!」


「あっおい! 待てよてめえらっ! 女がどうなっても――」


 突如現れた、いやゴブリンが変化した謎の黒い物体。

 球場のソレの周りを時折黒い靄が走る。

 

 まるで黒い太陽のように。その闇には終わりがなく、ずっと続いているかのよう。


「あ、暗黒……な、何なんだよお前はっ!?」

 

 黒いソレがインキュバスに向かってゆっくりと、初めましての挨拶をするように、手のような靄を伸ばす。


「(うっ動け、ねぇ……)」


 そして、ついに靄がインキュバスに触れようとした瞬間っ!


「うおおおおおおっ! くそがっ! 俺は人間の言うところのランク4っ! 誇り高き魔族っ! こんな訳の分からん――っ!」

 

 謎の重圧を振り切り、気合とともに跳躍。紙一重で躱せた。


「――な、何だよ……俺が何したってんだよっ!」

 ――かに見えたが、膝から下が消滅していた。


「ハァ、ハァ、くそっ! 俺は人間を誰も殺してねえぞっ! (勝手に死んだやつはいたがなっ)」

「……」


「だから見逃せっ! お前も魔物……いや、魔族だろう!?」

 再び腕を伸ばす。


「そ、そうだっ! 女だろっ! 女が欲しいんだろっ! 誰でも好きなやつやるからっ!」

 今度はこの獲物も避けることができないとわかっているかのように、ゆっくりと。


「わ、わかったっ! 手を引くっ! この町から出て行くっ! 2度とお前の前に現れないっ!」

 飲み込んでいく。


「ちくしょ……」


 飲み込まれ、意識を消滅させられる間の刹那。彼が目にしたものは……。

「(これは……? 極小サイズのゴブリン? 食っているのか、俺を……)」

 

 そして2度と目覚めることはなかった。


 ◆◇◆◇


 ――ソフィア視点――


「ハァハァ……ディちゃん、ありがとねっ!」

「ん」

 たくさん走って疲れたと言っていたら、ディちゃんがマッサージをしてくれるといったのでお言葉に甘えました。

 よくお母さんにしてたんだって。そのお母さんはもう……。


「ねぇねぇっ! やっぱりシュナさんこの町にいたよっ!」

 マッサージ中に急にパスが繋がったけど、何か恥ずかしくてすぐ切っちゃった。

 あんなに会いたかったのに、いるってわかったから安心しちゃった。


「苦労したっ! 甲斐がっ! んあっ! だ、だめぇ、変な声出ちゃうっ!」

「今のすんごく色っぽかったぁっ!」

 今のはやばばばばぁあ~っ!


「や、やめて、よぉっ! ディ、ちょっとっ……ストップっ!」

「ん」


「てかさっきのあんたの方が色っぽかったわよっ! 彼にも聞こえちゃったんじゃない!?」

「うそぉ~、やだぁっ! シュナさんのえっちっ!」

 そう、彼はとてもえっち。よくきれいな女の人を見ている。

 多分ゴブリンだからとかじゃなくて、性格。


「ところでさっきの魔物、何だったのかしらね。なんか不快な感じが一瞬したけど……」

「んーよくわかんなかったね? 一瞬で消えちゃったし」

「ディは……美味しいもの食べてた」


「美味しいもの? 幻覚の魔法でも受けてたのかしら?」

「どうだろうねー? それよりさぁ……魔法、完成してたよねっ!? ……私が、最初……っ!」

 ポッ。


「はぁっ!? 何顔赤くしてるのよっ!? あんなの完成とは言えないじゃないっ!」

「な、何よぅ! そのおかげで魔物も消えたんだよきっと!」

 そうだ、間違いない。魔法は完成いていたっ!


「魔物じゃなくて、汚れを消す魔法でしょっ! 肝心な方ができてないじゃないっ!」

「そ、それは……」

 そうだけど……。でも、確かに魔法は完成していた!


「……お腹減った」




 ディちゃんのその言葉で我に返り、言い合いをやめてご飯を食べに行こうと準備する。

 そこに、町長さんの使いを名乗る人が来て告げる。

 

「た、旅人の……あのゴブリンさんのお知り合いの方で?」

「はぁ……そうですけど?」


「申し訳ありませんが、急ぎ来てくれませんか!?」

「はっはい!」




「彼が突然変化して……我々にもよくわからないのですが……何も反応せず……」



 

 彼の必至な様子に、今までの穏やかな空気が一気にどこかへ行った。

 何でまたパスを切っちゃたんだろう、繋がらない……。


 気分が底に落ちていくのがわかる。

 私って、本当考えなし……シュナさん……無事なんだよねっ?

 



「しっかりしなさいっ!」

「……リルちゃん?」


「あんたが彼を信じなきゃ、誰が信じるのよっ! あたしよっ! あたしが彼を貰っちゃうわよっ!」

「……くすっ。ええそうね! 急ぎましょう!」

 リルちゃんの励ましなのか何なのか、とにかく少し元気になり先を急ぐ。

 



 彼の元にたどり着いたとき、そこで見たモノは……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ