第3話 人は、何かになれる。
――ソフィア視点――
「おおおはははよよよよよよよよよよっよよよ」
はっ、また震えてる。
昨日リルちゃんが教えてくれた、対処法を試す。
……シュナさんと一緒におでかけしたいとこ……。
……あれ、リルちゃんは?
「……」
ガクガクガクガク。
……す、すごいっ! リルちゃんがブレて見えるっ!
「リリリリルルルルルルルルルル……」
「……私、どうしたら……?」
ご、ごめんねディちゃんっ!
◆◇◆◇
今日は冒険者ギルドで情報を集める。
MPもHPも有限だ、絞っていかねきゃね。
「どうか、お引き取りを」
「……」
まただ、ギルド職員も、もちろん男性ね、町民と同じ反応だ。
「魔物の素材等の引き取りは通常通り賜っておりますので」
俺、冒険者証ないんだよなぁ……。
「ひとつ助言をするなら、この町からは早々に出て行くことをお勧めします。もちろん町のことは他言無用でね」
「……」
ギルドを出て町を歩く。
この町はどうなってるんだ……不穏な気配はそこかしこからするんだが、何も掴めない。
くそっ……。
結局この日も何も掴めずに終わったのだった。
◆◇◆◇
――ソフィア視点――
無理っもう無理っ!
「……」
リルちゃんも同じ顔してるっ!
3日間何とか誤魔化してきたけど、もう無理っ!
「「……」」
その時、リルちゃんとはパスは繋がってないけど、確かに通じたんだ。
オークション! 南東っ! 早くっ! シュナさんっ!
◆◇◆◇
「あなたが最近町を嗅ぎまわっているという旅人ですか?」
「……」
朝早くから来客だ。
「……(えぇ、嗅いで回っていますがあまり臭いがしませんね)」
ふざけてみるが、もちろん伝わらない。
まぁ、本当はこの町からはゲロ以下の匂いがプンプンだけどね。
「どうぞ、こちらに。あなたの探しているものが、きっと」
「……」
まぁ案内してくれるってんならいくさ。
……もうすぐ、もうすぐだ。
◆◇◆◇
――ソフィア視点――
魔道具っ! 魔道具っ! 買ったっ! 付けたっ!
「(こ、これで、伝わるっ!?)」
「(多分っ!)」
「(じゃあ次っ、次よっ!)」
「(次っ!)」
「「(南東っ!)」」
「(ディも、行く)」
……もうすぐっ! もうすぐっ!
◆◇◆◇
「よくぞ、おいでなさいました。旅の方!」
「……」
この町のトップか?
……違うな、少なくても黒幕がいる。
「このような町に何用で? お恥ずかしながら、ここには特に旅の目的となるものは何もないのですが……」
口調は丁寧だが、言葉に怒りが……いや、恐怖か?
「見ての通り、美しい風景もなければ、美しい女性もいない。早々に町を出られるといい」
女性、女性……おかしい、なぜいない? そうだ、どこに行ったんだ、ここは男ばかり。
「どうしました、旅の方?」
本来なら困っていたら助けを求めるが……こいつらは遠ざけようとする。
何かを恐れるように……。
「誰かっ! 旅の方のお帰りだ、手伝って差し上げろっ!」
いない女性、遠ざける助け。……人質? そういうことかっ!
「無駄だ、そいつはゴブリン。女を嗅ぎ付けどこまでも追ってくる」
そこに現れたのは……。
「害獣は、殺した方が早い」
ブーメランパンツ……ッ!
◆◇◆◇
――ソフィア視点――
「ちょっと、ソフィ、早いっ!」
「言ったでしょっ! 身体強化は得意なのっ! あれ、震え治ったっ!」
走るのに必死でわかんなかったっ!
「ほんとだっ! じゃなくて、急ぎすぎっ! シュナイダーが行ったのは3日前よっ!」
「そうだけど、だから何!?」
「もう戦いはとっくに終わってるのよっ! あたしたちにできることは……」
「できることは……?」
「久しぶりに会った時に汗臭いと思われないようにすることよっ!」
「確かにっ!」
ギュってして貰った後、くさって言われたら、きっと、もう立ち直れない。
「確かに、ちょっと匂う、かも」
背負っているディちゃんからもそんなことを言われる。
何か、何か手はないの!?
体をきれいにしつつ急ぐ方法っ!
◆◇◆◇
ブーメランパンツ……だけを身に纏った、何だ?
悪魔っぽい?
「我はインキュバスの魔族、フェルヴァイア! 愚かなゴブリンよ、死ねぇっ!」
「――っ!」
その瞬間、何かの魔法が発動する!
……? 発動した?
「………………死ねぇっ!」
「?」
「?」
「「「?」」」
「なぜだ、なぜ効かぬっ! オスには確かに効きにくいが、たかがゴブリン如きっ!」
「……(ゴブリック・パンチ!)」
よくわからんが、効いていないらしい。
とりあえず、魔族を殴る。久しぶりの攻撃だ!
「いてぇっ! あんまし効かないけどちょびっといてぇっ!」
……どうやらお互いに決定打はないようだ。
よかろう、その泥仕合、受けて立つ!
◆◇◆◇
――ソフィア視点――
「そうだっ!」
「どうしたの?」
「昔、シュナさんが『体をきれいにする魔法』がどうのこうの言ってたの!」
「そんな便利な魔法がっ!? 聞いたことないけど……」
「シュナさんも言ってた、汚れとは何かとか金がどうのこうのとか、結局できなかったみたい……」
「ふぅん?」
「でもっ! 今の私ならできるっ!」
「根拠はっ!?」
「愛っ!」
「……っぷ! 愛ってっ! いいわ、それができたら最初に彼と寝る権利をあげるっ!」
「ほんとぉっ!? 言ったわねっ! 約束だからねっ!」
「えぇ、もちろん! 今までなかった魔法を作り出すなんて、相当大変なはずだし……それと」
「それと?」
「……もしできたら、あたしにもかけて」
「う、うん……」
「(一緒に寝る権利?)」
◆◇◆◇
「ぐぬぬぬ、なぜ我の攻撃が効かぬっ! オスでも相当な精神力がないと耐えられないはず……!」
「……」
答えをありがとう、それだ!
原因もわかったし、迷いなく攻撃に移れるわっ!
「いてててててっ、あんまり痛くないけどちょっと痛いっ!」
「……(んーなんかいい方法ないかなぁ……)」
「くそっこうなったら……おい、お前らっ! やれっ!」
「えっ我々ですかっ! し、しかし……」
「てめぇらの大事な女どもがどうなってもいいのかぁっ!」
「――ッ!」
「わかったらやれっ!」
「……!」
やはり人質か……どうしたものか。
「くっそーっ!
「うっ恨みはねえがっ!」
「悪く思うなよっ!」
がんがんがん!
「……!」
まぁ鎧だから痛くも痒くもないんだが……。
多分ステータス的にも。
「いいぞっいいぞっ! そこだぁっ♪」
◆◇◆◇
――ソフィア視点――
「つ、着いたぁ!」
「ディちゃん、ここで合ってるのよねっ!?」
「ん」
「ど、どうしよう、緊張してきた……!」
「ととと、とりあえず宿屋にでも行きましょうかっ!」
◆◇◆◇
「フェルヴァイア様っ……」
「ん? ……な、なんとっ! そいつはいいっ!」
どのくらい町民の攻撃を受けたか……しばらくして魔族の部下が何か報告を入れている。
「貴様を探しているという女どもが来たようだぞっ!」




