第4話 人(ゴブリン)は、それを認めることがなかなかできない
「ソフィアさん、少しこちらの部屋にきて頂いていいですか? ゴブリンはそのままで」
「は、はいぃ~……」
ソフィたんと受付嬢さんが奥の部屋に行く。
体調悪そうだったけど本当に大丈夫かなぁ?
そしてやっぱり受付嬢さんの目線がきつい……。
◆◇◆◇
「ギルドマスターから、テイマーの方にだけ伝える内容があると聞いていますのでお伝えします」
「はい」
「すでに知っているかもしれませんが、テイマーと従魔は魔力のパスで繋がっているため意思を読み取ることができます」
「はい、彼の考えが常に伝わってきます……少し恥ずかしいですが」
「大丈夫ですか? やはり何か下劣なことをっ!?」
「だ、大丈夫です~! 何でもないです!」
「? では続けますね。従魔の意志を知ることは、反抗を防ぐためにも必要なことですが、逆にテイマー側の意志を必要以上に読み取られるのはよくないです」
「そうですね、確かに恥ずかしいです~」
「いえ、恥ずかしいとかではなく。弱みを握られて命令を聞かなくなったり、反抗されることにつながるんですよ?」
「あ、そっそうなんですね」
「ですので、テイマーは思考が伝わらないように常に意識します。伝える情報とそうでないものの区別を意識していく。壁を作るイメージをする方もいるようです」
「な、なるほど~。結構難しそうですね~……」
「慣れればあまり難しくはないそうですよ。しばらくは気を付けて過ごしてください。特にゴブリンなんて前代未聞ですし、どんな酷い目に合うかわかりませんからね」
「……わかりました、ありがとうございます」
◆◇◆◇
「シュナさん、お待たせ~ってどうしたの? そんな端っこで」
「ゴブゴブゴブブブ……(こんなところでゴブリンだとばれたら殺されちゃうかなって……)」
「あぅ~そうだよね~。ごめんね~……」
「ッチ」
ソフィたんは全然悪くないよ! 気を使わせちゃってごめんね!
それより今受付嬢さん舌打ちしたろ? あわよくば殺されろってか?
「それじゃあ、いこっか~! 今日はなんだか疲れちゃったから、もう宿屋に帰ろ~」
「ゴブッ!」
そう言ってギルドを出る。
俺のせいなのと、俺のために疲れさせちゃってごめんね。
「そこはありがとう、でいいんだよ~」
ダメだっ! それは危険……って、あれ?
……俺、今、声に出してたっけ……?
「うふふ♪」
えっ? ちょっと待って? えっ?
「どうしたの~? 何かびっくりするようなことでもあったのかなぁ~? うふふ♪」
そんなバカなっ! 認めないっ! 認めないぞぉーっ!!!
「あらあら♪」
◆◇◆◇
気付けば宿屋、道中の記憶があいまいだ。いや、触れるのはよそう……。
「ゴブ?(夕食とかどうします? 自分はなんならその辺のネズミとか食べてきますけど)」
自然と口に出ちゃったけど、え? 俺ネズミ食べてんの? ……ウゲー。
「あ~……ごめんね、ちょっと手持ちがなくってぇ~……明日も薬草採取するから、その時に食べよっ!」
そういえば門番さんに金色のナニカを払ってくれてたし、従魔登録に銀色のも払ってくれてたし……。
「ゴブ、ゴブゴブ……(ソフィアさんや、本当にすまないねぇ……」
「だから、そこはありがとうだよ~! いいの、私がそうしたかったんだし~」
ソフィたんが輝いて見える。女神だ、ソフィたんは女神様だったんだ!
「こほんっ。……女神様と言えば、シュナさんも女神様の声が聞こえるんだよね?」
んん? どうして女神様の話になったんだろうか……ワカラナイナー……。
でもそういえば、ギルドでなんだかよくわからない声が聞こえたような……。
「そうそう。多分それ、女神様の声だよ~!」
ほぇ~。ソフィたん以外にも女神様がいるんだ。さっきの声の主が女神様なのかな?
女神様の声っていったい何なんだ? あれっきり何にも聞こえないけど……。
「知識を授けてくれたり、危険を教えてくれたり、人類を導く天啓って言われてるよ~。必要な時に授けてくれるんだって」
なるほどなるほど~、要は困った時のお助けナビィってことね。リッスン!
「それでね~、鑑定魔法やステータス表示も女神様の祝福によるものって言われるの。もしかしたらシュナさんもその恩恵が受けられるかもと思って」
おぉっ! でた、ステータス! 転生ものには必要不可欠だよねっ!
そかそか、単純な魔物だとダメだけど女神様の声が聞こえるなら、もしかしたらってことか!
オラ、ワクワクしてきたぞっ!
「うふふ♪ 今日はもう疲れちゃったから寝るけど、明日行こうね♪」
ありがとうソフィたん!
あれ、そういえばお部屋は一緒でも良かったのかな? それに俺、一応男なんだが……。
「もともと2人部屋だったから……あと、シュナさんを1人にはしておけないよ~」
それもそっか。この優しさを裏切らないように、変な気起こすなよ、俺!
今こそ燃やせ! ゴブリック・アイアン・ハートォッ!
ってそんなことより! 2人部屋って、誰かいたの!? まさかっ男!?
「うふふ、気になる~? じゃあ、寝ながら、改めて自己紹介もかねてお話ししよっかぁ♪」




