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第2話 繋がっていてもすれ違うことはある。無線だもの。

 ――ソフィア視点――


「さて、目的の魔道具が出るのは3日後! それまで美味しいもの食べるぞーっ!」

「ふふっ、元気になって良かったわ」

「……」


 シュナさんの目的と向かった場所がわかったからねっ!

 いっぱい美味しいもの食べて自慢しちゃうんだからぁっ!


「ディちゃんは何が食べたい~?」

「……?」


「ディちゃん?」

「……ない」


「遠慮しなくていいんだよ~?」

「そうよっ! 私たちの所に来たからには自由にしなさいっ!」

「……わから、ない」


「「……」」

 そうか、この子……。


「……よーし、じゃあ私の好きな物を一緒に食べよーっ!」

「そうねっ、あたしの好きなものも食べましょう!」

「……」




 その後は町中の屋台、お店、レストラン……ありとあらゆる食べ物屋さんを回った。


「ふぅーいっぱい食べたねぇ♪」

「……よくそんなに食べれたわねぇ……」

 だって美味しいものがいっぱいっ……なのもあるけど、何かしていないと心配で……。


「……」

「ディちゃんも、美味しかった~?」

 満足してくれたかな?


「……ごしゅっ」

「ごしゅっ?」


「……ご主人様、は? どこ?」

「…………ご主人様なんて言わなくていいのよ?」


「でも店の人言ってた。『ご主人様』『何でも言うこと聞け』『嫌なことで――』」

 思わずギュッと抱きしめる。


「……な、何?」

「――ッ!」

 リルちゃんも抱きしめてくる。


 辛かったね、もう大丈夫だよ。

 あなたのご主人様は素敵な人なの、だから大丈夫なのよ?


「……ぅうっ……うわあーん」

「ぐすっぐすっ、大丈夫だからっ! もうそんなこと気にしなくていいのっ!」

「そうよ、自由に生きていいのよっ! あたしたちは、楽しく生きていいのよっ!」


 


 その後、泣きつかれた私たちは3人仲良く一緒に寝たのでした。


 ◆◇◆◇


「……(ここか)」

 数日かけてようやくたどり着いたクインレイブス。


 正直道に迷ったし、人には聞けないしで散々だった。

 それももう終わり。


 そう、終わりだ。せめて最期は誰かのために――。

 できればあの2人のためにそうしたかったが……。


 未練を振り払うかのように歩き出す。


「……(ここは……男しかいないのか?)」


 見渡す限り、男、男、男。

 みな表情は暗い。

 

 ふむ。これが元凶とやらか?


 情報収集のためにしかたなく、念話で町の人に聞く。


「失礼。自分ハ旅ノ者ダガ、コノ町ノ様子ハ一体ドウシタンダ?」

「――っ! な、なんでもないっ何でもないんだっ!」


「……(……)」

 何だ? 慌てて逃げられた。

 念話に驚いたのか?




 その後数人に話しかけたが、みんな似たような反応をして去ってしまった。

 MPもHPもう限界に近い。


「……(……)」

 今までMPが切れたらHPを消費し、その都度ソフィアさんが回復してくれていた。

 そのおかげで魔法を、限界を超えて使えていたことに今更ながら気付く。


「……(俺は、弱い)」

 1人では碌に戦えない。スキルもほとんどが使えて数度、とても戦えないだろう。

 進化して強くなったと錯覚していたが……。

 

「……(俺は…………弱い……)」

 1人では碌に生きることさえできない。


 何とか泊まれた宿の外、雨が降り出していた。


 ◆◇◆◇


 ――リルリル視点――


「ふわぁぁ~……おはよーっ!」

「おおおおはおははよよよよよよよよよよよ」 


「ぶふぅっ! ちょっ朝から笑わせないでよっ!」

「そそそそそんなななななことことことっいったってえええええええええ」


「なになに、何なの? ふざけてるんじゃないの?」

「そそそうだだだよよよよよよよよよよよよよよよ」


「なっどうしたのよ、まさか何かの呪いっ!?」

「わかっわわらなななないいいいいい」


「とりあえず、一旦口を閉じてもらってっ!」

「わかかわかったたたよよよよよよよよよよよよよよよ」

 “よ”があきらかに多いっ! それはわざとでしょっ!?

 

 よく見たら、言葉が変なだけじゃなくって体全体がすっごく震えてる……?

 何なのこれはっ!?


「禁断症状?」

「きんんんんん――」


「ソフィは黙っててっ!」

 禁断症状、植物でも起こることがあるって。確か……。


「お父さんがお酒飲めないと震えていた」

 ……この子の父親の事はとりあえず考えないようにしましょう。


「子どもに何て姿を見せてるのよっ!」

 あ、言っちゃった。

「ここここどどどどももももももにににににいいいいい」


「ソフィっ!」

 もぅ、今は他人のことより自分の心配しなさいよっ!

 しょうがないわね……。


「そこがあなたたちのいいところね――ぁ」

「ありありありありありありあり――」

「ソフィっ!」

 



 とにかく、禁断症状って確か……麻酔に使われる植物の説明にあったような。

 必死に記憶を探る。確か……。

 幻覚……強い依存性があり……断たれると震えなどの『禁断症状』……っ!


「あんた、昨日変な物食べたっ!?」

「いっしょしょしょしょしょににににに」


「そっか、昨日はみんな同じもの食べたんだっけ」

 種類は。量は全然違ったけど。原因は食べ物ではなさそうね。




「……ってことは」

 まぁ、多分そうだろう。


「ソフィ、シュナイダーの1番好きなところ言ってみて?」

「すっ! すすすすすすす、好きだなんてそそそんななななななっ! あ、治った!」

 治ったのか治ってないのかはっきりしなさいよっ!


「んー、1番はね~……ふふっ難しいなぁ♪ って、何でそんなこと言わなきゃいけないのっ!」

 なんてこと、彼が1日いないからって禁断症状まで……依存しすぎよっ!


「……こ、今度一緒にお酒飲んだ時に、ね? リルちゃんのも聞かせてね?」

「う、うん……」


 外は雨が降ってきたから今日は1日お部屋で過ごそうかしらね。

 本当に楽しい人ねっ!

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