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第1話 始まりは幼女とともに2

 ついに! やってきました! オークション会場っ! のある町っ!

 でけー! ひれー! キレー!


 ポカッ。

 いてっ。


 広い町並みに驚いて、美人な獣人さん見てたら殴られた。

 しょうがない、しょうがないんだ。男はつい見てしまう生き物なのだよ。

 例えいつもそばにいる女性がこの世で1番と2番目に美しくてもっ!


「……いいの? そんなこと言って?」

「……?」


「そんなこと言ってると、離れてっちゃうかもだよっ!?」

 !!!!!!!


「……(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃっ!!!)」


「ふんだっ!」

「ど、どうしたの? 彼、魂が抜け出てるけど……」


「実は……あ、やっぱ内緒!」

「えぇ~……」

「後でねっ!」

  

 ◆◇◆◇


 その後のことはよく覚えていない。

 覚えていないが、その後もやらかしたことだけはわかる。


「……」

「……」

「……」

「……」

 

 なぜか犬耳の幼女が隣にいるんだから……。

 



「シュ、シュナさん……この子は?」

「……(ひ、拾ってきた?)」


「(な、何で疑問形なの!? それに動物じゃないんだから拾ってきただなんてっ!)」

「……」


「と、とにかくっ! 親御さんの所にお返しした方がいいんじゃないかしらっ!?」

「……親、いない」


「――っ! そう。あなたの事、お話してくれる?」

「? ……何を?」


「えと……まずお名前と、どうしてここにいるのか、かな?」


「ディはディ。この人に買われた」

 そう言って俺を指さす。


「……」

「……」

「……」

「ど、どういうこと?」


「ディは奴隷。この人が買った」

「――そう……ディちゃんって言うのねっ! 私たちはあなたを歓迎します♪」

「よ、よくわからないけど……よろしくね!」

「……(よろしくね!)」


「この人は優しい」

「え?」


「いっぱい撫でてくれた。優しかった」

「……」


「シュナさんには後でお話があります」

 はぁぃ……。


 ◆◇◆◇


「……どうして事前に相談してくれなかったの?」

「……(そ、それが……よく覚えてなくて……)」


「……どういうことですか?」

 あ、あかん、敬語になってる……。

「……(ほ、本当によく覚えてなくって……)」


「ふらっとどこかに行ったと思ったら、あの子を連れてきて……」

「……」


「もしかして誘拐してきちゃったのとか心配しちゃったし……」

「……」


「それに、奴隷が欲しいならせめて事前に相談して欲しかった……」

「……」


「ぐすっ、ぐすっ……もう、行っていいよ……」

「……」




 ◆◇◆◇




 ソフィたん……ソフィアさんの元を離れ、町を歩く。

 本当に、俺はあの時どうしてしまったのか……。

 

 ただ1つ、わかることがある。


「……」


 愛する人に見限られてしまった、ということ。

 

 これからどう生きて行けばいいのか……。

 ……いや、生きていく意味、あるのか?


 ゴブリンとして生を受け、それでも生きてこれたのはソフィアさんがいたおかげだ。

 リルちゃんとも一緒にいたかったけど、もう合わせる顔がない……。

 あの子のことは、ソフィアさんのことだ、悪くはしないだろう。


 ……みんなを失ってしまったら、もう……。




「そこの鎧さん、なにかお困りかえ」

「……(ごめんお婆ちゃん、今は誰とも話したくないんだ)」

 いつか聞いたセリフ。いつか見たお婆さん。


「ふぉっふぉ、わしのことは覚えているようじゃの」

「……」


「前も言った町に行きなされ、ここからは南東かの。そこに今回の原因がある。あの幼子が奴隷となった原因もじゃ」

「……」 


「もう失うものもないのじゃろう?」

「……」


「せめて、最期は誰かのために死にたくないかい?」

「……。」



「――(――町の名は?)」


「ふぉっふぉ。クインレイブス」


「……」

 礼も言わず駆け出す。




「ふぉっふぉっふぉ(予定と大幅に違うっ! どうしようっ!?)」


 ◆◇◆◇


 ――ソフィア視点――


「シュナさぁーん! どこーっ!? もう怒ってないから出ておいでーっ!」

「まったく、どこ行ったのかしらねっ!」

「……」


「……パス、まだ切れちゃってる」

「だ、大丈夫よっ! あいつがあたしたちを置いていく訳ないじゃないっ!」

 

 怒りすぎちゃったかな……でも、相談してくれなかったのは悲しかったから……。

 けど、どっか行っちゃうなんてひどいっ! ……ひどいよ。


「な、泣かないでっ! せめて声に出して泣いてっ!」

 私の事嫌いになっちゃったのかな……。

 せめて、せめてさよならだけでも……嫌っ、さよならなんて嫌っ!

 ずっと一緒にいるって約束したのにっ!




「そこのお嬢さん方、なにかお困りかえ」

 誰……?


「どなたかしら? 悪いけど、今忙しいの」

「ふぉっふぉっふぉ。鎧の兄さんのことじゃろ?」

 ……鎧を着てるのは弟だってシュナさんが言っていたなぁ……。

 だめ、また涙が……。


「な、なんであなたが彼のことを!?」

「ふぉっふぉっ。彼がわしに言伝を頼んで行ったのじゃ。『ちょっと南東に行って悪い魔物倒してくる』っての」


「――っ!」

「南東っ!? なんでっ!?」


「なんでもその幼子が奴隷になった原因がそっちにあるらしくてのぉ。目の色変えて駆けて行ったわい」

 

「――っ!」

 南東っ! それだけ聞ければ十分っ!

 駆けて行こうとする私をお婆さんが止める。


「まぁ待ちなされ。『当初の目的を達成してから来るように』とも言っておったぞ」

 そんな! 何でまた1人で決めちゃうのっ!?

 ばかばかっ! 今度は許さないっ! 絶対許さないんだからっ!

 再会できたら……めいっぱいわがままを聞いて貰うんだからっ!


「ふぉっふぉ、それじゃあの」

 お婆さんに礼を言って別れる。


「全く、何で勝手にいっちゃうのかしら……しっかりお灸を据えてあげなきゃねっ!」

「う゛ぅ……ジュナざんのばがぁっ……」


 ◆◇◆◇


「ふぉっふぉっふぉ、素直でよろしい。……あのゴブリンがひねくれすぎなだけかの」

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