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第4話 犬にも畜生にもゴブリンにも劣る

「着きましたぞっ! 姫様!」

 メンシュライヒ国の国境にある都市、グレンランチェスにようやくたどり着いた。

 不思議なものだね、この国の差別思想に絶望して出っていったのに、今度はその王族関係者を連れて戻ってきた。


「よかったですわね」

 もうちょっと嬉しそうにしたまえ、こっちは予定変更してやってんだぞ。

 

「寂しくなるね~っ! ぐすっ」

「あんたのこと、忘れないわ。お転婆なお姫様!」

「うぅ……みなさま……寂しいですわぁ~」

 あぁ、お別れが寂しいのね。野暮なこと言ったわ。


「……シュナイダーさん、ありがとうございました」

 手を挙げて応じる。


「本当に……貴方の事、忘れません」

 お、おう。思いのほか懐かれたみたいだ。

 まぁ俺みたいなゴブリン、確かに忘れられないだろうね!


「わたくしっ……わたくしっ!」

 初めてまじまじ見たけど、どこか決意が見えるその瞳は美しく気高く輝いている。


「いつか、必ず――っ」

「姫様、どうぞこちらにっ!」

 姫様が兵士に連れられて行く。最重要人物の安全を確保するのは当然だわな。


「シュナイダー殿、皆さん、このご恩一生忘れませんぞっもしこの国にまた参られたときは――」




「放てーっ!」

 即座に障壁を張る。


 ……知ってたよ、殺気がすごいもの。やはり、カルロス君が裏切ったか……。

 そんなに亜人が嫌いかい? 君らの方がひどくないかい?


「なっ! お前たち何をっ! 彼らは――」

 ロベルトは知らなかったみたいだな。良かった、これで彼も一枚噛んでたらヒト属アレルギーになるとこだ。

 さて――。


「オノレロベルトー、ヤハリ我々ヲ油断サセル為ノ芝居ダッタカー」

 ちょっと棒読み過ぎたかな?


「道理で、やけに優しいと思ったんだー」

 俺よりひどい棒読みだ。ソフィたんは嘘つけない性格なんだな、うん。

 リルちゃんは既に向こうで待機です。


「な、そんなっ! シュナイダー殿! ま、まさか……」

 すまないロベルト氏、色々と考えたがこれが今取れる最善手だと思う。

 亜人と仲良くしてたら、君の立場がなくなっちゃうだろう?


「おのれ……おのれカルロスゥゥ……っ!」

 余計なことは言わないでくれよ。

 ……俺は嬉しかったんだ、認めてくれて。これに報いずなんとするか。


「……犬畜生にも劣るっ! これで騎士を語るなどなんとおこがましいっ!」

 やべ、そろそろ余計なこと言いそうだ。


「ロベルトメ、覚エテロヨー! アノ時ノ言葉忘レナイカラナー!」

 



 ◆◇◆◇




「うまく逃げられたわね」

 無事に逃げきれた俺たち。

「……(正直かなりへこんでる)」


「よしよし♪」

 はわわぁ~ソフィたんが頭撫でてくれてるぅ~。


「しょ、しょうがないわねっあたしも撫でてあげるわっ!」

 とけりゅっ! 頭とけちゃう~!






 さて、醜態もここまで。次行くぞ次!

「急に切り替わったね~」

「ほんとに」

 まぁある程度というか完全に予想通りだったしね。


「しかし、メンシュライヒ国って本当に亜人差別がひどいのね……」

「私あの国ほんと嫌いっ!」

 まぁ、俺としてはゴブリンと知っても変わらず接してくれるヒトがいることが知れて収穫ありですが。


 少しでも早く離れたいのは変わらないので馬車で本来の目的地に向かうことに決めた。


 魔道具のオークション、他にも色々売られるようなのでとても楽しみです。

 今回の依頼の前金、金貨30に加えて姫様が事前にくれてた金貨10。

 ……恐らく約束の70は渡せないからって有り金全部くれたよ。律儀な子だね。


 そして以前のドラゴン討伐の残りで金貨10枚ほど!

 多分魔道具の1つや2つ、いや会場の物全て買えるっしょ!

 うひょー! 楽しみだぜーっ!



 

 ◆◇◆◇




 ――姫視点――

「……ロベルト、今の騒ぎは?」

「姫様っ! 我々は……」


 ……。


「そう……予想できていたとはいえ、彼らには本当に申し訳ないことをしたわね……」

「な、なんと!? 予想できていたのならば、どうにかっ! どうにかできなかったのですかっ!」


「彼らには事前にそれとなく。ただ、この大きな流れを変えるには何もできませんでした」

「そんな……それでは彼らがあまりにも報われないっ!」


「えぇ。だから変えるの。命を救ってくれた彼らに報いるため、わたくしが! この国の現状を変えるのです!」

「――っ! 姫様……」


「さよなら、わたくしの初恋の人……もう2度と会うことはないでしょうけど……せめて、せめてもう1度この国に来られるように……っ!」

「姫様……」




 ◆◇◆◇




 ――???――


 ガチャン!

 ガラスの割れた音がする。


「酒だっ! 酒を持ってこいっ!」

 私に向かって投げられた空き瓶の破片を片づける。

 酒を買うお金は昨日でなくなった。


「おいっ! 聞いてんのかてめぇっ!」

「お金、ない」

 チクッ。

 ガラスで少し指を切った。


「あんだとてめぇっ! どうにかして持ってこいやっ!」

 ガチャン!

 片づける物がまた増えた。別にいいけど。


「お金、どこにある?」

「うるせぇっ! てめぇっで見つけて来いっつてんだろうがっ!」

 お母さんはとっくにどこかへ行った。

 

「……」

 どうしようか、どうしようもない。

 また殴られる。


「ちくしょうがっ! 何見てやがるっ!」

 来た……別にたいしたことはない、目を瞑っていればすぐ終わる。


 ドガッバキッ!


 ……。


「くそっ! 酒がねぇっ!」

 ガラス、片づけなきゃ……。

 

「……売っちまうか、こいつ」

 ……?




 そうして私は親に売られた。

 別にたいしたことは、ない……。

短いですが、この章は終わりです。

次回メインヒロインが出てきます!


ちょっと暗い話になるかもですが、よろしくお願いいたします!

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