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第1話 始まりは幼女とともに

新章です、改めてよろしくお願いします!

「どうしてっ! どうしてダメなのっ!?」


 ん? どこかで幼女が助けを呼んでいる気がする。

「割と目の前だよ~」




 アンファンの村を出てからひと月ほど、今は帝国リテインブルグにある町、フィルストにいます。

 ソフィたんの故郷旧ロベット領はここから南の方にある領で同じ帝国内だが、交流はほとんどないらしい。

 そのためヒト族の大国メンシュライヒから、亜人も平等に過ごせる帝国にやってきたのです。

 まぁ、ゴブリンは亜人でもないんですけども。


 さて、話を目の前のお困り幼女に戻します。


 ちょうど冒険者ギルドに寄ったところ、何やら受付嬢さんとお話していたようです。


「うぅ、ママにお花あげたかったのにぃ……」

「お嬢ちゃん、どうしたの?」


「えっ? お姉ちゃん、だぁれ?」

「私たちは冒険者だよっ♪」


「冒険者さん……」

「うん♪ 何か困ってるようだったけど、どうしたの?」


「えっとぉ……」

「よかったらお話してみてくれるかな? 何か力になれるかも知れないよ!」

「う、うん! 実はね、ママが今お病気で辛そうなの……。だからママの好きなお花をプレゼントしたいんだげど、どこにも売ってなくて……」

 はい、いい子確定~! どんな願いも3つだけかなえてやろう。


「それでね、お店の人に冒険者さんに依頼してみたらって言われたから来てみたんだけど……」

「あのね、アリスちゃん。気持ちはわかるけどルナムーン草は森の奥深くに生えていて簡単には採りにいけないのよ。とても2石銭では依頼はできないわ」

 受付嬢さんが依頼を発注できない理由を教えてくれた。

 ふむ、アリスちゃんっていうのか。

 自分のお小遣いでお病気のママにプレゼントとは……泣かせるじゃあないかっ!

 

「じゃあ私たちがその依頼受けます~!」

 言うと思ったぜ、さすソフィ!


「ほんとぉっ!? やったーぁっ!」

 まるで、覚えたての魔法を初めて使うソフィたんのように目を輝かせるアリスちゃん。


 ポカッ。

 いてっ。


「いいのですか? 森の奥はまだ未開の地、かなり危険と言われています」

「大丈夫ですよ~、私たちこう見えてもランクCなんです~!」

 先日受け取った冒険者証を見せてドヤ顔をする。


「Cランクの方でしたか。でしたら無理をしなければ大丈夫かと思います。」

 無理をしなきゃ、とはまぁまぁ危険っぽいね。

 

 しかしルナムーン草か、一度行った町まで一瞬で飛べそうな草だな。

「実はルナムーン草はとても需要のあるものでして。少し前まで隣村の商人さんが持ってきてくれてたのですが、ここ最近納品がなくって私たちも困っていたのです。もし余裕があればこちらに売却してくれるとありがたいです」

「わっかりました~! じゃあアリスちゃん楽しみに待っててね~♪」


「うんっ! ありがとね、お姉ちゃんたち!」




 ◆◇◆◇




「病気のお母さんのためだなんて、いい子だね~!」

「……!(ほんとにね!)」


「ルナムーン草絶対採って来ようね!」

「……!(うん! それとエルフさんも楽しみ~!)」

 あの後森について詳しい話を聞いてみると、森のずっと奥の方にエルフの集落があるという噂を入手した。

 さすが異世界! ゴブリンと言ったらエルフ!

 エルフと言ったら美人! 高まる~!


「……(ジトーッ)」

 なんとなくソフィたんから冷たい視線を感じるが、気のせいのはずだ。

 思考を遮断しているからね! ……できてるよね? ね?


「……(プイッ)」

 ねぇ、本当にできてるんだよねっ!?


「さて、行きますか~!」

 お、おう! そうだね!




 そんなこんなで森の入り口に到着。

「……?(さて……森の奥ってどっちだろうね?)」

「ん~、きっと暗い方だよ!」

「……!(じゃああっちの方だね!)」


 そういって特に特別な準備もしないまま能天気に進む。

 このことが後の大きなターニングポイントとなるのであった。




 しばらくはよくある森、という感じの道が続く。

「なんだか出会った場所を思い出しますね~」

「……(そうですね~)」


「お母さんと言えば、シュナさんのお母さんってどんな人なの?」

「……(んー、まず人じゃないかなー)」


「もぅ! そんなのわかってるよ~!」

 しかし話すことはできない。だって、俺の母親は――。


「……(へへ、ごめんごめん。でも俺のよりソフィたんの……)」

 しまった失念だ! ソフィたんのお母さんは亡くなってるんだ。


「ふふ、いいのよ。お母さんの話聞いてくれる?」

 いいの? 話してくれるなら聞きたいな。


「うん! まぁ私のお母さん普通の人だったんだけどね。普通に、優しい人だったよ」

「……(うん)」


「魔法が上手く使えない私を励ましてくれたり、使えなくてもいいんだよって慰めてくれたり」

 お爺ちゃんの件で魔法を使うのがトラウマになっちゃたんだよね。


「うん。それで魔法が使えない代わりに、色々勉強を教えてくれたりしたの。嫁入りできるようにって一緒にお料理の練習したり……。けどお母さんドジだからお料理はへたっぴだったのよ!」

 くすくす笑いながら、泣きそうな顔で話してくれるソフィたん。

 そうしてしばらくお母さんとの思い出を語ってくれた。


 ◆◇◆◇


「……これが私を生んでくれたお母さんで、2人目のお母さんなの!」

「……(ん?)」

 

「でね、1人目の母さんはすっごく強くてかっこよくて血は繋がってないけど大切なお母さんだったの!」

「……(え? お母さん何人もいるの?)」


「あ、そっか。帝国の貴族では基本は一夫多妻でうちはお母さん2人いたんだよ~」

「……(へーそうなんだー別に関係ないけどぉ、へー)」


 ここでハーレムルートの道が開かれたぞ!

 来たれ、ゴブリック・ハーレム!


 ポカッ。

 いてっ。

 

「……(な、なんで叩くのっ!)」

 思考は漏れていないハズ……!

「べっつにぃ~、何となくですけど!」

「……(げ、解せぬ……)」

 

 まぁ、まずは人間になってソフィたんにゴニョゴニョ……。

「――っ!」

「……!(ちょっどうしたの!?)」


「ハァハァ……。こ、こっちに何か見えた気がしてっ! 何も無かったけどっ!」

 急に全力で走りだしたからお顔が真っ赤っかだ。

「……(そ、そっかぁ)」

「そうなんです!」


 ざわ……ざわ……。


 ん? 何だかあの木、不自然に動いた気が――それに危険も感じるっ!

「……!(ソフィたん、見間違いじゃなかったみたいだよっ!)」

「えっそんなはずは……あれ? 木が動いてる?」


 『鑑定』!


 ≪鑑定結果≫

 トレント

 通常の木に擬態して獲物が近づくのを待ち、狩りをする魔物。

 枝やツタで締め付ける力が強く捕まってしまえば逃げられない。

 捕獲する動作以外は遅いため、近づかなければ危険は少ない。


 さすがに木の紹介に鬼を挟む余地はなかったか。

 ツタ……触手……ソフィたん……うっ頭が。

 

 などと考え事をしていると、既に射程距離だったかツタを触手のように巻き付けてきた!

 ゴブ×触手など誰も望んでないぞ!


「シュナさん!」

「……!(しまった! う、うごけ……る?)」

 そうだった、進化した俺の体力というか筋力は相当なもので。


「……!(ドラゴンとは比べるまでもなかったわぁ)」

「……!?」

 おや、こいつも寡黙なキャラだったか。


「……!」

「……っ!?」


 メキャッボキッ!


 お互い無言のため、トレントを砕く音が良く響く。

 落ち着いてればそう危険な魔物ではなさそうだ。


 はっしまったー。ソフィたんのこと忘れてたー。

 もしかしてこの触手のようなツタであんなことやこんなことがー。


 ゾクッ!

 こ、これは覇王色の……っ!

 い、いや、ソフィたんから凄まじい怒気を感じる……。

 トレントも恐怖を感じているようでソフィたんに手を出そうとしていない。


「ふーん。シュナさんは私があんなことやこんなことされてもいいんだー?」

「……!(ち、ちがうんです!)」

「ふーん」

「……!(ご、ごめんなさい!)」



 

 こうしてトレントよりもソフィたんに許して貰うことに苦戦するのだった。


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