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第2話 前世の記憶を獲得しました

 おっす! オラ、ゴブリン!

 え、ゴブリン!? なんでぇっ!?

 なんかすっげぇ美人の姉ちゃん見つけたからとりあえず襲い掛かったら頭ぶつけて……。

 あ、これあれだ、前に聞いたことがある――。




 異世界転生だっ!


 

 

 え~……でもゴブリンかぁ……。

 異世界転生ならイケメンエルフとか最強勇者とか、せめてドラゴンとか色々あるじゃん!

 ゴブリンって、割とぶっちぎりの嫌われものじゃない?

 しかもあんまし前世のこと思い出せないし。


 まぁ、なんにせよ。1つ確実に言えることがある。


「ギィヤッ、ギャッ! (本当にごめんなさいっ!)」

「……………………え? 」


 レ〇プとか、ぜってぇ許せん!!!

 ほんと最低だよね、女の子に無理矢理迫る奴。

 俺はイチャラブ推進派ゴブリンなのだ。


 だと言うのに俺は……最低だ……。



「えっと……え?」

「ゴブゴブ! ゴブ! (怖い思いをさせてしまったこと! 無理矢理唇を奪ったこと! まこっとに! 申し訳ございません! お詫びに何でもします!)」

「え? ゴブリンの言うことが、わかる……? しかも謝ってる? え、今何でもって? な、なにが起こっているの……?」

「ゴブ! (自分が言うなって感じですが、いろいろあって混乱しているのでしょう! とりあえず安全な場所に移動しませんか?)」

「えぇ~……」



 ◆◇◆◇


 

 まだ動けない美人さんを連れ、森と草原の間くらいに移動した。

 途中で美味しそうな果物がなっていたのでそれを採るのも忘れずに。


「ゴブッブ? (落ち着かれましたか?)」

「え、えぇ。落ち着いたと思うけど……何が起こっているのかまだ全然わからない……」

「ゴブゴブ~(ここまで来れば安全でしょうし、もう少しゆっくりしてて下さい。本当に申し訳ない……)」

「……そう。 そうなの。助かったのね……」


 そう言ってボロボロと泣き出す神官さん。ほんと許せないことしたよね。ごめんね。



 

 ◆◇◆◇




「さて! 気を取り直して! いったい何が起こっているのかしら? 何でゴブリンの言葉がわかるの? 何か知ってる? 」

 立ち直ってくれた、よかった……気丈なお人だ。


「ゴブゴブシカシカ(いやぁ、正直自分もよくわからないのですが……自分、恐らく前世が人間でさっき頭を打った拍子にその記憶が戻ったらしく)」

 体に電流がビリィッって走った感じがした後、急に記憶が戻ってきた感じ?

「前世の記憶……そんなこと、あるんだぁ~」

 ね、あるんだね。まぁこめかみにはテンプルがあり神様がいてとかなんとかマンガでみたことあるし!

 


「ん~? ……でもそれでなんで言葉がわかるんだろう?」

「ゴブゴブ……(それはちょっとわからないです……)」


「人間だったころの記憶ってどんな感じなの~?」

「ゴブ~、ゴブゴブ、ゴブッブ! (ん~、あまり自分がどんな人間だったかは覚えてないけど、知識的なものはあるような感じですかね!)」

 自分でもまだ混乱してるし、よくわからん!

 ただ、今はこの美人さんに何か償えればって思ってるよ!


「ん~そっかぁ~。じゃあ、私が住んでる村に冒険者ギルドがあるから、そこの人に聞いてみよっか!」

 冒険者ギルド! いいね、それっぽいねー! オラ、ワクワクしてきたぞ!

 あれ、でも――。


「ゴブ?ゴブゴブゴッブ (でも大丈夫ですかね? 自分、ゴブリンなんですが……)」

「大丈夫だよ! テイムの魔法で動物と意思疎通がとれる人たちもたくさんいるみたいだし!」


 テイム魔法があるんだ! なら大丈夫かな?

 それにこの美人さんにテイムしてもらって冒険ってのも悪くない! ゴブ!

「ゴブ! (いいですね! ぜひ連れて行ってください!)」


 ◆◇◆◇


 やってきました、人間の……村かな? あまり規模は大きくなさそう。

 丸太で作った壁に囲まれて、これまた丸太でできた門を門番さんが守っている。

 いいよね、丸太。丸太があれば化け物も倒せる! あ、俺も化け物か……。

 

「ソフィアさん! 止まってください!」

 そう、この美人のお姉さんはソフィアさんと言うのだ!

 そして門番さんに止められる。なぜだ、ソフィアさんが何をしたってんだ!


「そのゴブリンはどうしたんですか!?」

 俺か!? 俺がいけないってのかっ!?

 ……そりゃそっか、緑色の人間の子どもですって無理があるしね。

 『無限の暗黒』を感じてるのかも。

 

「えっとぉ……森の中で出会って、ちょっと懐かれたので冒険者ギルドの方にお話を聞こうと思いまして~」

「いけません! いくら懐かれたからって魔物を中には入れられません!」


「大丈夫ですよ~彼は安全なゴブリンさんです~」

「ゴブ!(ども、安心安全なゴブリン=サンでっす!)」

 もしかしたら天国に連れてけるかも!? だから信用してぇ!


「た、確かに害意は見られませんが……しかし!」

「そこを何とか~、これを差し上げますので~」

 何とも間延びした話し方のソフィアさん、これが素っぽいね。


 おっとりしてて癒されるわぁ~、これからこっそりソフィたんと呼ぼう。

 そしてソフィたんは金色のナニカを渡す。この世界のお金かな?


「わ、わたしは真面目で正義感の強い門番! ゆえに! ……ソフィアさんがそこまで言うなら大丈夫だと判断しました!」

「うふふ、ありがとう~」

 さすがナニカ、何でも望みを叶えてくれる。


「しかしそのままでは混乱を招きますので、少々お待ちください!」

 そう言って門番さんはフード付きの外套を持ってきてくれた! さすがナニカパワー!


「ところでソフィアさん先程からお顔が優れないですが、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です~」

 いろいろ気苦労させてしまってるもんね……大丈夫かな?

 今日はいろいろあったし、ゆっくり休んでくださいね。俺が言うなって感じだけど。


 


「じゃ、じゃあ気を取り直して、冒険者ギルドに行きましょう~!」

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