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第9話 圧倒的存在を前には良くも悪くも感覚が鈍ってしまいがち

 先日のダンジョンボスから数日がたった。

 ソフィたんの属性付与はさすがに魔力調整が必要だと、特訓することに。

 その甲斐あってか、魔力の調整もうまくいくようになった。

 バフとしてはなかなか強力なものとなっている。

 さすソフィ!


「ねぇねぇ、今日はどうする~? 特訓~? それともダンジョン~?」

 ソフィたんおはよー。


「ブーゴブホブ、ホブ?(んーせっかくだしダンジョンボスに特訓の成果を試してみたいかなぁ、ソフィたんは?)」

 ちなみに前回のボス討伐時の戦利品は順番取っちゃった人たちにあげたよ……。

 

「じゃあ、ボス討伐に行った後に特訓しよ~!」

 体力お化けかよ。


 何てまったり今日の予定を決めていたその時!




「グギャオオオォォォーーーッッ!!!」



「ホブッ!?(何だっ!?)」

「な、なにぃ今のっ!?」

 慌てて外に出てみると――。


「ダンジョンの氾濫だぁーっ! 魔物の群れが来るぞーっ!!!」

 は、氾濫……まじかよっ!


「たっ大変だよシュナさん!」

 ダンジョンの間引きが不足してると大量の魔物が溢れてくるってやつだよね……?

 どっちだ、どっちのダンジョンだ!?


「シュナさん、あれ……!」

 もう既に、村からほんの少し離れたところに魔物の群れが迫っている。

 なんだよこれ……こんなんじゃ誰も逃げられないじゃないかっ!


「シュナさん……」

 わかってるよ! 戦うんでしょっ!


「――うん! 村のみんなが逃げるまで!」

 一緒に村を救おう!




 ◆◇◆◇



 村の外で迎え打つべく移動するが――。

「もう何匹か侵入してきてるよっ!」

 足の速いコボルトやウルフ系の魔物と村の人たちが戦っている!


「ゴブッ!(おらぁっ!)」

 横から魔物を殴りつけ援護する。

「今のうちに逃げてくください!」


「いんや、大丈夫だぁ! さっき強そうな冒険者達が群れに向かって行っただ!」

「オラたちの村だ、オラたちも守るだ!」

「「「んだんだ」」」


 なんと、村の人たちは逃げないのかっ!

 さすが冒険者を支えてくれてる村の人たちだ、逞しい!

「だ、大丈夫なのかな~?」

 ね、正直心配。



 

 何人もの戦う村の人たちに見送られながら急いで先に向かう。


「君たちもっ来たのかいっ」

 村のはずれ、開けた広場に着いたとき、先日の金髪イケメンが声を掛けてきた。

 さすがランクBのPTリーダー、ハイオークを一蹴しながら話しかけてくる。

 

「えぇ! 私たちも戦いますっ!」

「それは心強いっ! 幸いダンジョンが村から近いこともあってか敵はこっちの方向からしか来ない様子。 協力して敵を減らしていこう!」

「はいっ!」


 会話しながらもコボルトやオーク等を倒していく。

 ランク3ダンジョンの氾濫だが、全ての敵がランク3ではないのが救いか……。

 ランク3とか初見なんですが。

 

「実はっ私たちは、件のダンジョンを間引く依頼を受けてっ来たのよっ」

 例の気の強そうな姉ちゃんだ。

「そうなんですか?」


「あぁ。ランク2ダンジョンばかりっ人気でランク3の攻略が少なかったっみたいでね!」

 ふむ、氾濫の予防をしようとしたけど間に合わなかったってことかな。


「僕たちもこの村についてすぐ調整のためにランク2に潜った、その時に君たちと出会ったってことさ!」

「そうなんですね~」


「何だか運命を感じないかいっ? どうだい、よかったらこの騒動が終わったらっ食事でもっ」

 はっ!? 何言ってんのこいつっ!? はぁっ???

 イケメン死ねよっ! ソフィたんにぃっ! ソフィたんにぃぃっっうぇ……。

 やめてほんとっ頼むからぁっ! 今度かわいい娘紹介するからっ! 緑色だけど!

 


「ぷふっ!」

「えーっと、どうかな? これでも本気なんだけど?」


「えっ? あ、はい、考えておきますね~」

 いやあぁぁぁっソフィたんっ! 嫌だぁ、行かないでぇっ!!!


「ふむ。ではどうだい? あそこのミノタウロスを瞬殺できたらOKってことで!」

 ぁぁぁああああっ! ミノコロス! オレガコロスゥゥウウウッ!


「ブモオォォオオッ! ……ブモッ!?」

 初見で格上、でもそんなのかんけぇねぇっ!

 熱量がっ! 違うんだよぉっ!


「ブモ……」

 そんなバカなという様子でランク3ミノタウロスが沈んでいく。

 死守だっ! シシューッ!!


「おぉ! すげえな、ミノを瞬殺じゃねえかっ!」

 例の粗野な感じのガチムチが俺を褒める。

 違うっお前じゃない! ソフィたんにいいところを見せねばぁっ!




「か、彼はなかなかすごいねぇ……」

 鬼神のごとく敵を薙ぎ払っていく俺を見て金髪が半ば呆れたように呟く。


「えぇ、彼は凄いんですよ! この前のダンジョン攻略の時も――」

 ちょっ、金髪と話なんかしてないでもっと俺を見てよぉっ!

 と思ったけど俺のことを褒めてくれてるみたいだった。

 うぉぉーっもっと気合入れていくぞぉっ!




 その後しばらく敵を倒し、魔物の数も目に見えて減ってきた。

「ふぅ、なかなかの数だったね。どうだい、一緒に向こうでお茶でも飲みながら休憩でも」

 こっこいつ……!


「ふふっ、ごめんなさい、私には彼がいますので♪」

 

 !!!


「…………は? 彼は従僕では?」

「えぇ、大事なパートナーですっ♪」



 やったー! 大・勝・利!!!


 

 うひゃーっ! うひゃーっ!

「(ごめんね、最初から興味なかったんだけど……)」

 そんなぁ! だったら最初っから言ってくれればいいのにぃ!


「(ごめんって~。何となくシュナさんがかわいくって♪)」

 小悪魔やっ! ソフィたんは小悪魔系女神様だったんやっ!


「そ、そうか……いや、しかし彼は……」




「グゴォォォオオオオッッッ!!」


 


 なっなんだ、この圧倒的なプレッシャーはっ!?


「きゃあっ!」

「なっあれは……ドラゴンッ!?」

 ドラゴン……!


「バ、バカなっ! ドラゴンは最低でもランク4だぞっ!」

 『鑑定』! ――レッサードラゴン、体力とHPともに5000前後……。

 つっ強すぎる……。


「おいおい洒落にならねえぞ! 早く逃げちまおうぜっ!」

「そうね、こんなところで死ぬわけには――」

 ガチムチとねーちゃんが逃げようとする。


「待ってください! 私たちが逃げたら村の人たちは!?」

「し、しかし敵はドラゴンだぞ……!」

「大丈夫です、ドラゴンでもレッサー種みたいです!」

 能力値俺の3倍以上あるけどね。


「レッサー? ならばもしかしたら……しかしなぜわかったんだい?」

「彼が『鑑定』持ちなので!」


「『鑑定』か、なるほど……いや、しかし……」

「グルァァァッ!」

 遂に、射程距離に入ったぜと言わんばかりにレッサードラゴン咆哮をあげる!


「ホブァッ!(オラァッ!)」

 気合と身体強化を全開にしてその顔面に拳を叩きつける!

 ――だめだ、全然ダメージの入った様子がない!


 それでもここで逃げたら俺たちを信じてくれている村の人たちがどうなってしまうのか!

 何とか活路を開くんだ!

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