第4話 ノア
神の城、最上段にたどり着く。
「多分この扉の向こうに、“奴”が待ち構えているはずだ☆」
「いよいよね……」
遂に! この扉の向こうに!
「この時をどんなに待ったか……“奴”の名はノア。今までの奴らよりも強い! 心してかかるんだよ☆」
「おう! 行くぞっ! 『ゴブリック波動砲』っ!」
「えぇっ!? そんないきなりっ!?」
御行儀良く扉から入るなんてしない。
狙わやすい場所で呑気に寝てるのが悪い!
餓鬼の力を乗せた魔力波、しかし部屋を半分ほど吹っ飛ばしただけに終わる。
――そこにはどこか神々しい存在がいた。
「……いきなりな挨拶だな。その卑き根性、まさに『餓鬼』」
「やぁ。大人しく死んでくれないか? この世界と俺たちのために」
「舐めた口を聞くじゃないか。私に勝てるとでも?」
「勝つんだよ! 勝たなきゃ幸せになれない!」
「実力の差もわからぬ愚か者め! 我に刃向かったこと、永遠に悔やむが良い!」
「『ゴブリック波動砲』!」
「『デモニック・レイ』」
強大なエネルギーとエネルギーの衝突っ!
「負けるかーっ!」
「餓鬼が天に勝てるとでも?」
幾許かの拮抗、しかしすぐに弾けて消えてしまう!
「なっ!」
「『ヘブンリーブレイク』」
ノアは予見していたかのように次の攻撃!
急ぎ盾を具現化させるが、耐えきれずに攻撃を食らってしまった。
「くっ……」
「ほう、なかなか耐えるじゃないか」
「くそっ! 『ゴブリックワールド』!」
「……」
ノアに向けて放つが、シールドのようなものを展開して防がれてしまう。
「なぜっ! 何で効かない!? そんなシールドごと……」
◆◇◆◇
――ディ視点――
「言っただろう。『餓鬼』が『天』に敵うとでも?」
何だ? どこかで似たようなことを聞いたような……。
「貴様っ! くらえ桜花流――がはっ!」
「脆弱」
タ……ケ……。
何?
「――っ! 『ウィンドアロー』×100!」
「脆弱」
……ケテ……。
何か聞こえる。
「みんなっ! シュナさん!」
ソフィアがみんなを回復して主に強化魔法をかける。
タ……ケテ……。
聞こえ辛いけど……これは、いつも聞いてる……?
「……その程度の力で我に楯突こうなど、愚かだったな」
「ハァハァ……くっ! 諦めるかっ!」
「……鬱陶しい『餓鬼』め」
「ミンナヲ、タスケテ!」
はっきりとマナが、生命が叫ぶ声が聞こえた。
◆◇◆◇
「(みんな聞いて)」
これは……! みんなでお揃いでつけたイヤリングからディちゃんからの念話が届く。
「(あいつの奥にあるキラキラしたやつ、あれを壊して)」
「(……奥?)」
ノアの後方、よく見ると確かにクリスタルのような物が瓦礫の影に隠れている。
「(わかった! みんなっ! とにかくやろう!)」
理由はわからない……が、ディちゃんの言うことだ!
とにかく信じて行動する!
「『ウィンドアロー』×100!」
「『たくさんのひのこ』」
「えーい!」
「ゴブリックワールド!」
「――っ! ソフィア! 私も行くぞ!」
「クリス!」
あ、クリスはイヤリングなかったな……。
しかし何かを察したのか、波状攻撃に合わせてノアに攻撃を仕掛ける!
「……無駄だ。ゴブリンはともかくお前らの攻撃など効かぬ」
「えーい!」
それでも! ノアを巻き込みながら後ろのクリスタルを狙う!
「どんどん行くぞ!」
「ボク達もやるよ☆」
「GAAAA!」
再びの俺らの魔法に加え、婆の魔法やファルシオンもドラゴンの姿でブレスをかます!
「……何だ? 何かを狙っているのか?」
「えーい!」
くそっ! 狙いがバレるとまずい!
だけど、1歩も動かずにしっかり守ってるってことはやはり重要なものなのかも!?
「まだまだ!」
「えーい!」
「……無駄だと――」
「えーい!」
「……言って――」
「えーい!」
「――鬱陶しいぞそこの女ぁっ! この場にそぐわぬ声を上げるなっ! 石を顔に当てるなっ!」
「キャー怖いですのー!」
「――っ!」
今だ!
『モード:エア』改め、『モード:シン』。
電気を操作して脳の信号より先に、思考するよりも早く体を動かすことで超スピードを実現!
この世界に雷魔法はない。
しかし前世の死因である雷に打たれた衝撃。
ソフィたんとの出会いの時や暗黒面に落ちた時に度々感じていたその感覚。
それを魔法で再現する!
中々できなかったが、晴れてランク6になった今! ようやく完成した魔法!
長々解説してて大丈夫かって?
大丈夫! 思考より先に動く……行動は既に終わっているッ!
パリンッ!
「――なっ!? 貴様っ! マナ結晶を……! 貴様ぁっ!」
やはり、これはノアにとっては何かしらの弱点だったようだ。
「貴様っ! 絶対に許さんっ!」
「アリガトウ……アリガトウ……!」
……何だ? 誰がお礼を……?
「そもそも最初から何なんだ貴様っ! いきなり部屋を吹っ飛ばして! おかげで厳重に守っていたマナ結晶が露出! それを守るために私もろくに動けない!」
わぁ、めっちゃ怒ってる! 我慢してたんだね……。
「ミンナ……コノヒトタチニチカラヲカスヨ!」
「ウン!」
「コッチノエラソウナヤツジャナイヨ!
さっきから何だ? ノアには聞こえてないようだが……?
「貴様ぁ……3000年溜め続けたマナだぞ……我の苦労を無に帰しやがって……」
「それはお前の苦労ではないっ! そのマナはこの世界の生物が生きた証! 決して貴様なんかが好きにしていいものじゃない!」
そうか! この声はマナか! ずっと……ずっとここに閉じ込められてたんだ。
婆が激昂するのもわかる!
「黙れっ! この世界の生物など、全ての頂点に立つ私の家畜にすぎんっ!」
「ボクハ、イツモコエヲキイテクレルオンナノコ!」
「ボクハ、アノヤワラカソウナオンナノヒト!」
「ボクハ、エー……ゴブリンハヤダナァ……」
なんでや!
「……なん……だ? マナが……?」
マナがみんなに流れていってるのに気がついたようだ。
「何? どういうこと? マナが私たちに流れてきてる……!」
「これは……!」
「大丈夫。みんなが力を貸してくれるって」
「我に従えっ! 集えマナよ! ……なぜだ、なぜ我の元に来ないっ!」
ノアも必死にマナを集めようとするが、失敗しているようだ。
やがてみんなから眩い光が放たれた。




