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第2話 ステイシス

「すっごーい!」

「まさか、ドラゴンに乗れる日がくるとはな……」

「きゃーっ! こわいですわぁー!」

「ぷっぷー! ぷー!」


 ソフィクリプリサキュは非常に楽しそうだ!


「――ッ! ――――ッ!」

 リルちゃんは必死に歯を食い縛って恐怖に耐えている。


「主ぃ、怖いよぉ」

 ディちゃんは俺の腕にしがみつき、頭を埋めている。

 可愛すぎて鼻血が出ちゃいそうで困っている。


 そんなみんなの様子をゆっくり見守る俺。

 既に魂が飛び出てるので全く問題ない。




「ねぇ、シュナイダーは大丈夫なの?」

 大丈夫だ、問題ない。装備は万全だからね。


「た、多分……?」

「大丈夫だと……思いますけど……」

「そんなことよりあれを見ろ! まるでゴミがヒトのようだ!」

 そんなことだって!? クリスめ、覚えてろよ……!


「わぁ、本当ね! ゴミがヒトの形してる! シュナさんも見て――ぁ」

「ソフィア……やつはもう……」

「……彼とも一緒に見たかったですわね……」

 見てるから! 一緒に見てるから!


「うん……」

「泣くなソフィア! 私はずっとそばにいるぞ!」

「わたくしもですわ!」

 俺もいるって!


「みんな……ありがとう! 私、シュナさんがいなくても頑張って生きていくよっ!」

「ソフィア……!」

「えぇっ! みんなで幸せになりましょう!」

「いやだぁーっ! 俺もみんなと一緒に幸せになるんだぁーっ!」


「生き返った♪」

「生き返りましたわ」

「生き返ったな。まったく、世話のやける奴だ」


「……何この茶番」




 ◆◇◆◇




 神の住む天上の城。

 下からは雲の塊にしか見えなかったが、やはり雲の中にあった。別の積乱雲だったけど。


 積乱雲の中に突っ込んだときはまじで死ぬかと思ったわ。

 ファルシオンがいなかったらどうするんだったんだろうね?


 やはり空から女の子が降ってくるのを待つしか……。


 ぽかっ!

 いてっ!


「ち、ちがっ! 今のは女の子がどうとかじゃなくて!」

「ふ~ん。どうだか!」

 本当違うの! お約束的な!


「あいつ、また変なこと考えたらしいぞ」

「神の住む城について早々何を思ったのでしょうか……はっ! まさかっ!」

「絶対そうよっ! 絶対女神様を狙ってるんだっ!」




「お前たち……こんなところでまでふざけなくても……☆」

「お婆ちゃんっ!」

 オリジン種専用のルートで来ると言っていた婆と合流。


「それにしても……当てがあると言っていたが、まさかあなた――」

「(しーっ。この子たち、気付いてないのよ? おもしろいでしょ)」


「(おもしろいって……いや、しかし……)」

「(事情は知ってる。できれば味方に、と思ったけど……)」


「(けど?)」

「(準備に力使いすぎちゃった)」


「(そ、そうですか……いや、敵でないなら大丈夫です☆)」




 何やら婆とファルシオンがコソコソ話してるが……何だ?


「……さて! 長居は無用! さっさと用事を済ませるぞ☆」

「お、おう! 待ってろよクソ女神ーっ!」


「やっぱりですわ……」

「やっぱりねっ!」

 そりゃ狙ってるよ! 命をね!




 しかし、その先に待ち構えていたものは――。




 ◆◇◆◇




「何でもします。ですので痛いことはしないでください」

 聞いたことのある声でそんなことを言いながら土下座している女神っぽい女性。


「よし、まずは服を脱げ。その後――」


 ぽかっ! ゲシ!


「いてててっ! 違うっ! これ罠! 女神の巧妙な罠! って本当に服脱いでるぅッ!」

「あなたが噂のゴブリンなんでしょ? 生きたまま食われることを考えたら、脱ぐに決まってるわ」


「……」

「何よ、何千年も生きてれば裸になるなんて大した事ないわ。それとも美しい体に見惚れてしまったのかしら?」

 確かに美しい。美しいけど……。

 何だろ、別に何も感じない……。


「うふふ。いいわ、特別にとってもすごいことしてあ・げ・るぐぇっ!」

 わぁ! 僕の女神様たちがすごい勢いで襲いかかってるぞぉ!

 旧女神から聞こえてはいけないカエルみたいな声が聞こえたぞぉ!


「人の旦那様を誑かすなんて!」

「許さないんだからっ!」

「死ねっ!」

「何をする気だったか教えてから死になさいですの!」

 1人むっつりさんがいらっしゃる。




「ひ、ひたひことひないでって……いっはほひィ……」

 無惨! 女神はギャグ漫画みたいに顔を腫らしてしまった!


「まだ名乗ってもないのに、かわいそうね」

「まぁ、古今東西泥棒猫の運命はああなると決まってますのじゃ☆」


「ところで、俺たちは神々をぶっ飛ばしに来たんですが、あなたは女神さんでよろしいか?」

「はひ……降参するから、これ以上やめてください」


「油断するな! いきなり降参だなんて信用できないぞっ!」

 婆の言う通りだ。


「……あなた、オリジン種じゃないの。まさか……裏切ったの?」

「私の事はどうでもいい! なぜいきなり降参などする!?」


「知ってると思うけど、私は戦闘面では役に立たないの。単純な戦いじゃあ魔王にですら瞬殺されるわよ!」

 あー、プリンちゃんタイプってことかぁ。

 しかし、命乞いしてるとは言え憎き敵には変わりない……どうしよ。


「ディに任せて」

 ぁ。


「それはいい☆ おい、ステイシス。本当に降参するのであればこの子の精神魔法を受け入れろ☆」

「ど、どんな魔法なの……?」


「悪を取り除く魔法☆」

「なにそれこわい」

 わかる。


「四の五の言うな! さぁディよ、やっておしまい☆」

「わふっ」


「こ、これは……? 何が起こったのかしら……?」

 ディちゃんによる魔法が女神を包む……が、特に異変は感じられない。


「……まさか本当に敵意が無かったと……?」

「だから言ってるじゃない! 全く……酷い目にあったわ!」


「……お前が敵であることには変わりない」

「ま、まぁさ。敵陣の真っ只中だ、とにかく進もう……」


「はいはーい」

「そ、そんな軽くっていいのっ?」

 思わず、と言った感じでリルちゃんが尋ねる。


「まぁ私としては何もしなくてもマナを補給できて、ゆっくり寝て過ごせればあんたらが勝とうがあいつが勝とうがどっちでもいいからね~」

「……ふざけるな! 人を! 生命の営みを食い物にして! 何様のつもりだ!」


「……知らないわよ。私はアイツに同意しただけだし。それに、オリジン種であるあんたも加担したでしょ」

「……それは――」


「お前と一緒にするな。こいつは悔やんでるからこそ長い間1人で戦ってきたんだ。お前なんかとは違う」

「……ふぅん」

 今のが意地悪でないのなら……やはりこいつとは相容れないな。




「お婆ちゃん絶対今のキュンってきたよ~!」

「わたくしも他人事ながらトゥンクってしましたわぁ~!」

 あの、敵の本拠地ですので……。


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