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第1話 たいていのことは最初と想定が異なってくる

ブックマーク・評価ありがとうございます!

本当に嬉しいです( ノД`)

これからも見てくれる人がちょっとでもクスっときてくれたら、そう思いながら書いていきます!

「さてさて~、今日は久しぶりに冒険者活動をするよ~!」

「ゴブゴブ!(おぉ、久しぶりの冒険ですな!)」

 いいねいいね~、未知のダンジョンが! 貴重な魔道具が!


 僕たちを待っているっ!!!


 ◆◇◆◇


「今日は村の畑の見回りをしてください」

 ギルドに行ってみるとそんなことを受付嬢さんに言われた。

 ちくしょう……返せよ、ワクワクを!


「ご存知かと思いますが、Fランク冒険者のノルマです」

 聞けばFランク冒険者にはチュートリアルやセーフティネットを兼ねて村のライフライン整備の依頼がノルマとして課せられるそうな。


「た、確かにそんなことを聞いたようなぁ~……」

 そういえばソフィたんは冒険者登録してすぐに薬草採取に行ったんだっけ。

 意外とアクティブというか。


「冒険者として信用を得たいのなら、これらの依頼をこなすことですよ。拠点となる村の生活を支えてくれる方がいてこそ我々の力が発揮できるのです。いくつかありますが、冒険者として守るべき存在や心構えを理解するためにも早めにノルマを達成してください。と登録の際に伝えたはずですが?」


「は、はいぃ~」

 ソフィたんわくわくしてて聞いてなかったんだな!

 そんなところもかわいいぜ!


 ◆◇◆◇


 村の中心地から少し離れたところにある農作地帯にやってまいりました。

 多くの畑が広がりその周囲を丸太で囲ってる、そんな感じ。

 てか、なんかここすごく居心地悪い……。

 

「おう! 今日の当番の冒険者さんかぁっ!? えらいべっぴんさんだなぁっ!!!」

 ガハハと笑いながら筋骨隆々のヒゲダルマが声をかけてくる。

 よくわかってるじゃあないか、ソフィたんはべっぴんを司るべっぴん女神なのだ!


「まぁうちのカカアには負けるがな!」

 なんだとてめぇっ!!! 張った押すぞゴラァッ!


「(シュナさん、やめて!)」

「(はぁい)」

 べっぴんに加え、かわいいも司っている女神に顔を真っ赤にしながら制止させられた。

 

「こんにちは、今日はよろしくお願いします~!」

「おう! よろしくな! この仕事はやったことあるか?」


「いえ、今日が初めてです!」

「そうかそうか! じゃあ簡単に説明してやるぞっ! 頼みてえ仕事は、その辺見回って罠の確認だっ!」

 おう! えらい簡潔だな!


「え、えっとぉ~……」

 ほら見ろソフィたんも困惑しとるわ!


「ちょっとあんたっ! それじゃ全然わからないだろう!」

 ゴギャ! とヒゲダルマの頭を殴りつつ女の人が――ッ!?


 なん……だと……?


 ほっほんとにソフィたんレベルのべっぴんさんだ……。

 整った顔立ちに加え、熟した大人の色気ががが。


 ポカッ!

「ブッ!(いてっ!)」


「わぁ~、本当にべっぴんさんですねぇ~!」

「あら、ありがとねぇ! かわいこちゃんに褒められたら嬉しいねぇ!」

「がっはっは、そうだろう! 自慢のカカァだぜ! カカァの為ならおれぁ何だってできるぜ!」


 ソフィたんに小突かれた頭を押さえながら、うんうんと頷く。

 大事な人の為ならなんだってしたいし、できるよね!

 ヒゲダルマのことはいいやつリストに加えておこう。


「あんた、話を戻しなっ!」

「おうそうだったな! 頼みてえ仕事は――」


 細かいところ、というかほぼ全てカカァさんに補足された話をまとめると――。

 ①畑の周りを見回って、動物や魔物の痕跡がないか調べること

 ②同時に周囲に仕掛けられている罠の点検

 ③魔物避けのにおい袋の補充

 とのこと。何か嫌な感じがすると思ったら、これでしたか。


「ところで、さっきから両手を上げたり、ウンウン頷いたり、何か考え事してそうなそこのちっちゃいのも冒険者なのか? 顔は見えねぇけどよ」

「えぇ、私はテイマーなので彼は従僕です」

 えぇ、従僕です。基本的に魔物はテイムできないとされているから従魔とは言わないんだってさ。

 

「人型の獣かなんかかぁ?」

「そんなところです! ちっちゃくて愛嬌があるんです!」

 目をくりくりさせながらヒゲダルマを見つめる。

 顔隠してるけど。


「そうかそうか! じゃあおめぇも頑張れよっ!」

 グリグリと頭を撫でられる。

 イデデデデ! 力強すぎィッ!

 けど、転生してから初めて頭撫でられたな……。


 

 少しポカポカした気持ちで、作業するために移動する。

「なんだか優しい人たちだったね~」

「ゴブブ!(がさつだったけどね!)」

「うふふ、でも撫でられて嬉しそうだったね!」

「ブ、ブブッ(そ、そんなことないんだからっ!)」

「ふふっ」

 まぁいい人達ではあったね。


 この村では、芋類と豆類を多く栽培しているそうな。

 ともに成長が早く一年中収穫でき、保存も効く。腹持ちもいい。

 欠点としては味がいまいち。

 まぁ、体力勝負の冒険者的にはありがたい主食だね。




 作業自体は特に何もなく終わった。

 基本的には何事もないけど、欠かすことのできない作業。

 それを初心者冒険者に課すことで公共の利益を守り、冒険者側もまた最低限の報酬を約束されているのだ。


「おう! お疲れさん! それじゃあこれ、依頼達成証だ!」

「ありがとうございます~」

「こっちこそありがとね! これ、少ないけど良かったら食べとくれ!」

 と美人のカカァさんが採れたての芋をいくつかくれる。


「わぁ~! ありがとうございますっ!」

 う~ん、田舎の人情溢れる様相ですなあ~。


 ◆◇◆◇


 まだお仕事できそうだ、と続いてやってきたのは商店街。

 店は少ないけど人が多くまぁまぁ賑わっている。

 採れたての自然の恵みや魔物や動物から剥いだ素材、串焼きなどの食べ物が売っている。

 お、さっきの芋を蒸かして売ってる。

 うげっゴブリンって食えるのかよ……。


 ほとんどの物が石銭単位で売っている。

 材料を選ばなければ、1石銭で腹は膨れそうだ。

 オークの肉は少し高い分おいしそうな匂いだし、森で採れたであろう実もつやつやしている。

 

 お店を見ながら目的地にたどり着いた。

「待ってましたよ、冒険者さん」

 今回の依頼主というか監督者さんは商店街の取りまとめ役さんだ。

「今日は魔石の補充と害獣駆除、それとトイレの掃除が残っておりますな」

 

 魔石の補充は、生活用品の電池みたいに使用する魔石に魔力を補充する作業。

 魔力の操作ができれば子どもでもできる作業だって。


 害獣はやはりネズミとか3倍速い黒い虫とかいろいろ湧いちゃうから日常的に駆除する必要がある。

 

 トイレ掃除もインフラが整っていないため定期的にするんだと。

 軽犯罪の罰としても利用されるほどしんどい作業だ。


 今日は遅めに来たからまぁまぁ辛い作業しか残っていない。

 魔石への補充が残っているのは、魔力操作できるような人間ははやくランクアップし、F級冒険者には少ないという事情からだって。


 他の作業は公共の水瓶に水を運んだり、売り物の運搬や店の売り子などがあったが、今日はもう残っていない。


「魔石の補充! 私できます!」

 ソフィたんが目をキラキラさせている。

 魔法使えるようになったばかりだものね。

「おぉ! それは助かります。なかなかこの作業をできる方が少なくて困っているところなんですよ」

「それはよかったです~! 頑張ります~!」


 そういえば従僕は単体で動いていいのだろうか?

 できるなら害獣駆除も請け負います!


「ところで彼は私の従僕なのですが、彼だけでも依頼は受けられるのですか?」

「えぇっとそれは……さすがに危ないのでは?」

 従僕はテイマーから離れると指示が届かず好き勝手に行動する。

 そりゃそうだけど、テイマーは依頼達成しても1人分だから、稼ぎが単純に半分で辛いんだよなぁ。


「彼は大丈夫ですよ! 彼は害獣駆除が得意なんですよ~!」

「うむむ。それは非常に魅力的ですが……」

 害獣駆除、難しいもんね。


「う~む、ではこうしましょう。まずは私の店周辺で活動してもらい様子を見る。その後問題なさそうなら正式に仕事として依頼しましょう。」

 おぉ! 話の分かる依頼主さんですな!

「わかりました! じゃあ、シュナさんよろしくね~!」

 かしこまりっ☆ ソフィたんも頑張ってね!



 

 その後様子見もサクッとクリアし、俺単独で商店街へ。


 よーし、暴れるぞぉ!

 ……もちろん成果的な意味でね?


 小一時間程、今日の晩ご飯であるネズミや明日の朝ご飯であるネズミを捕ったり、全ての知的生命体の大敵であるGを屠っていく。

 この体だと動きや感が野生的だからなのか楽勝だ。


「そこのあんた! 見事なもんだねぇ~」

 するとそこに、恰幅のいいお店の看板嬢さんが声をかけてきた。

 ……いくつになっても嬢は嬢だ。あヽ無情。


「…………」

 俺は喋ると正体がバレてしまうため、無言で従僕を示す首輪を示す。

 身分を隠し、悪を討つ! その名もGoburin仮面! ……あれ、俺もGなのか。

 いつかG界のシンに会いたいものだ……。


「あら、あんた腕がいいだけじゃなくて頭もいいんだねぇ! 」

 そう現実逃避していると尚も声をかけてくる嬢。


「…………」

 身振り手振りで謝意を伝える。シャイだからね!

「あはは、なんだいヘンテコな踊りだねぇ! これ食うかい?」

 言いながら赤いリンゴっぽい実をくれる。


「飼い主さんには、内緒だよ!」

 クラスのみんなにもね! じゃなくて。

「…………」

 伝わるかどうか、もう一度感謝を伝える。


「いいんだよ! ネズミにはホントに困ってるからこっちこそ助かるよ、ありがとねぇ」

 よかった、伝わった。うん、もっと頑張るぜ! ありがとな!


 時折、同じように感謝の声をかけられたり余り物の食べ物を貰ったり。

 そうしていい気分のまま夕方まで作業するのだった。






 

「シュナさん! 見て見て~!」

 ソフィたんの所に戻ると、はしゃぎながら近寄ってくる。

 指さすところを見ると、魔石の山、山、山……。


「あなたの飼い主さんは凄いですねぇ……店の倉庫どころか村中の魔石を集めて補充して貰ってもまだ魔力が尽きないとは……」

 通じないとわかりつつ俺に声を掛けてくる依頼主さん。

 まぁ、魔力がドラゴン並みらしいので……。


「うふふ、すごいでしょ~♪」

 キラキラと眩い笑顔で胸をポヨンと張るソフィたん。

 

 魔石は、質によるけど一般的に極小サイズで魔力10程込められる。

 明かりのつく魔道具で1日分くらいらしい。


 それを……いくつだ?

 いや、ほんと凄い。よく頑張ったね!

「えへへぇ、ありがとぉ~♪」


「ふむ。ソフィアさんは魔力が多いだけでなくテイマーとしての腕も高いのですね。従僕としっかり意思疎通ができているようだ」

 そうだぞ! ソフィたんは凄いのだ! もっと崇めよ、称えよ!




「さて、これが本日の依頼達成表です。従僕さんもかなり頑張ったようで、おかげさまでしばらく余裕ができましたよ」

 まぁ俺の成果は見せられないものだけどね!

 と、汚いご飯の入った大袋を隠し、きれいなご飯(貰い物)の袋をソフィたんに渡す。


「ぜひまたこの仕事を受けてくださいね!」

 

 ◆◇◆◇


「今日は楽しかったね~!」

 宿屋に着き、 ゆっくり今日のことを話す。

「ゴブゴブゴブ!(疲れたけど、すごい充実してたね!)」

 多くの人と関わり、感謝し感謝され……。

 冒険者ギルドの方針もバカにならないね。


「うんうん! 色んな事知れたし楽しかったぁ! でも何だか眠く……なって……」

 そういいながらベッドに倒れこむ。

 もう! ソフィたんったら! お腹出して寝て!


 明日もギルドの依頼があるんだから体調に気を付けなきゃなんだぞ!

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