舌戦
「バルス長老・・・」
あの男がバルスか。
「この者たちは我々エルフを犠牲にして、ヒューマンの生活を保とうとしている」
バルスの言葉にエルフたちはうろたえた。
「たしかに」
「ヒューマンは2人しかいないのか?」
「なんで俺たちが戦わなければいけないんだ?」
厭戦気分にさせるつもりか。
「デスマーチはここから西に3キロのところで発生するここが一番狙われる。戦うしかないと思うんだが?」
「我らには神樹ユグドラシルがある。ゆえに我らは安全だ」
「そのユグドラシルがあんたたちをどうやって守るというのだ?」
「ユグドラシルが魔王から我らを認識されずに素通りするであろう」
「そんなありえないわ」
エリスは台に立った。
「エリス?」
「もしユグドラシルにそんな力があるなら5年前のカオスゲートであんな被害が起きる筈がないじゃない」
「あれはカオスゲート。デスマーチとは違う」
バルスは反論した。
「あの事件でみんな大切な人を失ったんじゃない。あの時思わなかった?自分に戦える力があればって」
「お前たちはライト。戦場にいても足手まとい。戦っても犬死だ」
「今、あの時以上の災厄が私たちの前で起きようとしているのよ。あんたたちは何もしないでユグドラシルの影に隠れてデスマーチが終わるのを待つつもりのなの?」
「お前たちは弱者だ。弱者は身の程をわきまえて、隠れていろ」
「ユグドラシルは私たちにとって神木であるけど、私たちの守護者じゃない。だから自分たちで戦い守るしかないのよ」
「お前たちまさか抜け人であるこの女の言うことに心が揺れ動いていはいないよな?」
バルスは睨みをきかせたが
「ヒューマン、俺たちは戦えるのか?」
「それはあなたたちの覚悟しだい。戦う意志がないければ、実践を前に足がすくみ戦えない」
「俺にだって家族を守る覚悟はある。命を懸ける覚悟が」
「貴様、ライトのくせに何を―――」
バルスは止めようとした。
「俺だって」
「強力な弓があるなら」
「俺も」
エルフたちに戦意が沸き上がっていた。
(まずいぞこれは・・・)
バルスは焦っていた。このままライトたちがデスマーチ参加し、鎮圧に貢献したならば、今までのような体制でいられなくなるのは明らかだったからである。
「ヒューマン」
「なんだ?」
「お前はさっき弓で戦えと言ったな。だが弓だけでは戦闘はできん。盾となる前衛いてこそ弓の力は発揮できるものだ。まさかこの中から盾役を選ぶつもりか?」
(そうだ。戦争において犠牲になりやすい前衛必須。それをろくな訓練を受けていないこいつらができるはずがない。抜け人、そしてヒューマン。お前たちの思い通りにはさせんぞ)
「前衛がいればいいんだな?」
「は?」
「お前には聞こえないか?前衛を任せるに値する者たちがこちらに来る足音が」
「なんだと!」
バルスが目先を変えると遠くに明るいところがあった。
「まさか・・・」
「援軍の到着だ」




