大長老との密談
「・・・」
「・・・」
しばらくお互い無言だった。ティアの父親、アレクセイの父親、バストールこの世界で強い人物と出会ってきたが、この爺さんはけた違いの気迫を兼ね備えていた。
「おぬし・・・」
何を言われるんだ?俺はとっさに身構えた。
(大森林に無断で入ったことを怒るのか?それとも暗殺者だと勘違いしてくるか?)
俺は汗を垂らしながら、次の言葉を待った。老婆は俺に近づき、口を開き言った。
「おぬし、どこかで会ったことあるかのう?」
「ナンパかよ」
あまりにも予想と違うのでつい突っ込んでしまった。老婆は首をかしげていた。
(そういえば、大長老は耳が聞こえないんだったな?よかった聞こえてなくて)
「おぬし、わしの気迫に当てられて平然にしているとはやるのう」
「へ・・・あっ」
俺は用意した画用紙に文字を書いた。
『平気のふりをしているだけだ。そういうのは得意なんでな。』
「ほっほぅ。やるのう」
『あんたにききたいことがある。』
「なんじゃ?」
『この歪な社会になっているのになんで放置している?』
盗み聞きしたとことによると、この爺さんが治めていたときは今ほど酷い差別はなかったみたいなのに、この状況を放置していることが気になっていた。
「わしは政からは引退した身じゃ。そんなわしが干渉するのは、間違っているじゃろ」
『それでひもじい思いをしている仲間がいてもか?』
「すべての人を救う政など。できるものはいない。どれだけ優秀な政策でもあぶれる者はいるものじゃ」
この爺さんが言っていることは間違ってはいない・・・ならば
『これから、俺たちがやることにあんたは干渉してくるのか?』
「さっきも言ったじゃろう。わしは引退した身。政に関してわしは関わるつもりはない」
政に関してはか・・・なるほど。
『最後に聞きたいことがある』
「なんじゃ?」
『わかった。ここに来てよかった。これで失礼する。』
「最後にわしと戦っていくか?」
大長老は弓を構えた。
『あんたとの力の力量を推し量れない間抜けじゃないから、やめておくよ。』
「それは残念じゃの」
大長老はがっかりしたようだった。俺は元の道を戻りながら
(サプライズをといていない俺を認識できる・・・戦わずにすんでよかった)
内心、ホッとした。
大森林を抜けて、ティアたちのところに戻ってきた。他のエルフたちの隠れるよう移動したので、日が暮れ始めていた。
「ただいまー」
家に入ると
「アクアプリズン」
アクアプリズンで拘束された。
「あんた、どこに行っていたの」
(水の中じゃ会話できないから、解いてくれ)
そうアイコンタクト送ったはずだが
「まだいたしてないないから許してくれですって」
「今日は夕飯抜きです」
2人に全然伝わっていなかった。




