明日も食べに来ればいいじゃない(ミリス視点あり)
「落ち着いた?」
しばらく泣いていたウチたちをエリスは見守ってくれた。
「「うん・・・」」
「それで、私がいなくなった後はどうなったの?」
「エリスを裏切ってまで得たのは、最悪の生活だったわ」
「我々の同胞に危害を与えた原因を作ったあの女は逃げた。ゆえに『抜け人』とし、大森林に入ることを禁じる」
あれはエリスのせいじゃなくて、自然現象なのに・・・そうわかっている人もいたけど、長老たちに逆らう人はいなかった。
「今回の襲撃を防げなかったことに謝罪する」
謝罪と言いながらすごく偉そうだった。
「今回の失敗はヘビーの栄養不足が原因だった」
え?何を言っているの?ヘビーたちはたくさん食べているじゃない。ウチたちの倍は食べている人だっているし。
「今後、ヘビーたちが十二分に力を発揮するために食料供給の配分を変更する」
「そんな・・・」
「ふざけんな!」
「こっちは余裕がないんだぞ」
これには抗議の声が上がった。
「ならば、これからは自給自足、自己防衛にするかね?こちらはそれでも構わないぞ」
魔物とまともに戦えるのはヘビーだけ・・・なのに自己防衛なんてできるはずがない。
「「「・・・」」」
「反対意見がないようなので、これからはそのようにする」
「それから本当に供給量を減らされたの」
ウチは弟に、ロエナは妹に自分の分の食事を与えてきた。
「それで今日、『抜け人』が帰ってきたという話を聞いて、エリスかもって思ってここに来たの・・・」
「許せないわね」
「「ごめんなさい」」
エリスの発言に反射的に謝った。
「あなたたちじゃなくて、ヘビーのやつらよ。あいつら自分たちはほとんど何もしないのに弱者の弱みに付け込んで・・・」
エリスは拳を握りしめ、怒りに震えていた。
「ミリス、ロエナ」
「「はい!」」
エリスの声にウチたちは立ち上がった。
「明日の夕飯もここにきて食べなさい」
「「えっ?」」
あのおいしい料理が明日も食べられる?そんなこと、あっていいの?
「何?ティアの料理はおいしくなかったの?」
「そんなことない」
「今まで食べた中で一番おいしかったよ」
「なら、いいじゃない。ティアには私から、言っておくから」
「あの・・・家族も連れてきて・・・いいかな?」
図々しいのはわかっているけど、ウチだけごちそうを食べるのは気が引けた。
「もちろんよ」
「ありがとう」
「じゃあ、また明日」
「ええ」
ウチたちはエリスの家を出た。
「仲直りできたみたいでよかったですね」
上でこっそり盗み聞ぎしていた。
「・・・そうだな」
「カズさん?」
「ティア、これから食事の用意が大変になるぞ」
「そうですね。お2人の家族の分も用意しなければ、いけませんからね」
俺の予想だと、それではすまないだろう。
「さぁ、エリスに気づかれる前に部屋に戻ろう」
「あっ、そうですね」
ティアは音を立てないように部屋に戻った。
「さて、俺は対策を打つとしますか」
侯爵から、借り受けていた伝書鳩を放った。
次の日、ティアとエリスは夕飯に向けて、準備をしていた。そして俺は、大森林を掛け走っていた。
サプライズやサーチを使っているので、誰にも見つからずに結構奥まで来ることができた。
走っているとこちらに向かってくる者がいた。そいつはこちらに向かって矢を放ってきたので、避けた。
「ほぅほぅ、わしの矢を避けれるとは、中々やるのう」
「あんたが大長老だな?」
銀髪のエルフはニヤっと笑った。




