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前門の善意。後門の悪意

ヘレンがもうすぐ来ると言われたので玄関で来るのを待った。


「お母さま」


「ヘレン」


子爵とヘレンは抱き合った。久しぶりの再会なのだろう。しばらく話し込んでいた。


「ヘレン、私は今からお仕事をしなければいけないの」


「あっ、はい」


ヘレンは明らかに落ち込んでいた。


「私の代わりにお世話してくれる人がいるわ」


「アンドレですか?それともミレースですか?」


「いいえ」


「えっ?誰でしょう?」


ヘレンは不安そうだった。


「あなたが知っている人よ」


「ヘレンの知っている人ですか・・・」


ヘレンは考えこんでいた。なんか期待が高まっていないか?俺も不安になってきた。


「この方よ」


ええいままよ。


「久しぶりだね」


「あっ、助けてくれたお兄さんです」


よかった覚えてくれていた。これで忘れられていたらどうしようかと思ったわ。


「今日、お兄さんがお世話してくれるんですか?」


「ああ、もちろんだ。ヘレンちゃんがしたいこと何でもするよ」


「何でも・・・」


ヘレンは何をしようか考えているみたいだ。


「私はこれで。娘をよろしくねお願い致しますわ。カズマサ君」


「お任せを」


侯爵は屋敷に入っていた。


「それで何して遊ぼうか?」


貴族の子って何で遊ぶんだろう?


「おままごと・・・」


「えっ?」


「おままごと・・・したいです。ダメですか?」


貴族学校行っているからどんなこと言われるかと思ったが年相応の遊びでホッとした・


「いいよ。何の役やればいいかな?」


「父親役をお願いしていいですか?」


やっぱり父親に飢えているんだな。よし、今日は全力で父親になろう。


「今から俺は君のパパだ」


「パパ・・・」


ヘレンはもじもじしていた。


「パパ、課題手伝ってもらっていいですか?」


やはり課題が用意されていたか。


「わかった。部屋に案内して。それと敬語はなしだ。親子で敬語で話すのはおかしいからな」


「・・・うん、わかった。こっちだよ」


ヘレンにぐいぐい引っ張られてヘレンの部屋に入った。課題はこの年齢が学ぶにはレベルが高いものだったが、ヘレンは頭がいいのか一時間くらいで終わった。


「終わったよパパ」


「すごいなヘレンは」


頭を撫でると嬉しそうだった。


「ヘレン外に行きたいだめ?」


「そうだな・・・」


時間を見るともうすぐお昼の時間だった。


「お母さんに食事のときに聞いてみるよ」


「本当!」


「ヘレンはお勉強頑張ったからな」


「うん」


お昼の時間になり、庭で侯爵と一緒にお昼を食べようとした。


「ヘレン、午前は何をしていたの?」


「課題を終わらせたの」


「もう終わってしまったの?」


「パパがわかりやすく教えてくれたの」


「パパ?」


侯爵は首を傾げた。


「今日はヘレンの1日パパになったんですよ」


「へぇ」


侯爵の目が光ったように見えたが気のせいか?


「アンドレ」


「何でございましょう?」


侯爵はなにやら話していた。


「かしこまりました」


何をする気だ?俺は警戒した。そして食事が運ばれてきた。公爵が席に座ろうとしたので


「すみません。俺赤より青が好きなので青い椅子に座っていいですか?」


これで何か導きだせるか?


「ええ、構わないわ」


あっさりと席を譲ってくれた。杞憂だったのかと思い食事を食べようとしたが


「あれ?」


「どうかしたの?」


昨日あった木製の食器がなかった。


「あら、金属の食器しかないわね。困ったわね?」


「あのーすみません」


しかし誰も来なかった。


「パパ食べないの?おいしいよ」


ヘレンはパイ包みのシチューを食べていた。


「パパは金属の物を持てない方なの」


「金属・・・銀は金属?」


「ええ」


「パパ食べられない?」


「その通りよ」


「可哀想」


「どうしようかしら」


「!ヘレンが食べさせてあげる」


「まぁ、優しい子。でもヘレンだけでは大変なので、微力ながら私もカズマサ君の食事の補助をしてあげますわね」


善意と悪意がすごい・・・というか侯爵、仕組んだな。


「はい、あーん」


この善意断れない。ヘレンから食べさせてもらった。


「おいしい?」


「ああ、おいしいよ」


ヘレンはまたスプーンでシチューをすくい


「あーん」


俺の向けてきたのでまた食べた。すると逆のから服を引っ張られてそちらに向けると


「あーん」


侯爵がこちらにシチューをすくったスプーンを近づけてきた。


「いや、それは・・・」


「私のシチューは食べられないとおっしゃいますの?」


侯爵は泣きまねをした。


「お母さま、可哀想・・・パパ食べてあげて」


ヘレンのつぶらな瞳にを向けられると弱い。


「わかりました」


「!はい、あーん」


こうして2人に食べさせてもらったお昼を食べたが味はわからなかった。

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