輸血(エリス視点)
「よお、待たせたな」
カズマサが挑発した奴らがようやくやって来た。
「あんたたち、遅いのよ。もう終わったわ」
「?終わったって、まだ戦っていないんだが???」
「この状況見てわからない?」
男たちはキョロキョロ見た。
「なんでお前たちボロボロなんだ?」
「アニキ、魔石が散らばっていますよ」
「まったくだ」
「この量・・・まさか・・・」
「いや3人で対処できるはずが・・・」
「しかもパープルだろありえない」
「だけどこの状況は・・・」
3人組についてきたやつらは気づいたようだ。
「おい、どういうことだ。説明しろ」
「アニキは勘が悪いんだ。教えろ」
「まったくだ」
こいつら・・・
「あんたらはこの2人はを運べばいいのわかった」
「なんで俺が・・・」
「い・い・わ・ね」
「・・・運ぶぞお前ら」
「アニキは女に強く言われるのが弱いんだぞ」
「まったくだ」
「うるせーーー」
戦いきたやつらと見物人に2人をギルドの休憩室まで運ばせた。
「ん?うんんん・・・」
ユースティアが気が付いたみたいだ。
「ここは?」
「ポルントよ。あいつらに運ばせたの」
「そうでしたか。ありがとうございました」
「え?いや、男として当然のことをしただけだ」
「ユースティアお礼なんて言わなくていいのよ。遅れてきてほとんど役に立たなかったし」
「でも、こうしてお見舞いしてもらっていたのですから」
この子は律儀よね。
「カズさんはまだ目を覚まさないんですか?」
「そうね。そろそろ起こさないと」
ユースティアはカズマサを起こそうとした。
「・・・が」
「何??どうしたの?」
声が小さくてよく聞き取れなかった。
「カズさんの脈がすごく弱いです・・・」
「え?嘘・・・」
ユースティアの触っている逆の腕の脈を触ってみたが確かに弱かった。
「なんで?ポーション飲ませたのに・・・」
「あの言いにくいのですが・・・」
ギルドの職員が話に入ってきた。
「何?」
「こういう人を見たことがあるんです」
「なら、どうすればいいかわかるのよね?」
ギルドの職員が気まずそうに口を開いた。
「いえ・・・彼は助かりません・・・」
何を言っているのかわからなかった。いや理解したくなかった。
「そんな、何か何か方法はないんですか?お金ならあります」
ティアは金貨、銀貨、銅貨の全てを差し出した。
「これで足りないなら、必ずお返しするので彼を・・・彼を・・・」
「・・・すみません」
ティアは声をあげることなく、泣いていた。
「おい、どうにかなんねぇのかよ。こいつは命がけでこの町を守ってくれたんだろうが」
「アニキの言う通りだ。秘伝の薬とかないのかよ」
「まったくだ」
「そんな物あればとっくの出しています」
カズマサが死ぬ・・・せっかく仲間に出会えと思ったのに、もうお別れなの?
私たちが絶望の淵にいると
「失礼するよ」
ローブに包まれ顔を隠している人が入ってきた。
「誰ですかあなたは?」
「私は・・・そうだな『ドクター』と呼んでもらおうかな?」
「ドクターだと怪しいやつめ」
「そうだ、胡散臭いぞこいつ」
「まったくだ」
私もこいつは信用できないと思った。
「何いまこっちは忙しいんだけど?」
「トージョー・カズマサを救いたいんでしょ?私はその方法を知っている」
「本当ですか」
さっきまで身動きせず泣いていたティアがドクターに詰め寄った。
「ああ、だがそれには君たちの協力が必要なんだ」
「何でもします。だから彼を・・・」
「わかったから、離して」
ティアが手を放すとカズマサのところに行き、紙で指を切った。
「ふむ、彼はΘ型か・・・」
「あんた何やっているのよ」
「彼の血液型を調べていたんだ」
血液型なにそれ?
「人の血液は大体4つのタイプに分かれているんだ。私はそれをα型、β型、γ型、そしてΘ型と名付けた」
「それで?血液型とやらがわかるなんだっていうんだ?」
「アニキは頭がよくないから、わかりやすく説明しろよ」
「まったくだ」
「わかったよ。彼が死にかけているのは血を流し過ぎて足りなくなっているからなんだ。人はある一定の量の血なくなると死んでしまうんだ」
「なんだってー!」
「知らなかった・・・」
「まったくだ」
ポーションを飲ませれば平気だと思っていたけど、そんなことがあるなんて知らなかった」
「これを皆さんに」
ドクターは私たちに紙を一枚一枚渡してきた。
「これで指を少し切ってみてくれ。彼と同じタイプの血液型を持っている人が必要なんでね」
私たちはドクターに言われる通りに紙で指を切った。ドクターは一枚一枚確認をしていた。私の紙を見ると立ち止まり
「おめでとう。君はΘ型だ」
私とカズマサが同じタイプ?ヒューマンとエルフなのに?
「彼に君の血液を分けてあげて欲しい」
カズマサに私の血液を?・・・エルフにとって自分の体液を異性に与える行為は・・・
「わ、私以外いないの?」
「残念ながらこの中で同じタイプは君しかいない」
ティアが近寄ってきた。
「エリスさん、エルフの習慣は知っています。それを知ってお願いします。カズさんに血液を分けてあげてください」
私は少し考え
「・・・わかったわ。私やる」
「いいんですか?」
「これは人命救助。ノーカンよ」
そうこれは人命救助だから気にしないわ。
「では、彼の横にベットを運んであなたはそこに寝てね。あとは私がやるので、あなたは動かないでね」
「わかった」
ベットに寝た私に針で刺してゴムのチューブで私の血がカズマサのところに流れていった。私はそのことを気にしないようのした。
「う・・・んここは・・・」
「カズさん」
カズマサが起きた。よかった。
「あんた死にかけていたのよ。それを私が助けてあげたのよ」
「そうか・・・ありがとう」
「ふん」
そんな正直に礼を言わないでほしいわね。
「私、心配したんですよ」
「ごめんな、ティア」
横で泣いているユースティアの頭をカズマサは撫でていた。
「この様子だと町は大丈夫みたいだな」
「そうね。死にかけた甲斐あってね」
「そう怒るなよ」
「ごめんなさい・・・」
「どうした急に?」
「あんたがそうなったのは私のせいだから・・・」
カオスゲートのことを知らなかったら、私が途中戦意喪失しなかったら、最後無理やり戦わせなかったら、後悔する点は多くあった。
「何を気にしているのかわからないが仲間なんだから迷惑かけるなんて当たり前だろ」
「えっ?」
「この世界なんでもできるやつなんていないできないことを失敗したことを補い合うために仲間がいるんだろ。だから反省するのはかまわないが罪悪感は感じなくていいんだぞ」
な、なによ。かっこうつけて・・・
「なら、これからもあんたに迷惑かけてやるんだから」
「それはお手柔らかに頼むな」
カズマサは私に微笑んだ。
「ふん」
私はそれを直視できず、布団を被った。




