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突入

「遅かったな」


顔に傷だらけの男が洞窟の前に立っていた。


「すいやせん、酔っ払いが道を塞いでたもんで」


「酔っ払い?」


「へい、男女2人のおそらく冒険者だと思われます」


「後はつけられなかっただろうな?」


「こっちは馬車を全力で走らせてきたんですよ。徒歩でしかも足元がおぼつかない奴が追いかけてくるはずがありやせんよ」


「・・・まぁいい。連れてきたんだろうな?」


「もちろんでずぜ。おい」


馬車から降ろされたのは年端もいかない子供たちだった。


「うぇぇぇぇん」


「家に帰してー」


「ママーーー」


子どもは泣きじゃくっていた。すると


「俺はピーピーうるさい奴が大嫌いだ。これから騒ぐ奴は魔物のエサにするからな」


その言葉を聞いて子供たちは黙った・・・1人を除いて


「泣く子も黙ると言われたボスの言葉を聞いても泣くやつがいるとは・・・」


「弱虫なのか度胸があるのか」


「おい」


ボスは泣いている子どもの前に立ち


「こいつを『みせしめ』にする」


手下たちにはその意味はよくわかっていた。


「しかしこの小僧の父親は―――なんでもないです」


ギロリと睨まれ何も言えなくなった。


「おい、こい」


「いやぁぁぁぁー」


泣きじゃくる男の子を引きずっていった。


「さぁ、他にああなりたいやついるか?」


こどもたちは泣くことも嘆くこともできなくなっていた。今できるのは恐怖を感じることとこの男に従うことしかなかった。







「しかしボスはおっかないな」


「ああ、お前殺さるかと思ったぞ」


手下2人は泣きじゃくりっていた子どもを縄で縛り、口も塞いで運んでいた。


「ああ。だがこいつを本当に殺っちまっていいのかな?」


「ボスの命令だ。あいつとボス、どっちもおっかないけど今命があるほうが大事だろ?」


「違いねぇな」


手下2人は檻に入った魔物の前に来ていた。


「相変わらず、おっかないなこいつは」


「ああ、もし襲われたらひとたまりもないぜ」


「ボスのファタスあってこそ俺達はこんなに近づいても平気なんだからな」


「その話、詳しく聞かせてもらおうか?」


「「え?」」


1人は気絶し、もう一人は槍を首につけられていた。





「なるほど。敵は10人、誘拐された子どもは15人か・・・」


あの子を除いても14人いるわけだ。正直きついな。


「うぇぇぇぇん」


「大丈夫ですよ。私たちは助けに来たのですから」


「君、名前は?」


「く、クリストファー・ローエンタール・・・」


泣きながら、名前を言った。


よし、一歩前進だな。


「クリスでいいか?」


「う、うん・・・」


クリスは頷いた。


「クリス、これから君のクラスメイトを助けに行く。それには君の助けがいるんだ」


「ぼ、ぼくには無理だよーーー」


「クリス、俺たち2人のじゃ8人を相手に14人を助けるのは不可能なんだ」


「ぼくに役立たずだよ。みんなには情けないとか弱虫って言われるし・・・」


「クラスメイトは嫌いか?このままじゃ死んでしまうかもしれない」


クリスは首を振った。


「ぼくをいじめてくるやつもいるけど、死んでほしいとは思っていないよ」


「そうか。ならクリス、漢になるんだ」


「ぼくは男だよ?」


「強く勇気を持って戦える人間になってほしいと言っているんだ」


「そんなの無理だよ・・・」


「クリス、一歩、歩いてみてくれ」


「え?わかった」


クリスは一歩、歩いた。


「ほら、できた。勇気もこの一歩と同じだよ。やろうと思えばできるし、できないと思えばできない」


「・・・」


「クリス、頼む・・・」


「・・・わかった。何をすればいいの?」


よかった。これで活路を見いだせる。


「俺たちはこれから洞窟に入り君のクラスメイトを探しだす。見つけたらクリス、君がみんなを逃がしてほしい」


「お兄ちゃんたちは?」


「俺たちは誘拐犯たちと戦い時間を稼ぐ」


「一緒に逃げちゃだめなの?」


「敵には魔物を操れる人間がいる。逃げ切るのは無理だ」


「カズさん、やっぱり応援を呼んだほうが」


こらえきれなくなったのか、今まで静かにしていたティアが入ってきた。


「いや、こいつらが帰ってこないっことを怪しみ、いつ移動されるかわからないそんなリスクはとれない」


「しかし、こんな小さい子には・・・」


わかっているが犠牲を出さないためには・・・


「ぼくやるよ」


「クリス君、無理しなくても・・・」


「大丈夫、お姉ちゃん」


「本当できるか?」


これは中途半端ではいけない。最後までやり遂げなければ、最悪の結果になってしまう。


「大丈夫、ぼく漢になるよ」


先ほどとは違う顔つきになっていた。



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