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オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第三章

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(01-6)

 与晴が唸った。


「やっぱりかっこいいなぁ。あの店員さん、センスすごくいい。

これからもあの人にアドバイス頼もう」


 行きつけの店らしいが、その店員さんはお初だったようだ。


「与のもすごくいいじゃん」


 彼も自分用に買ったブライトネイビーのスーツを着ていた。


「お褒めいただき光栄です。

さて、目瞑っても結べるくらいになるように特訓しましょうか」


「……できるかな?」


「もちろん」




 つばさはすぐに手順を覚えた。

 あとは綺麗に素早くやるための慣れが必要だ。何度も解いては繰り返す。

 与晴は横でそれを見ながら、今日のスケジュールを再構築。


「……与、男の人ってさ、どうやって『俺』『僕』『私』を使い分けてるの?」


 男のフリをする以上、聞いておきたかった。


「言われてみれば…… 女性は『わたし』くらいですよね」


「うん。だけど男の人って年齢でも変わるでしょ? 祖父はワシって言ってたし、甥っ子の上の方は今は『ぼく』って言ってる」


「大体、小学生のある時期を境に『俺』になりますね。

仕事だと『私』や『僕』を使って、プライベートは『俺』が多い気がします。

……だいぶ早くなりましたね結ぶの」


「慣れてきたかな? でも、なんで男の人だけそうなんだろ」


「なんででしょうね」


 ネクタイをグッと締める。


「仕事は『私』でいいけど、普段はどうしようかな。 ……ボク? ……オレ?」


 鏡の中の男を見ながら口に出す。


「いいんじゃないですか? 『わたし』のままで」


 スマホをいじりながら、与晴がそう言った。


「小野雄翼を演じないとダメでしょ。仕事はともかく、普段でもわたしって言ってたら、絶対甘える」


「……そうですか?」


 スマホから顔を上げ、与晴はつばさを見た。


「……よし。せっかくなんで、オレにするわ」


 カッコつけてつばさはネクタイを解いた。


「今のめっちゃカッコよかったですよ、小野先輩」


 調子に乗ったつばさはさらにかっこつけて、与晴に視線を送った。


「ありがとう、佐藤君」

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