(02‐7)
「じゃ、相棒くん。検査に入る前につばさちゃんにお手洗いの指導お願いします」
葵はポンと与晴の肩を叩くと去った。
「ごめんなさい。お願いします。うちの夫は逃げたから……」
恭子も去った。
「えぇ!?」
とんでもない役目を押し付けられた与晴。
彼の目は今度はつばさの下半身に向けられた。
それに気付いたつばさは怒った。
「露骨に見るな!」
「すみません!」
代わりに彼はつばさの目をまた真っ直ぐ見た。
「そ、その大変失礼ですが…… お伺いしても、よろしいですか?」
「……何?」
「……今、先輩は、俺ら男と同じモノを、お持ちで?」
さて、どう与晴と接するか。
年齢も階級も自分の方が上だ。先輩、上司としてのプライドがある。
男性経験が無い、自分のもまだちゃんと直視できてない…… などと彼に知られたくない。
それになにより、彼にしなくていい気遣いや心配をさせたくない。
平気なフリをすることにした。
「今男だもん。ちゃんと付いてる」
酷い返事をしたもんだと、つばさは軽い自己嫌悪に陥った。
しかし、与晴は冷静だった。
「要を足すのは、座ってでも全然問題ないです」
「そ、そうだよね!」
これにて早々に一件落着!
と思いきや……
「あ、でも、いざという時のため、立ってでもできるようにしときます?」
「……は?」
「問題は、どうやって教えるかですね……」
どこまでも真面目な相棒は真剣に考え始めた。
平気なフリはつばさには無理だった。
なにも言わずにベッドに入り、掛け布団を頭から被った。
「大丈夫ですか!? 先生呼んできますね!」
慌てる与晴を止める。
「大丈夫!ただ全く慣れてないの!このついてるものに!」
与晴は穏やかに言った。
「……仕方ありません。まだ付き合いはじめて数時間でしょう? 勝手が分からないのは当然です」
至極真っ当な意見だ。
「でも、慣れなくて大丈夫です。すぐに元の姿に戻れますよ、きっと」
心強い相棒の言葉。
慣れる前に絶対に元の姿に戻る!
つばさはそう心に決めるとベッドに座った。
「……ほんとごめんね、長時間付き合わせて。非番なんだし、もう帰ってゆっくりして」
「……はい。ありがとうございます。
でも、何かあったらすぐに連絡くださいね」
「ありがとう。でも大丈夫だから、気にしないで」
また彼の眼が僅かに揺れた。




