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オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第十一章

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(01-2)

 荷解きもそこそこに、与晴は茂山の部屋に呼び出された。

 彼は冷蔵庫から缶ビールを出してテーブルに置くと言った。


「雄翼との関係は進展したかね?」


 ケンカして仲直りしたことまでは話していたが、その後の報告はしていない。


「……好きだと、言ってしまいました」


 茂山は身を乗り出した。


「返事は?」


「保留中です……」


「どれくらい?」


「まだ一週間ちょっとくらいです」


 茂山は身を引いた。


「そっか…… で、あの人、君とは今日まで通常運転?」


「はい」


 浮かない顔の与晴を気に掛ける。


「……大丈夫?」


 飲み食べながら思っていること明かした。


「あいわかった。

もうしばらくしたら沙代に聞いてみる」


 与晴は呆れながら返した。


「なんで袖崎さんに?」


「つばさは絶対に沙代に相談するでしょうよ?」


 それは薄々思っていたが、


「まぁ、そうでしょうけど……」


「で、俺にある程度は言うでしょうよ」


 やはり筒抜けなのだ。


 年齢とほぼ同じ年月の付き合いの幼なじみで親友。

そんな関係の二人に隠し事などほぼ無いのだろう。


「とにかく仕事にも関わる。

辛くなったらすぐに俺に言うように。いいね?」


 承知はしたものの、普段より早く酒が回った与晴は泣き言を言った。


「やっぱり言うタイミングを完全に間違えました……」


 茂山は与晴の不安や悩みを黙って聞いた。


「与は悪くない。悪いのは全てあのクズ義なんだからさ。

それにその状況なら下手に誤魔化すより言って正解だと思うよ」


 後輩を慰めた。そして少し具体的な話をした。


「今後つばさからOKが出て付き合うことになったら、周りには隠すこと」


「はい」


「申請も登録もクズ義を消すまではやめておこう」


「わかりました」


 酷な話だが仕方がない。


「……でないとあいつはどこまでもクズだから、つばさと破局した原因を与に擦りつけるだろう。

そうすれば君の立場が危うくなる」


 与晴が怖がる『懲戒免職』にされかねない。


「でも、茂さん」


「なんだね」


「その前に、そもそもOKが出るかどうか、わかりません……」


 また弱気になる彼。

茂山はふと疑問に思った事を口にした。


「君さ、もしかして自ら告って玉砕したことなかったりする?」


 警視庁が認めたイケメンだ。

百戦錬磨で来たのかもしれない。


「何度も有りますよ……」


 そうではなかったらしい。


「なんか安心した」


「今までと全ての勝手が違うので、分からないんです!」


「そうだよなぁ……」




 与晴の愚痴をつまみにビールを飲んで聞いていた茂山のスマホに着信があった。


「お、早速明日、沙代とつばさ会うってさ」


「どこでです?」


 時間や場所によっては迎えに行く。

そのいつもの習慣で聞いただけだったが……


「……あー、雄翼の迎えは俺が行くわ」


「……なんで?」


「……まぁまぁ」


「教えてくださいよ」


 与晴の押しに負け、茂山は明かした。


「ラブホ、行くんだってさ……」


 与晴はショックを受けて突っ伏した。


「袖崎さんに負けた。終わった……」


「違う!ただの女子会!

袖崎警視正が定期的に放ってる密偵の目眩しのためだって!」


 与晴はすぐ冷静になった。


 つばさの性的嗜好、恋愛対象は変わっていない。

 だからこそ、まだ奥底に残っている和義の思い出が彼女を苦しめる。

 そんな時に割り込んだ自分……


 今度は罪悪感が来た。


「やっぱり言うタイミング間違えました!」


 またテーブルに突っ伏した。


「飲みすぎだ。もうやめよう。茶飲もう」


 ビールを取り上げた。

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