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序
答えがまだ貰えていない。
まだ数えるほどしか時は経っていないのに、なぜこんなに焦るのか。
東京に戻るせいか?
秋が近づいて来たせいか?
20代最後の誕生日がだんだん近づいて来るせいか?
わからない。
先輩は今までと同じ、全く変わらず接してくれる。
それが嬉しくもあり、苦しくもある。
フェリーの上、風に吹かれながら、どんどん遠ざかる島を眺める。
東京が次第に近づいてくる。
「与……」
隣からいつもより少し弱い声音で呼ばれた。
「なんですか?」
目を伏せながら彼女は言った。
「帰るの、少し怖い……」
絶対にあいつのせいだ。
「あいつが怖い……」
宮田和義。
いつまででも彼女の中に居座るあの男。
憎い。
「大丈夫です。先輩は俺が守ります」
あいつのいいようにさせてなるものか。
「ありがとう。ボディガードさん」
笑ってくれた。
「先輩より弱いボディガードですけどね」
「ごめんって。もうそんなこと全然思ってないって」
「本当ですか?」
「本当だって」
この優しくて強くて弱い人を守りたい。
許されるのなら、恋人としても……
でも今はただ待とう。
この人からの返事を。
どっちであっても……




