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オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第十章

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(05-5)

 午後4時。


 喉の奥がなんとなく熱い。

 息を吸うたびに、火照った空気が肺に絡みつく。


 次第に不安を覚え始めた。


 気にしない、気にしない、気にしたらダメ。


 そう誤魔化していたが、突然喉が焼けるように熱くなった。

それは本当に一瞬の事。そして今まで感じていた違和感が綺麗さっぱり無くなった。


 不気味に感じ、そっと喉に手を当てた。

そして凍りついた。


 紛れもなく、女の首には似つかわしくないあの感触が手に伝わってきた。

 洗面所に走り鏡で確認して絶望した。


「なんで……?」 


 口から出たのは、雄翼の声だった。


 ……また男になる?


 自分の部屋に戻ると、布団に潜り込んだ。




 痛みに襲われるかもしれない。

 今度こそ、男でもなく女でもない中途半端になるかもしれない。

 そんな恐怖がやって来た。



 胸に巻いたバスタオルがやけにキツくなってきた。

 布団から起き上がり部屋着のTシャツを脱ぎ、タオルを外すと、締め付けから解放された。

 見れば邪魔だと思っていた胸が小さくなり始め、代わりに胴回りが大きくなってきていた。


 まだ一応は女の形を保っている胸にそっと触れてみると、柔らかさがなくなり内側から何かが硬く膨らんでいく様な感じがした。


 これは邪険に扱った罰だろうか……


 触れていた手にも変化がやって来た。

 しなやかさが失われ、代わりに力強さが増していく。

 指が太くなり、手の甲の血管が浮き上がってくる。


 その手の下で女の胸は消え去り、男の大胸筋に変わっていった。


 肩幅が広くなり、上半身の身体の線はもう女ではなくなってしまった。


 つばさはただ溜め息をつくしかなかった。




 枕元に放っておいたスマホが震えた。

 与晴からの電話だ。


 幸か不幸か声はもう男。電話に出られる。


「お疲れ様」


『お疲れ様です。すみません電話してしまいました。喉、大丈夫ですか?』


「大丈夫……」


『良かった…… 熱はまだありますか?』


「もうないよ……」


『安心しました。昼にすみませんでした。適当すぎる連絡してしまいました。

弁当食べとけって…… 最悪ですね』


 そこを今反省するのかと、つばさは笑った。

やっぱりクソ真面目な後輩だ。

 そこが可愛いのだが……


「食べれたから食べたよ」


「ありがとうございます。食欲ありそうですね。

仕事終わったんで、すぐ帰りますね。

皆さんに色々もらったので、何か作りますね」


 すぐに、帰る……?


 彼に早く帰って来てほしいとずっと望んでいたのに今は違う。

今すぐに帰って来られたら困る。


 今は男と女の中途半端な状態。

こんな気持ちの悪い姿を彼に見せられない。


「……何時に帰ってくる?」


 感情を押し殺し、気取られないように確認をとる。


『6時には戻れると思います』


 時計を見れば5時を少し過ぎている。

 あと1時間もない。まずい。


「わかった。気を付けて」


『はい。あ、先輩も、もう大丈夫とは言っても、無理はしないでくださいね』


「うん。大人しくしてるわ」


 気遣ってくれる優しい彼。本当に申し訳ない。


『では、また……』


「はい。後でね」


 電話を切った。


「くそっ!」


 スマホを放り投げ、吐き捨てた。

 この身が呪わしい。


 女に戻れるのだと、未だに罪悪感を引き摺る彼を安心させたかったのに。


「もういい。早く全部男に変えて……」


 ヤケクソになったその願いが聞き届けられたのか、

骨盤がきしみだし変化は下半身へと進んで行った。

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