(03-2)
その頃、三宅班の若手四人は屋上にいた。
「綺麗だね、夕日……」
「明日も晴れですね……」
「洗濯しないとね」
「掃除もしないと」
夕焼けを眺め、ペットボトルのお茶を飲みながらそう呟くつばさ与晴ペア。
「なに老年夫婦してんですか」
スマホをいじりながら小馬鹿にする西谷。
「現実逃避するんじゃありません!」
茂山が突っ込む。
「はい……」
「すみません……」
茂山が場を仕切る。自分たちなりに打開策を見つけたかった。
「例のジャーナリストの記事、どうなったの?」
「圧力掛けられて出せなくなった。対抗してネットニュースで出したら、ものの数分で消された」
悔し泣きしながら電話を掛けてきた小平を、つばさは慰めたばかりだった。
「どんだけ悪どいんだよ、ITOU。何か他に手は無いのかね?」
西谷がスマホを弄りながら言う。
「今、持ってるツテで使えるもの無いか探ってます」
「おっ。さすが。よろしくお願いします」
与晴が手を挙げた。
「LOTUS社長さんがこの機会にITOUを成敗したいので協力すると言ってきました。
なので先輩、やはり脚本の監修の仕事を受けませんか?」
「仕事しながらできるかな……」
「解毒の入院中にやれませんかね?」
「あ、そっか……」
茂山が口を挟んだ。
「ドラマの件は一旦置いといてだね、言っちゃ悪いけどLOTUSさんって中小でしょ? 体力あるの?」
与晴が説明する。
「LOTUS社長のお姉様は業界1位のヘブンス社長夫人です。LOTUSとは協力会社かつ義理の兄弟で仲も良いので、ヘブンスの協力で可能かと思います」
「あー、ヘブンスか……
あの新社長さん武田信玄みたいなことしたからね」
「茂さん。何言ってるかわからないです」
西谷がスマホから視線を逸らさずに突っ込んだ。
「前社長の実のお父さん追い出して社長になったのよ。なんか内輪で色々あったらしくて」
「へー…… 結構ドロドロですね、製薬会社」
「ま、どんな業界もそれなりにいろいろ恐ろしいけどね……」
「やっていただけるんなら、成敗してもらいましょうかLOTUSさんとヘブンスさんに」
「了解です」
「了解!」
「はい」
若手の意見が固まった。




