(05-8)
家まで和義に送ってもらう。
玄関へつばさを出迎えにきた歳三が和義に気付くと唸り始めた。
「歳、ダメ」
歯を剥き出し唸る。
「俺のこと嫌い?」
そう聞く和義に向かって、激しく吠えだした。
初対面から和義が気に食わないのか、こうだった。
総司は、つばさを出迎えるときはいつも歳三の後についてくるが、今日は出てくる気配がない。
「ハウス!」
つばさがそう命じると、歳三は言うことを聞いて奥へと去っていった。
「つばさを取られるって思ってるかな……」
「そうかも。ごめんね。あがって、お茶淹れるから」
「ううん。もう遅いから、ここで失礼するね。歳三さんがかなりお怒りだし」
「そう? じゃあ、また」
「また……」
彼を玄関で見送り部屋に戻ると、すぐに楽な部屋着に着替えてテレビを点けた。
密かな楽しみ、撮り溜めたドラマを見るためだ。
刑事ドラマ、ミステリードラマ、サスペンスドラマをこよなく愛するつばさ。
しかし、同業者からは「フィクションだ。ファンタジーだ」とよく小馬鹿にされる。
故にこの趣味を知っている同業者は親友の沙代だけ。
今クールでつばさが見ているドラマは……
・学生の頃始まった第一シリーズから見続けている、刑事ドラマの新シリーズ
・人気アイドルが初主演する刑事ドラマ
・小説が原作のミステリードラマ
うさぎのぬいぐるみを抱きしめながら、主人公と一緒になって事件を追ったり推理するのが彼女のスタイル。
そして、作りが甘いドラマには刑事として突っ込みを入れる。
今日消費するドラマは、人気アイドルが初主演する刑事ドラマ。
正直、詰めがかなり甘い作りでツッコミどころ満載だったが、
新米刑事の成長物語、人情ドラマとして楽しんでいる。
自分が新米刑事で三宅に付いて学んでいた時のこと、
与晴とペアになってからのことを重ね合わせながら。
明日からまた仕事だ。夜ふかしせずに早く寝ようと決め風呂に入った。
ベッドに入る前に、鏡の前で今日もらったネックレスを付けてみた。
小振りのシンプルなデザイン。これなら確かに普段使いできる。
「……明日からよろしくね」
もう一つのプレゼント。綺麗なサプリメントの瓶を手に持って眺める。
「……綺麗になれるのかな?」
タキシードを着た和義。その横に立つウエディングドレス姿の自分。
その光景を思い浮かべながら一粒取り出すと、つばさはそれを口に入れた。




