表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

291/432

(03-6)

 明日と明後日は休み。

つばさは与晴と約束通り飲むつもりだった。


「じゃあ、着替えて上で集合でいいですか?」


 共有スペースで将棋をやりながらでもいいが、今日はゆっくり二人で目を見て話したい。


「今日は部屋で飲も。与の部屋行って良い?」


 招くと絶対に断られるのは分かりきっている。さらっとさそうが押しかけるつもりだ。


「分かりました。七時に来てください。部屋、片付けますから」


 珍しく拒まれず拍子抜けした。


「ありがとう。じゃあまた後で」


「はい。では」






「お邪魔しまーす」


 時間通り彼の部屋へ。


「どうぞ」


「今日はすんなり入れてくれますねー、与晴くん」


 ちょっと茶化したが、真面目に返された。


「小野先輩と飲むの、最後かもですから」


 つばさは確信した。やっぱり彼の元気のなさは“兄”との別れの辛さから来ているに違いない。


「じゃあ、今日は朝まで飲もっか」


「日付変わる前に解散です」


「クソ真面目が……」


 お馴染みのやり取りをしつつ、酒盛りの準備。


「本ありがと、全部読み終わったからお返しするね」


 協力するドラマの原作本を与晴から借りて入院中に読み切った。


「早っ。感想聞かせてくださいよ」


「えっとね……」


 話しながら、買ってきたものを温めたり、部屋から持ってきたものを皿に装ったりしながら、彼に感想を話した。






「まずは、事件解決、お疲れ様でした!」

「お疲れ様でした!」


 強盗傷害事件の犯人を逮捕で無事終わった。


「そして、退院おめでとうございます!」

「……めでたいかな? まあ、ありがとう!」


 ビールを飲み干した。


「あー。おいしい!」

「最高ですね!」


 枝豆を食べながら与晴は突然言った。


「その服、岩井先輩のですよね?」


 彼の指摘通り、上下共に元の自分の物だ。


「ジャージはちょっとサイズ合わないけど、Tシャツは大丈夫でしょ」


「デザインと色が全然大丈夫じゃないです」


「部屋着にデザイン関係ないでしょ」


 ファッションに基本無頓着なつばさと、どこまでもこだわる与晴の会話は噛み合わない。


「もう先輩の夏服、全部俺が選んでいいですか?」


「どうぞどうぞ。……てか毎回あなたが選んでるでしょ?」


「まぁ、そうですね。……先輩に任せると素材が台無しになるんで」


「それって、褒めてるの? ディスってるの?」


「褒めてるじゃないですか。素材が良くないといくら服が良くてもダメですから」


「そう?」


 彼が億せずハッキリものを言うのが嬉しいつばさは思った。

 これなら話してくれるかもしれない。今の彼の気持ちを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ