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オレの一念、岩をも通す!?  作者: 喜世
第六章

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(04-2)

 つばさは署に戻るとすぐに鑑識の澤田のところへ行った。


「お疲れ様でーす」


 彼はちょうどコーヒー休憩をしていた。


「おー。小野君。ごめん、まだ取れてないんだ解剖許可」


「署長のせいですか?」


「署長はOK出したいんだけど、本庁が渋ってるらしいんだよ。えらく愚痴られた」


「そうなんですか……」


 本庁と署長は今回はグルでは無いらしい……

 しかし、本庁はなぜ渋る? 父政志は何をしているのか?まさか高階署長との啀み合いか?


 色々な考えがつばさの頭に浮かんだ。


「コーヒー…… あ、飲まないね、君は。お茶淹れてあげよう」


 コーヒーが苦手ということにしてある。

ミルクと砂糖を入れたい派の岩井つばさを知っている彼に身バレを防ぐため。


「何か頼み事?」


 ほうじ茶を受取り、一口口に含む。


「これの指紋とDNAって採って照合してもらえません?」


 ビニール袋に入れた革手袋を彼に渡す。


「……あ、もしかしたら、あの仏さんの?」


 さすが勘が良い。


「……そうかも、です。お願いできますか?」


「いいよ。でもごめんね、今少し立て込んでるから、結果出次第の連絡でいい?」


「はい。大丈夫です。すみませんがお願いします」


「OK。任せといて」


 その時、与晴が飛び込んできた。


「先輩!」


 息があがっている。


「どうした?」


「関口の捜索願いが出されました! とにかく来てください!」


「わかった」


 もらったお茶を無駄にはできない。

 一気に飲み干した。


「澤田さん、すみませんが、よろしくお願いします」


 つばさは相棒に続いて、急いで鑑識部屋を出た。






 緊急で三宅班は会議室に集まった。

 西谷が経緯を説明する。


「捜索願いを出したのは、静岡県に住む父母からです。

数日間に渡り、電話に全く出ず、メッセージも既読にならない事から不安に思い職場……

小野さんの通院先の病院ですね、問い合わせたところ退職したと言われ、現職場を把握しておらず聞くあてがない両親は大家に連絡を取って上京し、部屋を確認。

しかし、本人不在だったため切羽詰まって捜索願いを出した、という状況です」



 三宅は彼女と井上に、捜査状況を改めて報告させた。


「現職場では有給数日間の後、体調不良で欠勤となっており、連絡は取れているとの認識ですので、誰も疑問に思っていない状況です」


「やはり、殺人死体遺棄の上、失踪中という推測は十分成り立つ……

関口の目撃情報は?」


「最後の出勤日に職場での目撃が最後のようです」


「秋山との接触は?」


 吉田が報告を始める。


「秋山に対する監視が外れており、遺体発見前後数日間の足取りが掴めていません。昨日、業者を装い会社に電話をしましたが、その時期から長期海外出張とのこと。怪しいので取引先の病院に目立たないように聞き込みを始めています」


「小野、佐藤ペアは?」


 つばさは遺棄現場で目撃があった怪しい男と拾得物

について報告した。


 情報を取りまとめたあと、三宅は班員に指示を出した。


「玄さんと俺で、これから関口の両親に会いに行ってくる。みんなはここ数日、出ずっぱりで疲れているだろうから今日は少し休むように。ただ、何かあったらすぐ出られるようにしておいてほしい。以上、解散」

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